21 / 360
努力
しおりを挟む
「ララシャは半分はしていないことです」
「そうなのか?」
「ただ…医師にも聞きましたが、改善すれば必ず妊娠が出来るとも言えないので、あのような言い方をしました…」
「そうだな…下手にアドバイスは出来ない」
「私はこうしたと伝えるのが、ギリギリですね」
「責任を持てることではないからな」
妹であるソアリスだからこそ、遠回しではあるが、努力が出来る人なのだから、したらどうかという意味だったのだろう。
ただ憧れられていないショックで覚えていないかもしれないが、本人に意思があれば行えばいい。
「好き嫌いが多く、痩せていることを褒められるので、太らないようにしており、運動はしない」
「細いとは思っていた…」
細かい食事や運動は分からないが、婚約していた頃は口にするのは控えていたが、多少のメリハリはあるが、痩せすぎではないかと思うほど、細かった。
王妃である母が教育の際に、何度かやんわりと注意をしたそうだが、食べても太らないんですと言っていたそうだ。
「食べても太らないと言っていたそうだが?」
「いいえ、食べていないだけですよ。ネズミか?リスか?小鳥か?っていう日もありましたから」
「ネズミ、リス、小鳥…」
口には出さないと言っていたので、その姿を見て、思っていたのだろう。
「母も出産前は細かったそうですから、太る可能性は大です」
現在のマルシャ夫人は貫禄のある身体付きをしている、出産後に体形が変わることは珍しいことではない。
「君は変わらないが、運動しているものな」
「身体も鍛えられて、お腹が空いた方が食事も美味しいでしょう?運動に集中している時は、嫌なことも忘れられますからね。でもララシャは細いと言われることが、一番言われる誉め言葉なのです」
「女性には嬉しい言葉なのかもしれぬな…」
王族・貴族の夫人はドレスを着ることも多く、体系維持も必要となって来る。ソアリスの体系を褒めたことはないが、褒めておいた方が良かったのだろうか?
「ソアリスは維持していると思うが、誉め言葉にはならないか?」
「私は自分のためにやっていることですから」
「では、何と言われるのが嬉しい?」
「ええ…ちょっと恥ずかしいです」
「教えては貰えないか」
周りの側近、侍女、護衛たちは今さら新婚夫婦のような会話に、ちょっと甘酸っぱい気持ちになり、微笑ましく見守っていた。ただ、褒められて嬉しいことを口にするのは、恥ずかしいだろうとも思った。
「そうですね…」
ソアリスは言い辛そうにしており、絶対に言いたくないという顔ではないが、かなり躊躇している。
女性への誉め言葉と言えば、一般的には美しい、可愛い、素敵、女性騎士に向けて格好いいということもあるが、ソアリス妃であれば、美しいよりは格好いいが似合うかな、などと思っていた。
「私は、その、力持ちですねと言われると、う、嬉しいですわね」
皆、え?という声は出さなかったが、首がちょっと前に出た。珍しくソアリスはほんのり頬を赤くしており、本気であることは間違いなさそうだが、褒めるタイミングがあるだろうかと思案した。
子どもを抱き上げているくらいではわざとらしい、かと言ってソアリス妃が重たい物を抱えていることも、なかなかない。
だが、いつかタイミングがあれば、是非言おうと、皆が心に決めた瞬間だった。
「…そ、そうか」
アンセムもなかなか使い辛い、誉め言葉に困惑した。聞いてしまった以上、変なタイミングで言えば、あの雑巾を見る目を向けられてしまうことは明らかである。
「はい、誇らしく、胸が熱くなります」
「そうか…」
そんなにかと思いながら、いつか言う日が来ることを願うしかなかった。
そして、リベル殿下から再びの謝罪の文が届いたが、ララシャについては書いていなかったが、気にしないことにした。
「そうなのか?」
「ただ…医師にも聞きましたが、改善すれば必ず妊娠が出来るとも言えないので、あのような言い方をしました…」
「そうだな…下手にアドバイスは出来ない」
「私はこうしたと伝えるのが、ギリギリですね」
「責任を持てることではないからな」
妹であるソアリスだからこそ、遠回しではあるが、努力が出来る人なのだから、したらどうかという意味だったのだろう。
ただ憧れられていないショックで覚えていないかもしれないが、本人に意思があれば行えばいい。
「好き嫌いが多く、痩せていることを褒められるので、太らないようにしており、運動はしない」
「細いとは思っていた…」
細かい食事や運動は分からないが、婚約していた頃は口にするのは控えていたが、多少のメリハリはあるが、痩せすぎではないかと思うほど、細かった。
王妃である母が教育の際に、何度かやんわりと注意をしたそうだが、食べても太らないんですと言っていたそうだ。
「食べても太らないと言っていたそうだが?」
「いいえ、食べていないだけですよ。ネズミか?リスか?小鳥か?っていう日もありましたから」
「ネズミ、リス、小鳥…」
口には出さないと言っていたので、その姿を見て、思っていたのだろう。
「母も出産前は細かったそうですから、太る可能性は大です」
現在のマルシャ夫人は貫禄のある身体付きをしている、出産後に体形が変わることは珍しいことではない。
「君は変わらないが、運動しているものな」
「身体も鍛えられて、お腹が空いた方が食事も美味しいでしょう?運動に集中している時は、嫌なことも忘れられますからね。でもララシャは細いと言われることが、一番言われる誉め言葉なのです」
「女性には嬉しい言葉なのかもしれぬな…」
王族・貴族の夫人はドレスを着ることも多く、体系維持も必要となって来る。ソアリスの体系を褒めたことはないが、褒めておいた方が良かったのだろうか?
「ソアリスは維持していると思うが、誉め言葉にはならないか?」
「私は自分のためにやっていることですから」
「では、何と言われるのが嬉しい?」
「ええ…ちょっと恥ずかしいです」
「教えては貰えないか」
周りの側近、侍女、護衛たちは今さら新婚夫婦のような会話に、ちょっと甘酸っぱい気持ちになり、微笑ましく見守っていた。ただ、褒められて嬉しいことを口にするのは、恥ずかしいだろうとも思った。
「そうですね…」
ソアリスは言い辛そうにしており、絶対に言いたくないという顔ではないが、かなり躊躇している。
女性への誉め言葉と言えば、一般的には美しい、可愛い、素敵、女性騎士に向けて格好いいということもあるが、ソアリス妃であれば、美しいよりは格好いいが似合うかな、などと思っていた。
「私は、その、力持ちですねと言われると、う、嬉しいですわね」
皆、え?という声は出さなかったが、首がちょっと前に出た。珍しくソアリスはほんのり頬を赤くしており、本気であることは間違いなさそうだが、褒めるタイミングがあるだろうかと思案した。
子どもを抱き上げているくらいではわざとらしい、かと言ってソアリス妃が重たい物を抱えていることも、なかなかない。
だが、いつかタイミングがあれば、是非言おうと、皆が心に決めた瞬間だった。
「…そ、そうか」
アンセムもなかなか使い辛い、誉め言葉に困惑した。聞いてしまった以上、変なタイミングで言えば、あの雑巾を見る目を向けられてしまうことは明らかである。
「はい、誇らしく、胸が熱くなります」
「そうか…」
そんなにかと思いながら、いつか言う日が来ることを願うしかなかった。
そして、リベル殿下から再びの謝罪の文が届いたが、ララシャについては書いていなかったが、気にしないことにした。
4,467
お気に入りに追加
7,635
あなたにおすすめの小説
【完結】裏切ったあなたを許さない
紫崎 藍華
恋愛
ジョナスはスザンナの婚約者だ。
そのジョナスがスザンナの妹のセレナとの婚約を望んでいると親から告げられた。
それは決定事項であるため婚約は解消され、それだけなく二人の邪魔になるからと領地から追放すると告げられた。
そこにセレナの意向が働いていることは間違いなく、スザンナはセレナに人生を翻弄されるのだった。
学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った
mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。
学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい?
良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。
9話で完結
【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!
しずもり
恋愛
ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。
お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?
突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。
そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。
よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。
*なんちゃって異世界モノの緩い設定です。
*登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。
*ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる