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雑巾
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「え?恥ずかしがらなくていいのよ。だって、いつもそうですねって話を聞いてくれたじゃない。羨ましいって顔に書いてあったわ」
「いいえ、書いてません」
アンセムは光を失ったような瞳からソアリスが、雑巾をきつく締める言葉が出る寸前だと感じ、切り上げることにした。
「そろそろ、公務が残っておりますので、よろしいですか」
「ああ、時間を取って貰って済まなかった。ララシャ帰ろう」
「えっ、嘘よ…だって」
ララシャはソアリスに嘘だと言ってと言いながら、帰って行った。アンセムもどっと疲れ、付き添っていた側近クイオもげっそりしていた。
「はあ…お疲れ様」
「臭い雑巾でしたね」
さらりと言ってのけるソアリス。ソアリスの前には湿った臭い雑巾が、ずっとソファに置いてあった。人とは思わず、だからこそ冷静に話をしていた。
だって、相手は雑巾だから。
「あっ、ああ、また言い出すとは思わなかった。ララシャ妃は諦めていたなかったんだな…」
「元々あれは理解が出来ませんでしたが、今日はさすが雑巾!ますます理解が出来ませんでしたわ」
「ああ、そうだな。よく我慢したな」
アンセムは雑巾だと聞きながら、まさかソアリスが人ではない扱いにしているとは思わず、姉ということもあって、私室の様に爆発するのではないかとヒヤヒヤしたが、汚い言葉を使うことは一度もなかったことに安堵した。
こんなことでソアリスが非難されるのを避けたかったからである。
「ララシャには暴言は下品よと言って、利きませんからね。言うだけ無駄なのです」
「そうだったのか…」
ということは、言ってはいたが、言わなくなったということだろう。
「憧れられていると思っていたとは、知りませんでした。気色の悪い雑巾だわ」
「そ、そうだな…だからソアリスに言えば、どうにかなると思っていたんだろうな」
「そんなはずありませんのに、さすが雑巾!」
「もう雑巾は帰った、ショックだったようだから、大人しくなるんじゃないか」
「ええ、リベル殿下は今日は雑巾ではありませんでしたわね。期待しますわ」
リベルはララシャを止めており、振りをしているのかと思っていたが、そそくさと連れ帰ったところを見ると、ララシャの暴走だったのだろう。
「そういえば、体つくりしていたのか?」
「いいえ、とも言えないですわね」
「え?」
「私は妊娠し易いのだと思っていましたの。でも相談を受けることもあるので、調べたのですよ。そうしたら、やっていることが、全て当てはまりましたの」
アンセムは首を傾げた。
「その1、三食、栄養バランスの取れた食事を摂る。その2、適度な運動で体力を付ける」
「適度かなぁ?」
物凄く走り込んでいたり、素振り100回をしていたり、乗馬に行ったまま、なかなか戻らなかったり、適度ではないような?
「前に比べれば、適度です」
「そ、そうか…」
「その3、ストレスの発散をする」
「それはしていたな」
溜まってはいるだろうが、間違いなく発散している。
「その4、睡眠は十分に取って、疲れを溜めない」
「よく寝ているな」
書類が終わった途端に眠り出すこともあると聞いている、子どもたちと遊んでいると顔を出すと、皆で固まって眠っているのを見たこともある。
薬でも盛られたのかと思って焦ったくらいだ。
「その5、痩せ過ぎず、太り過ぎないようにする。以上です」
「出来ていると思う」
「そうでしょう?ですので、運が良いというのは否定は出来ませんが、いいえではありませんが、はいとも言えない。ララシャは簡単に妊娠した思っているから、アリルを寄こせと言えるのだと感じたので、言わせないために言ってみました」
「理解した」
誰でも出来ることはではあるが、ソアリスは妊娠中は控えていることはあっても、継続的に続けている。それが巡り巡って、気晴らしのためであったとしてもである。
「いいえ、書いてません」
アンセムは光を失ったような瞳からソアリスが、雑巾をきつく締める言葉が出る寸前だと感じ、切り上げることにした。
「そろそろ、公務が残っておりますので、よろしいですか」
「ああ、時間を取って貰って済まなかった。ララシャ帰ろう」
「えっ、嘘よ…だって」
ララシャはソアリスに嘘だと言ってと言いながら、帰って行った。アンセムもどっと疲れ、付き添っていた側近クイオもげっそりしていた。
「はあ…お疲れ様」
「臭い雑巾でしたね」
さらりと言ってのけるソアリス。ソアリスの前には湿った臭い雑巾が、ずっとソファに置いてあった。人とは思わず、だからこそ冷静に話をしていた。
だって、相手は雑巾だから。
「あっ、ああ、また言い出すとは思わなかった。ララシャ妃は諦めていたなかったんだな…」
「元々あれは理解が出来ませんでしたが、今日はさすが雑巾!ますます理解が出来ませんでしたわ」
「ああ、そうだな。よく我慢したな」
アンセムは雑巾だと聞きながら、まさかソアリスが人ではない扱いにしているとは思わず、姉ということもあって、私室の様に爆発するのではないかとヒヤヒヤしたが、汚い言葉を使うことは一度もなかったことに安堵した。
こんなことでソアリスが非難されるのを避けたかったからである。
「ララシャには暴言は下品よと言って、利きませんからね。言うだけ無駄なのです」
「そうだったのか…」
ということは、言ってはいたが、言わなくなったということだろう。
「憧れられていると思っていたとは、知りませんでした。気色の悪い雑巾だわ」
「そ、そうだな…だからソアリスに言えば、どうにかなると思っていたんだろうな」
「そんなはずありませんのに、さすが雑巾!」
「もう雑巾は帰った、ショックだったようだから、大人しくなるんじゃないか」
「ええ、リベル殿下は今日は雑巾ではありませんでしたわね。期待しますわ」
リベルはララシャを止めており、振りをしているのかと思っていたが、そそくさと連れ帰ったところを見ると、ララシャの暴走だったのだろう。
「そういえば、体つくりしていたのか?」
「いいえ、とも言えないですわね」
「え?」
「私は妊娠し易いのだと思っていましたの。でも相談を受けることもあるので、調べたのですよ。そうしたら、やっていることが、全て当てはまりましたの」
アンセムは首を傾げた。
「その1、三食、栄養バランスの取れた食事を摂る。その2、適度な運動で体力を付ける」
「適度かなぁ?」
物凄く走り込んでいたり、素振り100回をしていたり、乗馬に行ったまま、なかなか戻らなかったり、適度ではないような?
「前に比べれば、適度です」
「そ、そうか…」
「その3、ストレスの発散をする」
「それはしていたな」
溜まってはいるだろうが、間違いなく発散している。
「その4、睡眠は十分に取って、疲れを溜めない」
「よく寝ているな」
書類が終わった途端に眠り出すこともあると聞いている、子どもたちと遊んでいると顔を出すと、皆で固まって眠っているのを見たこともある。
薬でも盛られたのかと思って焦ったくらいだ。
「その5、痩せ過ぎず、太り過ぎないようにする。以上です」
「出来ていると思う」
「そうでしょう?ですので、運が良いというのは否定は出来ませんが、いいえではありませんが、はいとも言えない。ララシャは簡単に妊娠した思っているから、アリルを寄こせと言えるのだと感じたので、言わせないために言ってみました」
「理解した」
誰でも出来ることはではあるが、ソアリスは妊娠中は控えていることはあっても、継続的に続けている。それが巡り巡って、気晴らしのためであったとしてもである。
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