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叱咤
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ソアリスは位置に着くように司令官のように言い、大きい五人は恥ずかしさがあり、もう抱かせなくても、カイルスを大事にするよと言ったが、ソアリスが納得するはずがない。
「駄目よ!王妃様に面白いものを見せなさい!」
権力まで振りかざし、ミフルにカイルスを抱かせた。ミフルは年の離れたカイルスなのでいい。アリルとエクルも妹なのでいい、マイノスも抱くのは妹なのでまだいい。一番抵抗があったのは、一つしか年の変わらない弟・マイノスを抱くユリウスと、抱かれる側のマイノスだった。
まるで王妃のお戯れだが、皆、その王妃が死に物狂いで産んだ子どもなのだ。やるしかない。
しかし、いつものごとく、やらせておいて、なにこれと言いながら、またけらけら笑っていた。
ただアンセムは、カイルスの時になって、初めてこの光景を見た。侍女や乳母から報告は受けていたが、急に始まるので、実際に見ることはなかった。
確かに上の子がすぐ下の子を抱っこしているのは、よく見ていた。ソアリスがよしやるわよと、カイルスを抱いて、五人を引き連れているところを目撃して、付いて行ったのだ。
アンセムはその姿に涙した。侍女も乳母もメイドも護衛も、側近も従者も同じだった。大きくなられてという気持ちと、皆が仲が良いことに感激する。違うのは、けらけら笑う司令官だけ。
そして司令官は満足したようで、ありがとうと去って行った。もちろんカイルスは「まって、まって」とパタパタと慌てて追い掛けて行った。
残されたのは涙を拭うアンセムと、五人の子どもたち。
「なぜ、ソアリスは笑っているのだ?」
「面白いからでしょう」
「毎回、本気で笑っているそうです」
「お母様はそういう人です」
「大きくなって…とか言いながら、涙を流すところなんでしょうね」
「でも、満足そうでしたね」
「私は涙も流したし、絵姿を残したいくらいだったぞ」
「そしてカイルスは、侍女よりも早く付いて行きましたね…」
皆でソアリスの出て行った扉を見つめるしかなかった…。
ミランは想像が出来る姿に思わず笑みが零れた。
「ふふっ、ソアリスらしいわね」
「でもユリウスはソアリスが抱きしめてもいいのにね?」
「そこもです。あなただけ独り占めを味わったことがあるのだからと、いずれは私の背中を任せてあげると、騎士のようなことを言っておりました」
「その言葉もらしいわ」
テラーも実はソアリスを気に入っているが、王妃としては厳しく接するようにしていた。
ミランは公務には真摯に向き合いながらも、人間らしい怒りを持つ豪快なソアリスを、とても気に入っていた。
夫である、アロークが亡くなる前に、医師に今日持つか分からないと言われ、目を覚まさないアロークに、ソアリスが怒鳴った。
「ちょっと、お祖父様!こんなに酷い悪阻を耐え抜いた、私の腹の子を見ずに死ぬなんて許しませんよ!」
しんみりしていた空間は一気に、ソアリスの天下となった。
「またミラン様に似ているかもしれませんよ、いいんですか!早く起きなさい!あっ、怒鳴った拍子に生まれるかも!」
「「「「えっ」」」」
まだ生まれるまでは、日にちがあったので、皆が焦った。
「ソ、ソア」
「あっ、お祖父様」「あなた!」「父上」「お義父様」
アロークが目を開けていた。
「待て、ソアリス、大丈夫なのか?」
「嘘だもの」
ケロっと言ってのけて、アロークの病状もなぜか安定して、1ヶ月以上も命を伸ばし、カイルスにも無事会うことが出来て、亡くなった。医師にも奇跡だと言われ、ソアリス喝と呼ばれている。
アロークはあの時、夢現であったが、ソアリスが腰に手を当てて、ずっと怒鳴っていたそうで、ソアリス止めてくれと思って、名前を呼んで、目が覚めたそうだ。
生まれるに反応したわけではなかったが、ソアリスも起こそうと必死だったのだ。
カイルスはミランに似ていなかったので、ソアリスは残念でしたねと言いはしたが、アロークは見た目など関係ないとソアリスに笑顔で答えた。
「駄目よ!王妃様に面白いものを見せなさい!」
権力まで振りかざし、ミフルにカイルスを抱かせた。ミフルは年の離れたカイルスなのでいい。アリルとエクルも妹なのでいい、マイノスも抱くのは妹なのでまだいい。一番抵抗があったのは、一つしか年の変わらない弟・マイノスを抱くユリウスと、抱かれる側のマイノスだった。
まるで王妃のお戯れだが、皆、その王妃が死に物狂いで産んだ子どもなのだ。やるしかない。
しかし、いつものごとく、やらせておいて、なにこれと言いながら、またけらけら笑っていた。
ただアンセムは、カイルスの時になって、初めてこの光景を見た。侍女や乳母から報告は受けていたが、急に始まるので、実際に見ることはなかった。
確かに上の子がすぐ下の子を抱っこしているのは、よく見ていた。ソアリスがよしやるわよと、カイルスを抱いて、五人を引き連れているところを目撃して、付いて行ったのだ。
アンセムはその姿に涙した。侍女も乳母もメイドも護衛も、側近も従者も同じだった。大きくなられてという気持ちと、皆が仲が良いことに感激する。違うのは、けらけら笑う司令官だけ。
そして司令官は満足したようで、ありがとうと去って行った。もちろんカイルスは「まって、まって」とパタパタと慌てて追い掛けて行った。
残されたのは涙を拭うアンセムと、五人の子どもたち。
「なぜ、ソアリスは笑っているのだ?」
「面白いからでしょう」
「毎回、本気で笑っているそうです」
「お母様はそういう人です」
「大きくなって…とか言いながら、涙を流すところなんでしょうね」
「でも、満足そうでしたね」
「私は涙も流したし、絵姿を残したいくらいだったぞ」
「そしてカイルスは、侍女よりも早く付いて行きましたね…」
皆でソアリスの出て行った扉を見つめるしかなかった…。
ミランは想像が出来る姿に思わず笑みが零れた。
「ふふっ、ソアリスらしいわね」
「でもユリウスはソアリスが抱きしめてもいいのにね?」
「そこもです。あなただけ独り占めを味わったことがあるのだからと、いずれは私の背中を任せてあげると、騎士のようなことを言っておりました」
「その言葉もらしいわ」
テラーも実はソアリスを気に入っているが、王妃としては厳しく接するようにしていた。
ミランは公務には真摯に向き合いながらも、人間らしい怒りを持つ豪快なソアリスを、とても気に入っていた。
夫である、アロークが亡くなる前に、医師に今日持つか分からないと言われ、目を覚まさないアロークに、ソアリスが怒鳴った。
「ちょっと、お祖父様!こんなに酷い悪阻を耐え抜いた、私の腹の子を見ずに死ぬなんて許しませんよ!」
しんみりしていた空間は一気に、ソアリスの天下となった。
「またミラン様に似ているかもしれませんよ、いいんですか!早く起きなさい!あっ、怒鳴った拍子に生まれるかも!」
「「「「えっ」」」」
まだ生まれるまでは、日にちがあったので、皆が焦った。
「ソ、ソア」
「あっ、お祖父様」「あなた!」「父上」「お義父様」
アロークが目を開けていた。
「待て、ソアリス、大丈夫なのか?」
「嘘だもの」
ケロっと言ってのけて、アロークの病状もなぜか安定して、1ヶ月以上も命を伸ばし、カイルスにも無事会うことが出来て、亡くなった。医師にも奇跡だと言われ、ソアリス喝と呼ばれている。
アロークはあの時、夢現であったが、ソアリスが腰に手を当てて、ずっと怒鳴っていたそうで、ソアリス止めてくれと思って、名前を呼んで、目が覚めたそうだ。
生まれるに反応したわけではなかったが、ソアリスも起こそうと必死だったのだ。
カイルスはミランに似ていなかったので、ソアリスは残念でしたねと言いはしたが、アロークは見た目など関係ないとソアリスに笑顔で答えた。
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