57 / 115
夫と義母1
しおりを挟む
レイアはオーランドが帰って来るまで、クレナ伯爵家でお茶やお菓子を要求し、横柄に待っていた。
戻ったオーランドはレイアの顔を見て、疲れがさらに増すことになった。
「何の用ですか」
「まあ、母親に向かって酷い言い方。この前の件よ!オーランドが弁解して頂戴、夫だったんだから」
キリアムからオーランドのところに証言させると行くかもしれないとは聞いており、あれだけ言われたのに、まだ挽回出来ると思ってやって来ている。
「事実なのにするわけないじゃないですか」
「っな、お母様が困っているのですよ?」
「困ったことをしたのはあなたでしょう?反省しているのではなかったのですか?悪いとも思っていないのですか?」
部屋で不貞腐れていると聞いていたが、見る限りやつれてもおらず、いつも通り元気そうである。
「私はね、これからも侯爵夫人として、生きて行かなくてはいけないの。あなたがユーリがお義母様に頼んでいたんですと、言ってくれればいい話でしょう?」
「メルベールはどうするんですか?同じように言わすのですか?」
「あの子は私に嘘を付いていたんだから、当たり前じゃない」
メルベールは自分が言えば、嘘の件もあるから従うと思っているようだが、メルベールは従うだろうか?
「はあ…誰も私の言うことなんて信じませんよ」
「何言ってるの!夫が言うのだから、信じるに決まっているじゃない!そういうものなのよ?」
分かっていないのねと言わんばかりだが、キリアムの話を聞いていなかったのだろうか?都合のいいことしか聞こえないのか?
「私の愛人のことをシュアト公爵家が知らないと思いますか?そんな夫が言う話、嘘だと思われるだけです。恥を重ねないでください」
「でもあなたの子じゃなかったんだから、大丈夫よ」
「そんなことはどうでもいいんですよ、父上が愛人を作って、子どもが出来て、生まれたら父上の子ではなかったら、全てなかったことに出来ますか?」
「…それは」
レイアは考えたこともないが、夫との子どもではなかったからと言っても、プライドの高いレイアが、なかったことには出来ない。でも、子どもは出来ていなかったと思えば、まだ許せるのではないだろうかとも思った。
愛人は別れさせればいいし、侯爵夫人の地位を渡すことなどあり得ない。公爵夫人なら特に、理解出来るはずじゃない。
「私は嘘を付く気もないですし、茶会にいた方は全員知っていると思った方がいいですよ」
「嘘、でしょう…」
あの全員が知っているって言うの?不貞をさすがに全員が許せるとは思えない。ユーリのことで気遣って貰えないじゃない。
折角、可哀想な義母になって、皆に味方になって貰って、アベリーを寄宿学校に入れてしまえば、元通りに近い状態になるはずだったのに。
「あなたが愛人なんて…作るからじゃない!」
「愛人ではないですが、不貞行為は私の責任です」
「だったら責任を取りなさい!」
「取れるものなら、取りたいですよ…」
「やっと分かってくれたのね、早い内に証言して貰うわよ」
オーランドは頑固なところがあるから、すぐに了承するとは思っていなかった。
証言させるのは、どこがいいかしら。高位貴族のいる茶会がいいけど、我が家でやるのが一番いいかもしれないわね。誤解があったと言わせて、周りがシュアト公爵家に伝えてくれれば、弁解できる機会も出来るはず。
噂が広がる前にセッティングしなければならないわね。
「は?何を言っている?責任を取るのはユーリにであって、なぜあなたの責任を?」
「だから代わりに私に責任を取りなさいと言っているの」
「必死なのは分かりますけど、言っていることがおかしいと思わないのですか?侯爵夫人ともあろう者が?」
「おかしい?」
何がおかしいの?親の責任も、親の力なることも、子どもには今までしてきてあげたんだから、当たり前のことでしょう?
戻ったオーランドはレイアの顔を見て、疲れがさらに増すことになった。
「何の用ですか」
「まあ、母親に向かって酷い言い方。この前の件よ!オーランドが弁解して頂戴、夫だったんだから」
キリアムからオーランドのところに証言させると行くかもしれないとは聞いており、あれだけ言われたのに、まだ挽回出来ると思ってやって来ている。
「事実なのにするわけないじゃないですか」
「っな、お母様が困っているのですよ?」
「困ったことをしたのはあなたでしょう?反省しているのではなかったのですか?悪いとも思っていないのですか?」
部屋で不貞腐れていると聞いていたが、見る限りやつれてもおらず、いつも通り元気そうである。
「私はね、これからも侯爵夫人として、生きて行かなくてはいけないの。あなたがユーリがお義母様に頼んでいたんですと、言ってくれればいい話でしょう?」
「メルベールはどうするんですか?同じように言わすのですか?」
「あの子は私に嘘を付いていたんだから、当たり前じゃない」
メルベールは自分が言えば、嘘の件もあるから従うと思っているようだが、メルベールは従うだろうか?
「はあ…誰も私の言うことなんて信じませんよ」
「何言ってるの!夫が言うのだから、信じるに決まっているじゃない!そういうものなのよ?」
分かっていないのねと言わんばかりだが、キリアムの話を聞いていなかったのだろうか?都合のいいことしか聞こえないのか?
「私の愛人のことをシュアト公爵家が知らないと思いますか?そんな夫が言う話、嘘だと思われるだけです。恥を重ねないでください」
「でもあなたの子じゃなかったんだから、大丈夫よ」
「そんなことはどうでもいいんですよ、父上が愛人を作って、子どもが出来て、生まれたら父上の子ではなかったら、全てなかったことに出来ますか?」
「…それは」
レイアは考えたこともないが、夫との子どもではなかったからと言っても、プライドの高いレイアが、なかったことには出来ない。でも、子どもは出来ていなかったと思えば、まだ許せるのではないだろうかとも思った。
愛人は別れさせればいいし、侯爵夫人の地位を渡すことなどあり得ない。公爵夫人なら特に、理解出来るはずじゃない。
「私は嘘を付く気もないですし、茶会にいた方は全員知っていると思った方がいいですよ」
「嘘、でしょう…」
あの全員が知っているって言うの?不貞をさすがに全員が許せるとは思えない。ユーリのことで気遣って貰えないじゃない。
折角、可哀想な義母になって、皆に味方になって貰って、アベリーを寄宿学校に入れてしまえば、元通りに近い状態になるはずだったのに。
「あなたが愛人なんて…作るからじゃない!」
「愛人ではないですが、不貞行為は私の責任です」
「だったら責任を取りなさい!」
「取れるものなら、取りたいですよ…」
「やっと分かってくれたのね、早い内に証言して貰うわよ」
オーランドは頑固なところがあるから、すぐに了承するとは思っていなかった。
証言させるのは、どこがいいかしら。高位貴族のいる茶会がいいけど、我が家でやるのが一番いいかもしれないわね。誤解があったと言わせて、周りがシュアト公爵家に伝えてくれれば、弁解できる機会も出来るはず。
噂が広がる前にセッティングしなければならないわね。
「は?何を言っている?責任を取るのはユーリにであって、なぜあなたの責任を?」
「だから代わりに私に責任を取りなさいと言っているの」
「必死なのは分かりますけど、言っていることがおかしいと思わないのですか?侯爵夫人ともあろう者が?」
「おかしい?」
何がおかしいの?親の責任も、親の力なることも、子どもには今までしてきてあげたんだから、当たり前のことでしょう?
応援ありがとうございます!
317
お気に入りに追加
4,481
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる