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答え5
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「サイラ夫人、本当に申し訳ないことをした。レイアがユーリが誕生日の贈り物で困っているから、希望を伝えて欲しいと聞いて、鵜呑みにしてしまった。本当に情けないと思っている、きちんと確認するべきだった」
「そうですか、ですが私に謝られても困ります…買わされたのはユーリですから」
「ああ…だが、返す先になって貰えないか」
キリアムもオーランドも同じことを考えていたが、マトムもサイラに返すのが一番いいだろうと思っていた。
「いいえ、私が傷付いたわけでもないのに、受け取ることは出来ません。もう謝罪もお金もユーリは、受け取れないのです。折角あの子が無理をして買ったのです、大事にしてください」
「それは…」
キリアムはこの件に関しては、父も共犯というべきである。返して少しでも楽になりたい気持ちもあるが、何もしないもどかしさを解消したいとも言える。
母の言葉を義母上が信じるとは思わないが、自分の都合のいいように話すのをもう聞きたくはなかった、だから先手を打つことにした。
「母は正直に話さないと思いますので、私がお話してもいいですか?」
サイラは頷き、レイアはキリアムに私を庇ってくれるでしょうという、懇願するような目で見つめたが、目を逸らされた。
「母は厚意は要らない、誕生日には自分の欲しいものを、買って貰うことが正しいと思っています。まるで子どもと同じ、子どもの頃のままなのです。ですが、そう言いながらも私たちには言わないのです。嫁だから言っていた、そこは大人の考えですよね?本当に恥ずかしい行為でしかありません」
「違う!ユーリに言われたのよ」
「言っていませんよ、これはアルビナート・コンクエッツ公爵夫人に伺いました。いつも強請られているのかと問われたそうですが、ユーリはいいえと言ったそうです」
「ほら!」
母は自分は悪くないと言わんばかりであるが、その前にコンクエッツ公爵夫人が関わっている時点で、やり過ごせるとどうして思えるのだろうか。
「ですが、コンクエッツ公爵夫人は気になって調べて貰ったそうです。レイア夫人は誕生日が近付いて来ると、わざわざ邸に来て、今年はこれが欲しいと、結婚してから欠かすことなく言っていたと、カタログを持ってくることもあったそうです。私はあなたがそんなに強欲だとは知りませんでした」
「デタラメよ!」
「…いいえ、使用人も同じことを言っていました。母上にも伝えたはずです」
項垂れていたオーランドが口を開いた。泣いてはいないが、やつれた様子で、今にも死にそうな顔をしている。
「それでコンクエッツ公爵夫人は、ユーリを思って、問い詰めたそうです。そうしたら、確か…私は自分の欲しいものが欲しい、要らない物を貰ってもゴミになるだけだからと、そう言われたら…ユーリも買わざる得なかったのでしょう。夫人はおかしいと伝えたそうですが、一年に一度ですからと言ったそうです…」
コンクエッツ公爵夫人も、ユーリにはそれ以上を言うのは止めたそうだ。
「私もメルベールから聞いて、母に注意をしたんです。それでも母は止めなかったのです。ユーリへの贈り物は聞いていますか?」
「はい、誕生日が過ぎて、ハンカチが二回届いたと」
「二回?」
驚いたのはマトムだった。何度、贈らなかったのかは、レイアも覚えていないと、結局分からないままだった。
「はい、結婚して最初の二回だけです」
「お前!それ以降はなかったということか?」
「はい、ユーリは日記ではありませんが、出来事を記した物を残しています」
全て義母上の手の中にあり、且つユーリと親しくしていた夫人たちが証拠を集めていたとしたら、もう言い逃れは出来ないだろう。
「そうですか、ですが私に謝られても困ります…買わされたのはユーリですから」
「ああ…だが、返す先になって貰えないか」
キリアムもオーランドも同じことを考えていたが、マトムもサイラに返すのが一番いいだろうと思っていた。
「いいえ、私が傷付いたわけでもないのに、受け取ることは出来ません。もう謝罪もお金もユーリは、受け取れないのです。折角あの子が無理をして買ったのです、大事にしてください」
「それは…」
キリアムはこの件に関しては、父も共犯というべきである。返して少しでも楽になりたい気持ちもあるが、何もしないもどかしさを解消したいとも言える。
母の言葉を義母上が信じるとは思わないが、自分の都合のいいように話すのをもう聞きたくはなかった、だから先手を打つことにした。
「母は正直に話さないと思いますので、私がお話してもいいですか?」
サイラは頷き、レイアはキリアムに私を庇ってくれるでしょうという、懇願するような目で見つめたが、目を逸らされた。
「母は厚意は要らない、誕生日には自分の欲しいものを、買って貰うことが正しいと思っています。まるで子どもと同じ、子どもの頃のままなのです。ですが、そう言いながらも私たちには言わないのです。嫁だから言っていた、そこは大人の考えですよね?本当に恥ずかしい行為でしかありません」
「違う!ユーリに言われたのよ」
「言っていませんよ、これはアルビナート・コンクエッツ公爵夫人に伺いました。いつも強請られているのかと問われたそうですが、ユーリはいいえと言ったそうです」
「ほら!」
母は自分は悪くないと言わんばかりであるが、その前にコンクエッツ公爵夫人が関わっている時点で、やり過ごせるとどうして思えるのだろうか。
「ですが、コンクエッツ公爵夫人は気になって調べて貰ったそうです。レイア夫人は誕生日が近付いて来ると、わざわざ邸に来て、今年はこれが欲しいと、結婚してから欠かすことなく言っていたと、カタログを持ってくることもあったそうです。私はあなたがそんなに強欲だとは知りませんでした」
「デタラメよ!」
「…いいえ、使用人も同じことを言っていました。母上にも伝えたはずです」
項垂れていたオーランドが口を開いた。泣いてはいないが、やつれた様子で、今にも死にそうな顔をしている。
「それでコンクエッツ公爵夫人は、ユーリを思って、問い詰めたそうです。そうしたら、確か…私は自分の欲しいものが欲しい、要らない物を貰ってもゴミになるだけだからと、そう言われたら…ユーリも買わざる得なかったのでしょう。夫人はおかしいと伝えたそうですが、一年に一度ですからと言ったそうです…」
コンクエッツ公爵夫人も、ユーリにはそれ以上を言うのは止めたそうだ。
「私もメルベールから聞いて、母に注意をしたんです。それでも母は止めなかったのです。ユーリへの贈り物は聞いていますか?」
「はい、誕生日が過ぎて、ハンカチが二回届いたと」
「二回?」
驚いたのはマトムだった。何度、贈らなかったのかは、レイアも覚えていないと、結局分からないままだった。
「はい、結婚して最初の二回だけです」
「お前!それ以降はなかったということか?」
「はい、ユーリは日記ではありませんが、出来事を記した物を残しています」
全て義母上の手の中にあり、且つユーリと親しくしていた夫人たちが証拠を集めていたとしたら、もう言い逃れは出来ないだろう。
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