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答え10
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「どうせ値段も分からないんだろう?全部、嘘だもんな」
「そんなことない!どうして私を信じてくれないのよ!」
「信じられる要素がどこにある?」
「っな、何で…」
メルベールはユーリが亡くなって、キリアムから厳しい言葉を掛けられることは増えていたが、夫婦なのだからと重く受け止めていなかった。
「贈ってもいないのに、私に贈ったと言って嘘を付き、私は母上と同じように何も返していないことになっているんだぞ?分かっているのか」
「でも、私の両親よ…」
「君にはだろう?君は散々母上の贈り物が気に入らないと言っていたが、同じことをしているじゃないか。信じられるわけないだろう」
メルベールはショックだった、あんなに恥ずかしいと思っていた義母と同じだと思われるとは思っていなかった。
「まあまあ、別に私たちはそんな物は求めていない」
「ほら!お父様がいいって言っているんだからいいじゃない。こんなことで喧嘩なんて、良くないわ」
またアレクスはメルベールを庇ったが、そんなことでキリアムの失望を覆すことなど出来るはずがなかった。
「私は何も良くない!贈り物は確かに些細なことなのかもしれない。だが、母上は強請っていたことと返さなかったこと、嘘を付いたのが問題。それは君も分かるんだろう?だから、君も嘘を付いたことが問題なんだ、人としての話をしているのが、やはり分からないのか?」
「それは…」
「どれが嘘なんだ?それとも本当のことを聞く方が早いのか?」
メルベールはユーリに関して、嘘という感覚を持っていなかった。
双子の妹なのだから、私を助けてくれて当たり前だと思っており、邸内で通用するくらいのことを普通だと思って生きて来た。だがユーリがいなくなった今、全てが嘘という形で返って来ている。
「報告書だって、ユーリにやらせていたんだろう?」
「え?何を、言っているの?そんな訳ないじゃない」
あからさまに動揺を見せたが、キリアムとオーランドはサイラにも話を聞こうと、報告書を持って来ていた。
「父上、結婚してからの報告書はメルベールではなく、ユーリが行っていたようです。こちらに証拠もあります」
「何だと?」「何ですって!」
塞ぎ込んでいたレイラもキリアムとオーランドが出した報告書に、飛び付いた。
「こちらがクレナ伯爵家の物で、こちらが私が父上に提出していたものです。全く同じでしょう?それで今回、メルベールにやらせた物がこちらです」
「何だこれは…」
「よく似ているけど…メルベール、私はあなたに教えましたよね?」
「…あの、それは」
「嘘はもう付かないでくれ、吐きそうだ」
「っっっ」
メルベールは言葉が出て来ず、唇を噛みしめて、黙り込んでしまった。
「メルベール、侯爵様にどうしてユーリにやらせたのか答えなさい。やってくれるユーリも、都合よく扱えるユーリはいないのですよ」
「……こういうことはユーリの方が得意だから、教えてもらっていて」
「教えてもらうなら私でしょう!」
レイアが隣の邸にいるのに、わざわざユーリを呼び出して、教えてもらう必要がない。もう何年も経っているのに、出来ていない。
「出来ない思われたくない、でも面倒なことはしたくない、双子だから、同じ家に嫁いだからユーリにやって貰っても問題ない。そうじゃない?」
「っ」
「これからどうするつもりだったんだ?」
「何も言わなかったから、大丈夫だったのかと思って」
「メルベールはあまり得意ではなかったのでしょう、元は同じ家なのですから、そう責めないでやってください。これからはちゃんとやるでしょう、なあメルベール?」
「ええ、勿論です」
「ふざけるな!」
アレクスの援護は、ただただキリアムを怒らせるだけであった。
「そんなことない!どうして私を信じてくれないのよ!」
「信じられる要素がどこにある?」
「っな、何で…」
メルベールはユーリが亡くなって、キリアムから厳しい言葉を掛けられることは増えていたが、夫婦なのだからと重く受け止めていなかった。
「贈ってもいないのに、私に贈ったと言って嘘を付き、私は母上と同じように何も返していないことになっているんだぞ?分かっているのか」
「でも、私の両親よ…」
「君にはだろう?君は散々母上の贈り物が気に入らないと言っていたが、同じことをしているじゃないか。信じられるわけないだろう」
メルベールはショックだった、あんなに恥ずかしいと思っていた義母と同じだと思われるとは思っていなかった。
「まあまあ、別に私たちはそんな物は求めていない」
「ほら!お父様がいいって言っているんだからいいじゃない。こんなことで喧嘩なんて、良くないわ」
またアレクスはメルベールを庇ったが、そんなことでキリアムの失望を覆すことなど出来るはずがなかった。
「私は何も良くない!贈り物は確かに些細なことなのかもしれない。だが、母上は強請っていたことと返さなかったこと、嘘を付いたのが問題。それは君も分かるんだろう?だから、君も嘘を付いたことが問題なんだ、人としての話をしているのが、やはり分からないのか?」
「それは…」
「どれが嘘なんだ?それとも本当のことを聞く方が早いのか?」
メルベールはユーリに関して、嘘という感覚を持っていなかった。
双子の妹なのだから、私を助けてくれて当たり前だと思っており、邸内で通用するくらいのことを普通だと思って生きて来た。だがユーリがいなくなった今、全てが嘘という形で返って来ている。
「報告書だって、ユーリにやらせていたんだろう?」
「え?何を、言っているの?そんな訳ないじゃない」
あからさまに動揺を見せたが、キリアムとオーランドはサイラにも話を聞こうと、報告書を持って来ていた。
「父上、結婚してからの報告書はメルベールではなく、ユーリが行っていたようです。こちらに証拠もあります」
「何だと?」「何ですって!」
塞ぎ込んでいたレイラもキリアムとオーランドが出した報告書に、飛び付いた。
「こちらがクレナ伯爵家の物で、こちらが私が父上に提出していたものです。全く同じでしょう?それで今回、メルベールにやらせた物がこちらです」
「何だこれは…」
「よく似ているけど…メルベール、私はあなたに教えましたよね?」
「…あの、それは」
「嘘はもう付かないでくれ、吐きそうだ」
「っっっ」
メルベールは言葉が出て来ず、唇を噛みしめて、黙り込んでしまった。
「メルベール、侯爵様にどうしてユーリにやらせたのか答えなさい。やってくれるユーリも、都合よく扱えるユーリはいないのですよ」
「……こういうことはユーリの方が得意だから、教えてもらっていて」
「教えてもらうなら私でしょう!」
レイアが隣の邸にいるのに、わざわざユーリを呼び出して、教えてもらう必要がない。もう何年も経っているのに、出来ていない。
「出来ない思われたくない、でも面倒なことはしたくない、双子だから、同じ家に嫁いだからユーリにやって貰っても問題ない。そうじゃない?」
「っ」
「これからどうするつもりだったんだ?」
「何も言わなかったから、大丈夫だったのかと思って」
「メルベールはあまり得意ではなかったのでしょう、元は同じ家なのですから、そう責めないでやってください。これからはちゃんとやるでしょう、なあメルベール?」
「ええ、勿論です」
「ふざけるな!」
アレクスの援護は、ただただキリアムを怒らせるだけであった。
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