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父
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アレクスはもう自分に残されたのは、後悔と懺悔の道だけだと思っている。
ユーリへの暴言は、今となってはどうしてあんなにも強気に出られたのかというほど、思い出すだけで苦しくなってしまう。酷い時は嘔吐するようになった。
使用人は心配してくれるが、私にはもうそんな資格すらない。吐き気を催していたのはユーリの方だろう。
始まりはきっと、サイラを初めて怒った時だろう。
見初めて金にものを言わせた結婚ではあったが、とても大事に思っていた。だが苛立っていた際に、ついサイラに当たってしまい、サイラがビクっとしながら、従ったことで、調子に乗るようになった。
言うことを利かせればいい、私を気に掛けて欲しい、酷い心情だった。
その延長で、嫌われていると聞かされたユーリにも、自分を気に掛けるように仕向けるために、辛く当たり続けた。
その結果が自害だなんて、思ってもいなかった。
あの日、ユーリが毒を飲んだと言った日、眠ろうとしても怖くて、体が震えて眠れなかった。きっと薬師なんだから、朝になれば起きて来るはずだと、現実逃避したのが間違いだった。
私は縋り付いて謝るべきだった、朝になればではなく、あの一瞬でなければならなかった。それなのに自らが放棄してしまった。
ユーリは望まなかったかもしれないが、医師を、薬師を呼んで、助ける方法だってあったかもしれない。だが、私のすべきことは、まず謝罪だった。
嫌がられても誠心誠意、謝罪をして、ユーリが生きたいと思わせないとならなかった。そして、改めて私が自害すべきだった。
そうすれば、ユーリも許してくれたかもしれない。
メルベールに「お父様が死ねば良かった」と言われた時はショックだったが、今となってはその通りだと思う。
殺したのは、私だ。間違いない。自害ではない、殺人だ。
ユーリが何でも言うことを聞くのをいいことに、都合よく扱える駒の様に思うようになっていた。娘だと思わなくなっていた。
ユーリが笑っている顔をどうしても思い出せない、苦痛な顔と血を吐く姿が何度も頭を駆け巡っていた。
メルベールのことは私にも責任がある。今でも強くは怒れないが、どうでもよくなってしまっていた。メルベールと話しながらも、ユーリのことばかり考えて、メルベールのことを考えられずにいる。
あれだけ可愛がっていたのに、自分でも分からないほど、興味がない。構って欲しいと言って来たから、構っていただけなのではないかとすら思う。
都合のいいことを言っているのは気付いていたが、まさか幼い子どもが嘘をつき、その後も嘘を重ねているとは思わなかった。
嘘だったと言われた時に、私は全ての暴言がユーリが嫌っているから仕方ないということで、成り立っていたことに気付いて、絶望した。
ユーリが親しくしていた夫人たちにも、サイラに付き添われて、全て私の責任だと言って回った。皆、厳しい目つきだったが、怒る資格があるのはユーリだけだと、ただ悲しくて寂しいと言われて、返す言葉がなかった。
サイラが出て行ったのも、仕方のないことだった。
出て行っても変わらず、生活をしていたようにサイラは困ることはない。
サイラも縛り付けて、絶対に逃げられることはないと思っていた。今となってはサイラに捨てられるのが酷く怖い。
「ユーリは何のために生まれて来たのでしょうね…あなたに殺されるために、私はあの子を産んだのでしょうか」
サイラにそう言われた時、体の中の空洞に得体のしれない、重たい空気が流れたような感覚に陥った。
愛しているなどと、ユーリに言う資格もなければ、涙を流す資格すらない。
私が死んで地獄に落ちる瞬間まで、ユーリに懺悔しなくてはいけない。
ユーリへの暴言は、今となってはどうしてあんなにも強気に出られたのかというほど、思い出すだけで苦しくなってしまう。酷い時は嘔吐するようになった。
使用人は心配してくれるが、私にはもうそんな資格すらない。吐き気を催していたのはユーリの方だろう。
始まりはきっと、サイラを初めて怒った時だろう。
見初めて金にものを言わせた結婚ではあったが、とても大事に思っていた。だが苛立っていた際に、ついサイラに当たってしまい、サイラがビクっとしながら、従ったことで、調子に乗るようになった。
言うことを利かせればいい、私を気に掛けて欲しい、酷い心情だった。
その延長で、嫌われていると聞かされたユーリにも、自分を気に掛けるように仕向けるために、辛く当たり続けた。
その結果が自害だなんて、思ってもいなかった。
あの日、ユーリが毒を飲んだと言った日、眠ろうとしても怖くて、体が震えて眠れなかった。きっと薬師なんだから、朝になれば起きて来るはずだと、現実逃避したのが間違いだった。
私は縋り付いて謝るべきだった、朝になればではなく、あの一瞬でなければならなかった。それなのに自らが放棄してしまった。
ユーリは望まなかったかもしれないが、医師を、薬師を呼んで、助ける方法だってあったかもしれない。だが、私のすべきことは、まず謝罪だった。
嫌がられても誠心誠意、謝罪をして、ユーリが生きたいと思わせないとならなかった。そして、改めて私が自害すべきだった。
そうすれば、ユーリも許してくれたかもしれない。
メルベールに「お父様が死ねば良かった」と言われた時はショックだったが、今となってはその通りだと思う。
殺したのは、私だ。間違いない。自害ではない、殺人だ。
ユーリが何でも言うことを聞くのをいいことに、都合よく扱える駒の様に思うようになっていた。娘だと思わなくなっていた。
ユーリが笑っている顔をどうしても思い出せない、苦痛な顔と血を吐く姿が何度も頭を駆け巡っていた。
メルベールのことは私にも責任がある。今でも強くは怒れないが、どうでもよくなってしまっていた。メルベールと話しながらも、ユーリのことばかり考えて、メルベールのことを考えられずにいる。
あれだけ可愛がっていたのに、自分でも分からないほど、興味がない。構って欲しいと言って来たから、構っていただけなのではないかとすら思う。
都合のいいことを言っているのは気付いていたが、まさか幼い子どもが嘘をつき、その後も嘘を重ねているとは思わなかった。
嘘だったと言われた時に、私は全ての暴言がユーリが嫌っているから仕方ないということで、成り立っていたことに気付いて、絶望した。
ユーリが親しくしていた夫人たちにも、サイラに付き添われて、全て私の責任だと言って回った。皆、厳しい目つきだったが、怒る資格があるのはユーリだけだと、ただ悲しくて寂しいと言われて、返す言葉がなかった。
サイラが出て行ったのも、仕方のないことだった。
出て行っても変わらず、生活をしていたようにサイラは困ることはない。
サイラも縛り付けて、絶対に逃げられることはないと思っていた。今となってはサイラに捨てられるのが酷く怖い。
「ユーリは何のために生まれて来たのでしょうね…あなたに殺されるために、私はあの子を産んだのでしょうか」
サイラにそう言われた時、体の中の空洞に得体のしれない、重たい空気が流れたような感覚に陥った。
愛しているなどと、ユーリに言う資格もなければ、涙を流す資格すらない。
私が死んで地獄に落ちる瞬間まで、ユーリに懺悔しなくてはいけない。
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