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大公閣下の帰国
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「他の教会でも行いたいと、簡易的なものを始めたところもあるそうです」
「実に素晴らしいと思います。是非、取り入れたいが、どうやって行うか…」
是非、甥の国王陛下に話をしたいが、話して終わりというわけにはいかない。現実的な話をしなくてはいけない。
「アイレットが欲しくなりましたでしょう?」
「期待以上ではありました」
もしかしたら、同じ考えの者もいたかもしれないが、彼女は実行に移して、学園側にも確認をしたが、アイレットの助言に感謝していると話し、成果を出していることに意味がある。
「生まれ持ってのもの…なのでしょうか」
「パルシエが言うには使命のようなものじゃないかと」
「使命?マスタール侯爵家のですか」
「それが、マスタール侯爵家のためとは感じないのです。アイレットの上に、兄2人とあの姉がいるのですが、3人の方がマスタール侯爵家のためと感じるのですが…」
「仲が良くないのでしょうか」
「いいとは言えないですが、兄たちは姉よりかはいい方でしょう。3人も学園では嫌がらせなどは止めていたんです。だが止めるだけ…」
「ああ…その後は知らない、その場限りということですか」
正直、正義感のある者でもその程度だろう。高位貴族なら強い力はあるが、影で行われれば分かるはずもない。
「はい、酷い状況になった子もいて、マスタール侯爵が対応をしていました。それも氷山の一角に過ぎないかもしれませんが…アイレットが全て対応していたかといえば、それも否でしょう。私にも気付いてという子もいたかもしれない、だからこそカウンセラーに任せたのです」
「目が増えますからね」
第三者の機関に専門家に調査させ、ケアの方にはカウンセラー、医者、あとは弁護人がいてもいい、修道女も視野に入れてもいいかもしれない。
「そうです、アイレットには気を付けようという者もいたでしょうから、助けて欲しいと言い出せる場所を作ること、逃げ出す場所は教会でもいいというのも、彼女が導いたような気がします」
「分かっていてやっているのか、そうではないのか…不思議な方ですね」
国にとって人は一番大事にしなければいけない存在だ。それを身分だけで、何も言えなくなることはなくしていかなくてはいけない。身分がある者も、ちゃんと尊敬される立場にいなければならない。
「皆、アイレットが、どのような道に進むのか興味がありましたからね。私も修道女と聞き、驚きましたが、あの姿を見て、納得以外にありませんでしょう」
「はい、やり甲斐を感じている」
「教会同士であれば、助っ人として招くことは可能かもしれませんよ?」
「よろしいのですか」
「ええ、未来の子どもたちのため…それはどの国も同じでしょう。あと、彼女ならおそらく、ヒルズ王国の知識も頭にありますからね。どこに出しても恥ずかしくない。姉の方と違って」
アイレットであれば、自ら粗相をすることはない。しかも立場は修道女となれば、目の敵にされるようなこともないだろう。
「ああ、似ていなくもないですが、本質が全く違いますね」
「はい、姉はメイドとして働くことになったようです。厳しい夫人のいる邸ですから、扱かれていると思います」
「それはいいことですね」
アデリーナはグランダール公爵家に働きに行くようになり、疲弊して帰って来ることから、しっかり勤めてはいるようであった。
ローグレイン大公閣下は、ヒルズ王国に戻り、第三者の機関、買い物の授業ことを話すと、人選には注意が必要であるが、授業の方はすぐにでも動くことになった。
そして、アイレットにヒルズ王国の教会から、是非買い物の授業を教えに来て欲しいという打診が行われ、アイレットはさすがに驚いていたそうだ。
「実に素晴らしいと思います。是非、取り入れたいが、どうやって行うか…」
是非、甥の国王陛下に話をしたいが、話して終わりというわけにはいかない。現実的な話をしなくてはいけない。
「アイレットが欲しくなりましたでしょう?」
「期待以上ではありました」
もしかしたら、同じ考えの者もいたかもしれないが、彼女は実行に移して、学園側にも確認をしたが、アイレットの助言に感謝していると話し、成果を出していることに意味がある。
「生まれ持ってのもの…なのでしょうか」
「パルシエが言うには使命のようなものじゃないかと」
「使命?マスタール侯爵家のですか」
「それが、マスタール侯爵家のためとは感じないのです。アイレットの上に、兄2人とあの姉がいるのですが、3人の方がマスタール侯爵家のためと感じるのですが…」
「仲が良くないのでしょうか」
「いいとは言えないですが、兄たちは姉よりかはいい方でしょう。3人も学園では嫌がらせなどは止めていたんです。だが止めるだけ…」
「ああ…その後は知らない、その場限りということですか」
正直、正義感のある者でもその程度だろう。高位貴族なら強い力はあるが、影で行われれば分かるはずもない。
「はい、酷い状況になった子もいて、マスタール侯爵が対応をしていました。それも氷山の一角に過ぎないかもしれませんが…アイレットが全て対応していたかといえば、それも否でしょう。私にも気付いてという子もいたかもしれない、だからこそカウンセラーに任せたのです」
「目が増えますからね」
第三者の機関に専門家に調査させ、ケアの方にはカウンセラー、医者、あとは弁護人がいてもいい、修道女も視野に入れてもいいかもしれない。
「そうです、アイレットには気を付けようという者もいたでしょうから、助けて欲しいと言い出せる場所を作ること、逃げ出す場所は教会でもいいというのも、彼女が導いたような気がします」
「分かっていてやっているのか、そうではないのか…不思議な方ですね」
国にとって人は一番大事にしなければいけない存在だ。それを身分だけで、何も言えなくなることはなくしていかなくてはいけない。身分がある者も、ちゃんと尊敬される立場にいなければならない。
「皆、アイレットが、どのような道に進むのか興味がありましたからね。私も修道女と聞き、驚きましたが、あの姿を見て、納得以外にありませんでしょう」
「はい、やり甲斐を感じている」
「教会同士であれば、助っ人として招くことは可能かもしれませんよ?」
「よろしいのですか」
「ええ、未来の子どもたちのため…それはどの国も同じでしょう。あと、彼女ならおそらく、ヒルズ王国の知識も頭にありますからね。どこに出しても恥ずかしくない。姉の方と違って」
アイレットであれば、自ら粗相をすることはない。しかも立場は修道女となれば、目の敵にされるようなこともないだろう。
「ああ、似ていなくもないですが、本質が全く違いますね」
「はい、姉はメイドとして働くことになったようです。厳しい夫人のいる邸ですから、扱かれていると思います」
「それはいいことですね」
アデリーナはグランダール公爵家に働きに行くようになり、疲弊して帰って来ることから、しっかり勤めてはいるようであった。
ローグレイン大公閣下は、ヒルズ王国に戻り、第三者の機関、買い物の授業ことを話すと、人選には注意が必要であるが、授業の方はすぐにでも動くことになった。
そして、アイレットにヒルズ王国の教会から、是非買い物の授業を教えに来て欲しいという打診が行われ、アイレットはさすがに驚いていたそうだ。
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