似て非なる双子の結婚

姉夫妻５

「今日、その贈ったネックレスをお義母様が付けていて…嫁から貰ったというのを私が否定しなかったら、支払っていないことを、皆さんご存知だったみたいで、だからユーリは知ってたんじゃないかと思って…」
「嘘を付いたのが茶会でバレたのか…最悪じゃないか」
「分かっているわ、どうにかしようと、半分出したって嘘まで言ってしまったの」
「はあ？ユーリが亡くなっているから、バレないと思ったのか？」

　なぜそのようなことが言えるのだ、あんなに悲しんでいた妹だろう？

「だってお義母様、私の誕生日には花束とか、ありきたりな髪留めとか、価値が全然釣り合っていないんだもの！馬鹿にされているみたいで、本当に嫌だったの」
「それは私に言ってくれよ…」

　母上に言えないことは分かるが、言い難いなら、私に言えば良かっただろう。そんなことなら、誕生日の贈り物はなしにすればいいだけじゃないか。

「でもユーリには誕生日から遅れて、ハンカチ一枚ですって！多分、私の祝いで思い出して、慌てて送ってるのよ！しかも使用人に任せているだけよ！サファイアのネックレスが、ハンカチ一枚よ？どうかしてると思わない？」
「…本当なのか」

　ハンカチ一枚？さすがに私でも常識外れだということは分かる。しかもサファイアのネックレスなんて、どれだけ高価な物を要求しているんだ。

　オーランドと一緒にということだろうか、いや、ユーリにだけ支払わせている可能性もある。オーランドに確認をしなくてはならない。

「私も使用人でしょうね。贈られてないことはさすがにないけど、ユーリには贈っていない年もあるそうよ、忘れていたのよ！自分は強請る癖に！」
「贈ってもいない？嘘だろう…」

　強請るまでして貰って、自分は贈ってもいないというのか？それは親としても、人としてもどうかしている。ただのたかりじゃないか。

「お義母様も暴露されて、今頃、お義父様に怒られているんじゃないの。でもお義父様もお義母様ほどじゃないけど、同じように言われていたものね」
「父上も言っていたのか？」

　父上まで言っていたとは、どれだけ恥ずかしいことをしているのか分からないのか？私の両親はそんなに非常識な人だったのか。

「そうよ、でもお義父様はお酒だったし、そこまで指定はなかったし、お返しもいつもちゃんと頂いていたから言わなかったの」
「両親には私がきちんと話をする。ユーリへのお金は…どうしようもないじゃないか…」
「私だって、せめて払っていればと思ったわ」
「はあ…そうじゃないだろう？ユーリに話をするべきだっただろう？双子だからいいなんてことは通用しない」

　支払うことも大事だが、勝手に言っていたことが問題なのだ。払っていればいいなんてことではない。家の中でのことなら、家族で解決できたが、茶会で話題にされたなんて、何てことをしてくれたんだ。

「ごめんなさい。でもユーリが生きていたら許してくれたわ」
「ユーリが優しいからといって、不快な思いをさせたことには違いないだろう？逆だったらどうだ？嫌な気持ちになるだろう？」
「ユーリはそんなことしないもの…」

　キリアムも思っていた、ユーリはそんな嘘を付くのようなことはしない。いくら想像しても、想像すらできなかった。

「一応、オーランドに相談してみるが…」
「ごめんなさい。そうしてもらえる？ユーリは茶葉のブレンドもしていたみたいで、収支を付けていたそうなの。だから金額は分かる思うの。オーランドに聞いてみて、分からなかったらシュアト公爵夫人なら知っていると思うわ」
「シュアト公爵夫人か…」

　おいそれと会える人ではないことをメルベールは分かっていない。