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希望
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飽き飽きして来たソアリスはそろそろエクルを見せて、帰って貰おうと考えた。謝罪も兼ねてはいるが、エクルに会いたいというのが目的である。エクルはアンセムに似ており、あまり興味を示さないと考えている。
「そろそろエクルを連れて来てもらえる?」
「承知しました」
侍女がエクルを看ている乳母の元へ向かった。
「どちらに似ているの?」
「殿下に似ております」
「そう…」
明らかに沈んだ声になった、偽装妊娠までして、エクルを出産したとしようと思っていたことは、ララシャの中ではすっかりなかったことになっていた。
失礼しますと、乳母がエクルをベビーバスケットに入れて、連れて来た。エクルはお昼寝中のままで、すやすや眠っている。ソアリスが預かって、空いているソファに置くと、リベルとララシャは勢いよく覗き込んだ。
「まあ、髪色は私じゃない」
「そうだな、小さくて可愛いな」
ララシャとソアリスの髪色は同じなのだから、一緒であっても不思議ではない。アンセムは外面で見ていたが、ソアリスは自分から目線が外れたのをいいことに、臭い雑巾を見る目になっている。
二人は満足したのか席に戻り、ソアリスの顔も戻り、エクルは目を覚ますこともないまま、再び乳母が連れて行った。
「お祝い、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
帰って貰おうと息を合わせたアンセムとソアリスだったが、ララシャに遮られた。
「ねえ、ソアリス?」
「何でしょうか」
「やっぱりアリルをルイス殿下の婚約者にして貰えないかしら?今日、アリルはいないの?」
「ララシャ!それは話が付いただろう」
リベルは慌てて止めたが、ララシャはまだ諦めていなかったらしい。
「だっていいご縁なのだから、勿体ないじゃない。私が育てるなんて言うつもりはないわ。お願いされれば、勿論、育てることも受け入れるわ」
ララシャは自信満々に話しているが、アンセムは眉間に皺を寄せそうになるのを堪え、ソアリスは結局はそれが本題かと思った。
「殿下から答えは聞いてらっしゃるでしょう?」
「そうだけど…ソアリスはどう思っているのか、聞かせて欲しくて」
「私も今の時点で決めるのは、良くないと思っております」
「えっ?」
ララシャはソアリスはお姉様になら預けてもいいと、是非お願いしたいと言うと、まだ信じていた。
「なぜ驚くのですか?お姉様は当事者ではありませんか」
「当事者?」
「幼い頃から結んだ婚約でしたでしょう?それでどうなりましたか?」
生まれた時からの婚約は、解消されていることは身に染みているはずだ。なぜ分からないのかが、ソアリスには理解が出来ない。
「でも、私の場合とは違うわ」
「どこがですか?」
「私がアリルの側にいるわ」
「はい?」
側にいるってなんだ?側にいて何になると言うのだ?自分の話を永遠と垂れ流すだけだろう?何が言いたいのかさっぱり分からない。
「何かあっても、私がいるから大丈夫。ソアリスなら分かるでしょう?」
「何が分かるのです?」
「だから、私がいるから大丈夫だと、ね?」
「お姉様がいるからなんだと言うのです?どうしたいのです?」
「姪をルイス殿下と結婚させたいと思っているだけよ」
「ああ、アリルに何か不都合が起きたら、私の子ではないから、ソアリスの子だからという保険が欲しいのですか?」
責任を取りたくないけど、子どものような存在が欲しいと言うことか?
「何を言っているの、そうじゃないわ」
「そう言っているようにしか聞こえません」
「どうしたの、ソアリス。私はあなたの憧れでしょう?」
「いいえ、勘違いです」
ずっとそう思われていたことに悪寒すらしたが、いつもなら気色悪い、とち狂ってんのかと、怒鳴り付けたいところだが、相手は雑巾だと心を落ち着けた。
「そろそろエクルを連れて来てもらえる?」
「承知しました」
侍女がエクルを看ている乳母の元へ向かった。
「どちらに似ているの?」
「殿下に似ております」
「そう…」
明らかに沈んだ声になった、偽装妊娠までして、エクルを出産したとしようと思っていたことは、ララシャの中ではすっかりなかったことになっていた。
失礼しますと、乳母がエクルをベビーバスケットに入れて、連れて来た。エクルはお昼寝中のままで、すやすや眠っている。ソアリスが預かって、空いているソファに置くと、リベルとララシャは勢いよく覗き込んだ。
「まあ、髪色は私じゃない」
「そうだな、小さくて可愛いな」
ララシャとソアリスの髪色は同じなのだから、一緒であっても不思議ではない。アンセムは外面で見ていたが、ソアリスは自分から目線が外れたのをいいことに、臭い雑巾を見る目になっている。
二人は満足したのか席に戻り、ソアリスの顔も戻り、エクルは目を覚ますこともないまま、再び乳母が連れて行った。
「お祝い、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
帰って貰おうと息を合わせたアンセムとソアリスだったが、ララシャに遮られた。
「ねえ、ソアリス?」
「何でしょうか」
「やっぱりアリルをルイス殿下の婚約者にして貰えないかしら?今日、アリルはいないの?」
「ララシャ!それは話が付いただろう」
リベルは慌てて止めたが、ララシャはまだ諦めていなかったらしい。
「だっていいご縁なのだから、勿体ないじゃない。私が育てるなんて言うつもりはないわ。お願いされれば、勿論、育てることも受け入れるわ」
ララシャは自信満々に話しているが、アンセムは眉間に皺を寄せそうになるのを堪え、ソアリスは結局はそれが本題かと思った。
「殿下から答えは聞いてらっしゃるでしょう?」
「そうだけど…ソアリスはどう思っているのか、聞かせて欲しくて」
「私も今の時点で決めるのは、良くないと思っております」
「えっ?」
ララシャはソアリスはお姉様になら預けてもいいと、是非お願いしたいと言うと、まだ信じていた。
「なぜ驚くのですか?お姉様は当事者ではありませんか」
「当事者?」
「幼い頃から結んだ婚約でしたでしょう?それでどうなりましたか?」
生まれた時からの婚約は、解消されていることは身に染みているはずだ。なぜ分からないのかが、ソアリスには理解が出来ない。
「でも、私の場合とは違うわ」
「どこがですか?」
「私がアリルの側にいるわ」
「はい?」
側にいるってなんだ?側にいて何になると言うのだ?自分の話を永遠と垂れ流すだけだろう?何が言いたいのかさっぱり分からない。
「何かあっても、私がいるから大丈夫。ソアリスなら分かるでしょう?」
「何が分かるのです?」
「だから、私がいるから大丈夫だと、ね?」
「お姉様がいるからなんだと言うのです?どうしたいのです?」
「姪をルイス殿下と結婚させたいと思っているだけよ」
「ああ、アリルに何か不都合が起きたら、私の子ではないから、ソアリスの子だからという保険が欲しいのですか?」
責任を取りたくないけど、子どものような存在が欲しいと言うことか?
「何を言っているの、そうじゃないわ」
「そう言っているようにしか聞こえません」
「どうしたの、ソアリス。私はあなたの憧れでしょう?」
「いいえ、勘違いです」
ずっとそう思われていたことに悪寒すらしたが、いつもなら気色悪い、とち狂ってんのかと、怒鳴り付けたいところだが、相手は雑巾だと心を落ち着けた。
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