私のバラ色ではない人生

野村にれ

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 ララシャの実家である公爵家にも相談をしていた。親としても子のことはどうにもならないが、両親は授かりものだからと二人が幸せならいいじゃないと励ました。兄君にも女児が生まれると、ララシャと会いに行ったが、公爵家の者には全く似ておらず、ララシャはあからさまに興味を示さなかった。

 そこへソアリスが女児を産み、ソアリスに似ているという情報を得ると、王太子の子・ルイスの妻にしようと、早くに会わせた方がいいから、こちらで暮らして私が面倒を看ると言い出した。私も悪い話では無いと思った。

 兄も良き架け橋になるだろうと言ってくれた。アンセム王太子は既に子がおり、妃はララシャのことが大好きな妹ならば、応じると思ったのだ。ララシャに出来ることはしてやりたい。

「無理強いは出来ない。結婚のことは追々として、もう少し大きくなったら、二人で会いに行ってみようか」
「…ええ、そうね。ソアリスにも会えるように伝えてくれる?あの子も私に会いたいはずよ」
「ああ、勿論だよ」

 リベルはララシャの言うことを信じているため、ソアリスがララシャに会いたいなどと思っていないことを、リベルは知らなかった。

「ご訪問ありがとうございます」
「ソアリスはどこかしら?」

 ララシャは部屋をキョロキョロと見渡したが、ソアリスの姿はない。

「妃は公務に出ております」
「ララシャが会いたがっているから、時間を取るように伝えたはずだが」
「公務があるため難しいと返事をしたはずですが?」
「それはそうだが」

 公務が優先であるために私的な理由で、時間は取れないと返事をしていた上に、ソアリスは会いたくないとわざわざ外出する公務に向かっていた。

「じゃあ、娘は?」
「アリルのことですか」
「ええ、いずれ私の子になるのですから」
「ララシャ、そのことは」
「リベル殿下、子どものことは問題にすると申し上げたはずですが」
「ああ、勿論分かっている。ちょっと気が急いてしまったのだよ。ララシャ、今日はお会いするだけという約束だっただろう」
「でも、ソアリスなら分かってくれるわ。私の子になるのよ、喜ぶはずよ」

 ララシャは未だにアリルを手元に置くことを諦めておらず、養子にするなどという話も出ていないが、勝手に娘になると口にしていた。

「さっきから何をおっしゃっているのですか」
「ソアリスなら自分より優秀な私に託すと言うはずよ?」
「ソアリスが?ありえませんよ。姉は滞りなく幸せだと言っていたから、私のおこぼれを貰うような恥ずかしい真似は、絶対にしないと言っておりましたよ?」
「なっ」
「リベル殿下、これ以上は問題になりますよ」

 アンセムはソアリスにも、リベル殿下のアリルを渡して当たり前と言わんばかりの様子を話していた。

「リベル殿はアリルを奪い取る気かもしれない」
「そうですか」
「何とも思わないのか!」
「王子ではなく、誘拐王の方がお似合いなのでは?背中に刺繍してさしあげたら?」
「そ、そうだな」

 ソアリスの素っ気ない態度につい怒りを向けてしまうこともあるが、言い合いや話し合いではなく、すぐにバツンと切るように、強い攻撃をされることを、さすがのアンセムに気付くことになった。

「最後に会った姉は自分は愛されている、万事滞りなく幸せだと申しておりましたので、私のおこぼれのような恥ずかしい真似はできませんでしょう。あれは、周りが是非と献上するのを待つのですよ」
「子が出来ぬと嘆いておるらしいが」
「それはどうにかなるものではないかもしれませんが、そんなに欲しいなら自分が産まずとも、側妃に産んで貰えばいいじゃないですか、それで出来ないなら相手に問題があるのでしょう?」
「そ、その通りだな」

 王家に嫁いだ以上、避けては通れない道だと分かっていることである。
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