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意見交換会4
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「大公閣下、失礼しました」
「熱くなってしまい、申し訳ございませんでした」
「彼女のことはマスタール侯爵に伝えますので」
「ああ、別の件の話をしましょう」
アデリーナは騎士によって、無理矢理連れ出され、馬車に乗せられて帰された。パルシエも席に戻り、別の件で意見を交わし、意見交換会は終わった。ヒルズ王国の方が進んでいるとはいえ、問題はどこも似たようなものだ。
「先程は国の者が大変、失礼しました」
「アイレット嬢は虐げられていたのですか」
アデリーナの様子を見れば、そう思われても仕方がないところだ。
「いえ、そうではないのです。確かに彼女は普段は無口で静かな子です。ですので、特にきょうだいに見下されていたというのが一番かと思います」
「3年間1位でも?」
「はい、娘が言ったように、彼女は自身が1位であることさえ知らなかった。いえ、興味がなかったのです。彼女の目的は知識を身に付け、修道女になり、子どもたちに教えることが目的でしたから」
「成績に興味はなく、己のための勉強がいい成績を生んだと?」
「はい、その通りでございます。去年、我が国で罪を擦り付け、麻薬や人身売買をしていた貴族の事件を知っていますか」
大規模な摘発となった事件だった、是非聞いてみたかったが、こちらから聞き出すのも、憚られるため、公の場で聞くのは止めたのだ。
「はい、聞いております。聞きたいところではありましたが、まだ処刑されていないのですよね?」
「はい、麻薬や人身売買の聞き取りも罰も決まっておりますが、冤罪の方が実はまだ調査をしている部分もありまして」
「そうでしたか」
冤罪は十八年以上前からだという、証拠や証人といった裏取り調査も、なかなか時間が掛かることだろう。
「あの事件のきっかけ、いえ、見付けたと言っても過言ではないのです」
「アイレット嬢が?」
まだ顔も見たこともないが、一人の才女がどれだけ影響を与えているのだと、ますます興味を持った。
「はい、先程の姉君を見れば分かるように、マスタール侯爵家では悪を憎むことが教えとしてあったそうですが、アイレット嬢は違った。肩入れしない状況で、父親が監査をしたある事件の資料を見たいと言いまして、娘から彼女のことは聞いていたので、私が力を貸したのです。それがあんな大きな事件になるとは思いもしませんでしたが、何かあるのではないかと感じたのも事実です」
「惹き付ける何かがあるのでしょうか」
「娘はそう言います、私も話をしてみたいと思う気持ちは持ちました」
フォリッチ公爵もパルシエが初めての試験で1位はアイレット・マスタールだったと聞き、末の娘は賢いのだなとくらいにしか思っていなかったが、その次も1位はまたアイレットだったと言い、もはや1位はアイレットに決まっているじゃないとなってから、カウンセラーの話を聞き、保護者である貴族は寄付を増やすから行って欲しいという者が多かく、反対する者は後ろ暗いことがあると勘繰られるほどだった。
「無口だと」
「普段はです。事件の時もしっかり意見を言っており、必要がある時は話しますという感じでしょうか。クリスティアナ教会におりますので、会いに行かれるのであれば、ご案内いたします」
無口だということで意思疎通が出来るのかと思ったら、嘘だったのかと思うほど、しっかり話し、芯のある子だと感じた。結婚に興味もなく、賢いこと、周りをよく見ているから、女官や立場のある仕事に就くのもいいのではないかと思ったが、修道女になって、子どもに勉強を教えたいと言い、迷いすらないようだった。
「是非、お願いしたい」
「先程の姉君の方はマスタール侯爵に任せようと思いますが、よろしいですか」
「信用出来るのですよね?」
「はい、アイレット嬢が見付け、調査の指揮を執ったのはマスタール侯爵ですから、愚かな判断はしないはずです」
「分かりました」
「熱くなってしまい、申し訳ございませんでした」
「彼女のことはマスタール侯爵に伝えますので」
「ああ、別の件の話をしましょう」
アデリーナは騎士によって、無理矢理連れ出され、馬車に乗せられて帰された。パルシエも席に戻り、別の件で意見を交わし、意見交換会は終わった。ヒルズ王国の方が進んでいるとはいえ、問題はどこも似たようなものだ。
「先程は国の者が大変、失礼しました」
「アイレット嬢は虐げられていたのですか」
アデリーナの様子を見れば、そう思われても仕方がないところだ。
「いえ、そうではないのです。確かに彼女は普段は無口で静かな子です。ですので、特にきょうだいに見下されていたというのが一番かと思います」
「3年間1位でも?」
「はい、娘が言ったように、彼女は自身が1位であることさえ知らなかった。いえ、興味がなかったのです。彼女の目的は知識を身に付け、修道女になり、子どもたちに教えることが目的でしたから」
「成績に興味はなく、己のための勉強がいい成績を生んだと?」
「はい、その通りでございます。去年、我が国で罪を擦り付け、麻薬や人身売買をしていた貴族の事件を知っていますか」
大規模な摘発となった事件だった、是非聞いてみたかったが、こちらから聞き出すのも、憚られるため、公の場で聞くのは止めたのだ。
「はい、聞いております。聞きたいところではありましたが、まだ処刑されていないのですよね?」
「はい、麻薬や人身売買の聞き取りも罰も決まっておりますが、冤罪の方が実はまだ調査をしている部分もありまして」
「そうでしたか」
冤罪は十八年以上前からだという、証拠や証人といった裏取り調査も、なかなか時間が掛かることだろう。
「あの事件のきっかけ、いえ、見付けたと言っても過言ではないのです」
「アイレット嬢が?」
まだ顔も見たこともないが、一人の才女がどれだけ影響を与えているのだと、ますます興味を持った。
「はい、先程の姉君を見れば分かるように、マスタール侯爵家では悪を憎むことが教えとしてあったそうですが、アイレット嬢は違った。肩入れしない状況で、父親が監査をしたある事件の資料を見たいと言いまして、娘から彼女のことは聞いていたので、私が力を貸したのです。それがあんな大きな事件になるとは思いもしませんでしたが、何かあるのではないかと感じたのも事実です」
「惹き付ける何かがあるのでしょうか」
「娘はそう言います、私も話をしてみたいと思う気持ちは持ちました」
フォリッチ公爵もパルシエが初めての試験で1位はアイレット・マスタールだったと聞き、末の娘は賢いのだなとくらいにしか思っていなかったが、その次も1位はまたアイレットだったと言い、もはや1位はアイレットに決まっているじゃないとなってから、カウンセラーの話を聞き、保護者である貴族は寄付を増やすから行って欲しいという者が多かく、反対する者は後ろ暗いことがあると勘繰られるほどだった。
「無口だと」
「普段はです。事件の時もしっかり意見を言っており、必要がある時は話しますという感じでしょうか。クリスティアナ教会におりますので、会いに行かれるのであれば、ご案内いたします」
無口だということで意思疎通が出来るのかと思ったら、嘘だったのかと思うほど、しっかり話し、芯のある子だと感じた。結婚に興味もなく、賢いこと、周りをよく見ているから、女官や立場のある仕事に就くのもいいのではないかと思ったが、修道女になって、子どもに勉強を教えたいと言い、迷いすらないようだった。
「是非、お願いしたい」
「先程の姉君の方はマスタール侯爵に任せようと思いますが、よろしいですか」
「信用出来るのですよね?」
「はい、アイレット嬢が見付け、調査の指揮を執ったのはマスタール侯爵ですから、愚かな判断はしないはずです」
「分かりました」
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