80 / 118
答え8
しおりを挟む
「それなのにメルベールがキリアムと交際していると知って、驚いたよ。ユーリが好きだから、奪ったのかと思ったよ」
「奪ってなんかいないわ」
「じゃあ、これも嘘だったのか?」
「今さらそんなこと関係ないじゃない!私はユーリとオーランドの話をしているの」
「嘘なのか知りたい」
「嘘、じゃないわ」
「ユーリから聞いたのか?」
メルベールはここで聞いたと言えばキリアムを奪った様に取られ、聞いていないとすれば、嘘になることになることくらいは分かっている。
「そうじゃないかと思っただけよ」
「違うだろう!私にユーリが好きなのかと聞いて、私がそうだと言うと、ユーリはキリアムが好きなのよと言ったじゃないか!私はあの絶望を忘れはしない!」
オーランドは子どもの頃からユーリに意識が向いていた。
義父上に怒鳴られているのを止めさせたかったけど、余計に酷くなったらどうしようと言いわけをしていたが、勇気がなかった。
思春期に入ると、今までの様になかなか近付くことが出来なくなった。
そんな折にメルベールに言われたのだ、別の誰かなら諦めたかもしれない、寄りにもよってキリアムが好きだなんて、確かにユーリはキリアムに話し掛けられると、親しそうに話をしていた。
自棄になって、女性と関係を持つことになったのもこの頃である。
ユーリがまだ好きだったかは分からないが、おそらく初恋の相手が双子の姉と付き合い、結婚することは、辛いのではないかと思った。
でもユーリと結婚が出来ることに希望を持った。憎んでいたはずのグラーフ伯爵を上手く利用してしまった、それでも守れなかったユーリを守っているつもりだった。
双子の姉であるメルベールが嘘を言うはずないと信じていた。
「だから、今さら何を言っても仕方ないでしょう」
「そうだな、メルベールを信用するべきではなかった。君は嘘ばかりだ…」
露呈したのは贈り物と報告書だけだが、きっと沢山ある中の一端じゃないだろうか。些細なことから、当たり前にユーリにさせて、嘘を正当化し続けていた。
そしてルオンの言う通り、悪意まではないのかもしれない。
だが、悪意がないからと言っても、ユーリを利用して自分が楽をしたかったのか、これからどうするつもりなのだろうか。
報告書のこともキリアムは義母上から連絡があったために、まだ話しておらず、暴かれていることをまだ知らない。どう言い訳するつもりだろうか。
一生ユーリにやらせればいいと思っていたのだろうか。
まるで思考が義父上じゃないか。
「何よ、私のせいにするのは止めてよね!悪いのはあなたでしょう!」
「私はユーリはキリアムの方がいいだろうと思って、ずっと心苦しかった…すまないと思っていた」
「キリアムのことはいいでしょう!ユーリがキリアムと結婚なんてあり得ないし、問題をすり替えないで」
「すり替えているかもしれないが、メルベールも問題だろう?」
「嘘を一生付き続けているつもりだったのか?双子なんだからいいと思っているのか?同じ双子だから言わせてもらうけど、あり得ないよ」
「う、嘘は悪かったと思っているわ」
メルベールもさすがに証拠も自分でも認めたことで、嘘を付いていたことはどうにもならない。今の母も味方をしてくれるとは思えない。
認めず、愚かな義母は働くことに決まって、放心状態で、ざまあみろと思ったが、自分も発言に気を付けなくてはならない。
「でも、オーランドは今さら、後悔しても遅いわ!」
「ではメルベール、あなたの私から問いの答えは?」
尋ねたのはサイラで、次はメルベールの番だ。キリアムも聞きたいと思っていた。
「奪ってなんかいないわ」
「じゃあ、これも嘘だったのか?」
「今さらそんなこと関係ないじゃない!私はユーリとオーランドの話をしているの」
「嘘なのか知りたい」
「嘘、じゃないわ」
「ユーリから聞いたのか?」
メルベールはここで聞いたと言えばキリアムを奪った様に取られ、聞いていないとすれば、嘘になることになることくらいは分かっている。
「そうじゃないかと思っただけよ」
「違うだろう!私にユーリが好きなのかと聞いて、私がそうだと言うと、ユーリはキリアムが好きなのよと言ったじゃないか!私はあの絶望を忘れはしない!」
オーランドは子どもの頃からユーリに意識が向いていた。
義父上に怒鳴られているのを止めさせたかったけど、余計に酷くなったらどうしようと言いわけをしていたが、勇気がなかった。
思春期に入ると、今までの様になかなか近付くことが出来なくなった。
そんな折にメルベールに言われたのだ、別の誰かなら諦めたかもしれない、寄りにもよってキリアムが好きだなんて、確かにユーリはキリアムに話し掛けられると、親しそうに話をしていた。
自棄になって、女性と関係を持つことになったのもこの頃である。
ユーリがまだ好きだったかは分からないが、おそらく初恋の相手が双子の姉と付き合い、結婚することは、辛いのではないかと思った。
でもユーリと結婚が出来ることに希望を持った。憎んでいたはずのグラーフ伯爵を上手く利用してしまった、それでも守れなかったユーリを守っているつもりだった。
双子の姉であるメルベールが嘘を言うはずないと信じていた。
「だから、今さら何を言っても仕方ないでしょう」
「そうだな、メルベールを信用するべきではなかった。君は嘘ばかりだ…」
露呈したのは贈り物と報告書だけだが、きっと沢山ある中の一端じゃないだろうか。些細なことから、当たり前にユーリにさせて、嘘を正当化し続けていた。
そしてルオンの言う通り、悪意まではないのかもしれない。
だが、悪意がないからと言っても、ユーリを利用して自分が楽をしたかったのか、これからどうするつもりなのだろうか。
報告書のこともキリアムは義母上から連絡があったために、まだ話しておらず、暴かれていることをまだ知らない。どう言い訳するつもりだろうか。
一生ユーリにやらせればいいと思っていたのだろうか。
まるで思考が義父上じゃないか。
「何よ、私のせいにするのは止めてよね!悪いのはあなたでしょう!」
「私はユーリはキリアムの方がいいだろうと思って、ずっと心苦しかった…すまないと思っていた」
「キリアムのことはいいでしょう!ユーリがキリアムと結婚なんてあり得ないし、問題をすり替えないで」
「すり替えているかもしれないが、メルベールも問題だろう?」
「嘘を一生付き続けているつもりだったのか?双子なんだからいいと思っているのか?同じ双子だから言わせてもらうけど、あり得ないよ」
「う、嘘は悪かったと思っているわ」
メルベールもさすがに証拠も自分でも認めたことで、嘘を付いていたことはどうにもならない。今の母も味方をしてくれるとは思えない。
認めず、愚かな義母は働くことに決まって、放心状態で、ざまあみろと思ったが、自分も発言に気を付けなくてはならない。
「でも、オーランドは今さら、後悔しても遅いわ!」
「ではメルベール、あなたの私から問いの答えは?」
尋ねたのはサイラで、次はメルベールの番だ。キリアムも聞きたいと思っていた。
2,929
お気に入りに追加
3,653
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる