52 / 67
変わらない姉
しおりを挟む
「この頃はハービスも落ち着いて、再婚を前向きに考えているようですし、問題はアデリーナだけです」
ハービスもさすがにリリンナのことは後を引き、何か気付けたのではないかと責任を感じ、人前では気を張っていたが、疲弊した様子だった。
だが友人との関係もようやく修復され、リリンナのことも被害者だと認識されているため、再婚も叶うことだろう。
「滑稽なものだな。大公閣下にいいところを見せようと、必死で会いに行ったアデリーナと、会いに来られたアイレット」
「二人が関わることはないでしょうから、嫌な思いをさせなくて済むことだけが救いですわね。アイレットが気にしなくとも、姉が手柄にしようとしたなんて…」
両親は未だにアデリーナが信じられない、あの後も嘘だったと言って来ることもなければ、文句ばかりで、何もなかったかのように振舞えるのかが分からない。
「なぜあんな浅ましい真似が出来るのかが分からない」
「グランダール夫人からは苦情はないか」
「時折、反抗的な目をしていることはあるようですが、言われたことは真面目にやっているようです」
「はあ…」
「夜会はどうしますか」
約三ヶ月後に久しぶりに王家主催の大規模な夜会がある。その前におそらく、ソック伯爵やコイナー子爵は処刑が施行されるはずだ。
冤罪も証拠や、証言、食い違いなどを徹底的に調べ、既に剥奪された家門ではあるが、バートロ伯爵家、サオン子爵家、そしてこちらも既にないカットリーオ商会の罪は訂正されたいう。
「夫人からも令嬢として夜会などは出席していいと言われているから、出席させるしかないな」
「少しは変わってくれるといいのですけど」
「誰が何を言っても思考というものは、変えられないものなのか…」
アイレットは数冊の本を抱えて戻って行き、両親はまたいつでも帰って来て欲しいと、ヒルズ王国のことも聞かせて欲しいと、アイレットを見送った。
数時間後、何も知らないアデリーナが帰って来て、今日の愚痴を言っている。
「今日も疲れたわ、人使いが荒いのよ!どうして私がこんな目に」
そう言いながらもミージュリアン・グランダールに従い、社交界での影響力も知っているため、機嫌を損なえば、結婚出来なくなると思い、言われた仕事はアデリーナなりに頑張って行っている。
とは言っても、思考や発言、自分が正しいという思いの強さに問題はあるものの、礼儀作法は身に付けているため、お茶の入れ方や付き添いなどが、主な仕事である。それでも自由を制限されることはアデリーナにとって、非常に苦しい時間となる。
同じメイドもさすがに侯爵家はいないが、伯爵家、子爵家の者たちで、公爵家の縁者もいるため、報告される可能性も考えて、傲慢さは鳴りを潜めている。
「今日も縁談の申し込みはない」
毎日毎日、いつまで続くのですかと聞いて来るため、両親は面倒になって、毎日縁談の申し込みはなかったと答えるようになっている。
意見交換会に来ていた貴族は完全にアデリーナは虚言癖のある、妹の手柄を横取りするような人間だと認識されており、特に何か言って来ることはないが、また評価は下がっている。
父はアイレットのように生き甲斐を見付け、その上で納得した、いい相手と結婚してくれたらと思ってはいるが、アデリーナは変わる様子は今のところ見えない。
アイレットはヒルズ王国の迎えがやって来て、前世も含めての初めての国外へ出ることになった。
そして、アイレットがヒルズ王国に行っている間に、ついにソック伯爵、夫人、前伯爵とコイナー子爵、夫人、娘二人は処刑された。
ハービスもさすがにリリンナのことは後を引き、何か気付けたのではないかと責任を感じ、人前では気を張っていたが、疲弊した様子だった。
だが友人との関係もようやく修復され、リリンナのことも被害者だと認識されているため、再婚も叶うことだろう。
「滑稽なものだな。大公閣下にいいところを見せようと、必死で会いに行ったアデリーナと、会いに来られたアイレット」
「二人が関わることはないでしょうから、嫌な思いをさせなくて済むことだけが救いですわね。アイレットが気にしなくとも、姉が手柄にしようとしたなんて…」
両親は未だにアデリーナが信じられない、あの後も嘘だったと言って来ることもなければ、文句ばかりで、何もなかったかのように振舞えるのかが分からない。
「なぜあんな浅ましい真似が出来るのかが分からない」
「グランダール夫人からは苦情はないか」
「時折、反抗的な目をしていることはあるようですが、言われたことは真面目にやっているようです」
「はあ…」
「夜会はどうしますか」
約三ヶ月後に久しぶりに王家主催の大規模な夜会がある。その前におそらく、ソック伯爵やコイナー子爵は処刑が施行されるはずだ。
冤罪も証拠や、証言、食い違いなどを徹底的に調べ、既に剥奪された家門ではあるが、バートロ伯爵家、サオン子爵家、そしてこちらも既にないカットリーオ商会の罪は訂正されたいう。
「夫人からも令嬢として夜会などは出席していいと言われているから、出席させるしかないな」
「少しは変わってくれるといいのですけど」
「誰が何を言っても思考というものは、変えられないものなのか…」
アイレットは数冊の本を抱えて戻って行き、両親はまたいつでも帰って来て欲しいと、ヒルズ王国のことも聞かせて欲しいと、アイレットを見送った。
数時間後、何も知らないアデリーナが帰って来て、今日の愚痴を言っている。
「今日も疲れたわ、人使いが荒いのよ!どうして私がこんな目に」
そう言いながらもミージュリアン・グランダールに従い、社交界での影響力も知っているため、機嫌を損なえば、結婚出来なくなると思い、言われた仕事はアデリーナなりに頑張って行っている。
とは言っても、思考や発言、自分が正しいという思いの強さに問題はあるものの、礼儀作法は身に付けているため、お茶の入れ方や付き添いなどが、主な仕事である。それでも自由を制限されることはアデリーナにとって、非常に苦しい時間となる。
同じメイドもさすがに侯爵家はいないが、伯爵家、子爵家の者たちで、公爵家の縁者もいるため、報告される可能性も考えて、傲慢さは鳴りを潜めている。
「今日も縁談の申し込みはない」
毎日毎日、いつまで続くのですかと聞いて来るため、両親は面倒になって、毎日縁談の申し込みはなかったと答えるようになっている。
意見交換会に来ていた貴族は完全にアデリーナは虚言癖のある、妹の手柄を横取りするような人間だと認識されており、特に何か言って来ることはないが、また評価は下がっている。
父はアイレットのように生き甲斐を見付け、その上で納得した、いい相手と結婚してくれたらと思ってはいるが、アデリーナは変わる様子は今のところ見えない。
アイレットはヒルズ王国の迎えがやって来て、前世も含めての初めての国外へ出ることになった。
そして、アイレットがヒルズ王国に行っている間に、ついにソック伯爵、夫人、前伯爵とコイナー子爵、夫人、娘二人は処刑された。
458
お気に入りに追加
2,293
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
いくら時が戻っても
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。
庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。
思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは―――
短編予定。
救いなし予定。
ひたすらムカつくかもしれません。
嫌いな方は避けてください。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
【完結】結婚しておりませんけど?
との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン」
真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。
しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。
盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。
だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。
「俺の苺ちゃんがあ〜」
「早い者勝ち」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\
R15は念の為・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる