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答え12
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「そうね、でもそれを社交界や友人に話すのはどうなのかしら?ユーリが亡くなっている時に、あなたは何をしていたのかを話したことになるのよ?それが周りからどう見られるか分からないの?」
「で、でもあの時のことだなんて言っていないわ」
「アベリーが事件を起こした後なのだから同じでしょう?」
「それは…」
どちらにしても不謹慎だと取られてしまうってことか…でも母が気にし過ぎなだけで、そんなことを気にするとは思えない。
「同じホテルに泊まってらした方は、最初は驚いたそうよ。ユーリはメルベールに殺されたのではないかというほどに」
「そんな!そんなことするはずないじゃない」
殺すなんてあり得ない、どうして私がそんな風に思われないといけないのよ。
「知らなかったと聞いても、よくも妹が急死した時の話を、にこにこと話が出来るわねと、頭が悪いのねと思われているそうよ」
「友人なら分かってくれているもの…」
「それも、どうかしら?ディーラ・イエルには会ったの?もう会って貰えていないんじゃない?」
「最近は会っていないけど、それは忙しいからで」
あれから誘いはないが、まだアベリーもいたから侯爵邸に呼ぶことは出来ず、気を使ってくれているのだろうと思い、こちらから誘おうと思っていたところだった。
「本気でそう思っているの?まあ、おそらくあなたのことだから把握できていないんでしょう?」
「どういう意味?」
「あなた出席者の繋がりが分かっていないでしょう?いつものようにユーリはいないとしても、レイア夫人がいるから覚えなくていいと思ったのでしょう?」
レイア夫人は出席者との繋がりに勘付いたようで、サイラを見た。
「シュアト公爵家の茶会にいらしたでしょう?ディーラ夫人の夫の母親のお姉様が」
「えっ」
「ネックレスを指摘したリナース・ガルツ侯爵夫人がお姉様です…あなた、友人の親族すら分かっていないの?」
答えたのはレイアだった。レイアはディーラ夫人とメルベールが友人だと把握していなかった。
「そんな…」
メルベールもさすがにネックレスを指摘した人は覚えていた、だがあの夫人がディーラのおばに当たるとは知らなかった。いつもならユーリがいたので、関係性をそっと教えてくれていた。
「でもディーラには関係ないじゃない」
「そうね、ディーラ夫人がそう思えば、お誘いがあるんじゃない?」
「あるに決まっているわ、友人だもの」
ディーラに会いに行けば、変わらないことは分かる。母は繊細で、仲のいい友人もいないから、分からないのよ。
「その前に貴族、ましてや次期当主ですよ?まあ、そちらは自ずと分かることでしょうから、それより先程のユーリがキリアムくんに好意を持っていたというのは、どういうことなの?」
「だから、そう思っただけなの」
「それなのに、あなたはキリアム君に言い寄ったのね?」
「違うわ」
「ユーリにノートを作らせて、刺繍をさせて、クッキー、カップケーキを焼かせて、サンドイッチもあったわよね?それもユーリではなく、自分が作ったと言ったの?」
キリアムは深く項垂れた。全て貰った記憶がある。
「そ、そんなことしてないわ」
「そう…てっきり、あれもキリアムくんに渡したのかと思っていたわ」
「キリアム、違うからね!ユーリに作って貰ったこともあるけど、キリアムに渡した物はちゃんと私が作った物よ!お母様、変な言い方しないで」
ユーリに作って貰った物だが、ユーリには下手でもメルベールが作った方がいいと言われたが、下手だと思われるのが嫌だった。ユーリにはお手本にするだけだと言って作って貰っていた。
「じゃあ、キリアムくんにはどんな刺繍をしたの?言って頂戴、好きな人に渡すものだから覚えているわよね?」
「私も覚えている、2枚ある」
「ええっと、花よね?」
刺繍と言えば花だろう、何だっただろうか…薔薇くらいしか思いつかない。
「で、でもあの時のことだなんて言っていないわ」
「アベリーが事件を起こした後なのだから同じでしょう?」
「それは…」
どちらにしても不謹慎だと取られてしまうってことか…でも母が気にし過ぎなだけで、そんなことを気にするとは思えない。
「同じホテルに泊まってらした方は、最初は驚いたそうよ。ユーリはメルベールに殺されたのではないかというほどに」
「そんな!そんなことするはずないじゃない」
殺すなんてあり得ない、どうして私がそんな風に思われないといけないのよ。
「知らなかったと聞いても、よくも妹が急死した時の話を、にこにこと話が出来るわねと、頭が悪いのねと思われているそうよ」
「友人なら分かってくれているもの…」
「それも、どうかしら?ディーラ・イエルには会ったの?もう会って貰えていないんじゃない?」
「最近は会っていないけど、それは忙しいからで」
あれから誘いはないが、まだアベリーもいたから侯爵邸に呼ぶことは出来ず、気を使ってくれているのだろうと思い、こちらから誘おうと思っていたところだった。
「本気でそう思っているの?まあ、おそらくあなたのことだから把握できていないんでしょう?」
「どういう意味?」
「あなた出席者の繋がりが分かっていないでしょう?いつものようにユーリはいないとしても、レイア夫人がいるから覚えなくていいと思ったのでしょう?」
レイア夫人は出席者との繋がりに勘付いたようで、サイラを見た。
「シュアト公爵家の茶会にいらしたでしょう?ディーラ夫人の夫の母親のお姉様が」
「えっ」
「ネックレスを指摘したリナース・ガルツ侯爵夫人がお姉様です…あなた、友人の親族すら分かっていないの?」
答えたのはレイアだった。レイアはディーラ夫人とメルベールが友人だと把握していなかった。
「そんな…」
メルベールもさすがにネックレスを指摘した人は覚えていた、だがあの夫人がディーラのおばに当たるとは知らなかった。いつもならユーリがいたので、関係性をそっと教えてくれていた。
「でもディーラには関係ないじゃない」
「そうね、ディーラ夫人がそう思えば、お誘いがあるんじゃない?」
「あるに決まっているわ、友人だもの」
ディーラに会いに行けば、変わらないことは分かる。母は繊細で、仲のいい友人もいないから、分からないのよ。
「その前に貴族、ましてや次期当主ですよ?まあ、そちらは自ずと分かることでしょうから、それより先程のユーリがキリアムくんに好意を持っていたというのは、どういうことなの?」
「だから、そう思っただけなの」
「それなのに、あなたはキリアム君に言い寄ったのね?」
「違うわ」
「ユーリにノートを作らせて、刺繍をさせて、クッキー、カップケーキを焼かせて、サンドイッチもあったわよね?それもユーリではなく、自分が作ったと言ったの?」
キリアムは深く項垂れた。全て貰った記憶がある。
「そ、そんなことしてないわ」
「そう…てっきり、あれもキリアムくんに渡したのかと思っていたわ」
「キリアム、違うからね!ユーリに作って貰ったこともあるけど、キリアムに渡した物はちゃんと私が作った物よ!お母様、変な言い方しないで」
ユーリに作って貰った物だが、ユーリには下手でもメルベールが作った方がいいと言われたが、下手だと思われるのが嫌だった。ユーリにはお手本にするだけだと言って作って貰っていた。
「じゃあ、キリアムくんにはどんな刺繍をしたの?言って頂戴、好きな人に渡すものだから覚えているわよね?」
「私も覚えている、2枚ある」
「ええっと、花よね?」
刺繍と言えば花だろう、何だっただろうか…薔薇くらいしか思いつかない。
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