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シュアト公爵家の茶会3
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「お金も一切出していないのに、二人から貰ったっていうのは、とても気持ち悪いわ。どういう神経してらっしゃるの?教えて頂戴」
「半分、出しました」
「いくらだったか覚えてる?」
「いえ、そこまでは…」
メルベールは値段なんて知らない、そんな高位貴族が値段を聞くのって、どうなのかとすら思っていた。
「支払ったのなら、帰れば分かるんじゃない?」
「そうね、教えていただける?」
「そこまでは書き記していないかもしれません」
「まあ、随分と大雑把なんですのね」
「え…」
「調べていいのですね?」
「調べる?」
ユーリはいないのに、どうして調べることが出来るのか。ユーリは何も言えないからバレることはない。
「ええ、ユーリは収支を全て付けていましたから、あなたが半分出したという入金があるはずです。そうでしょう?」
えっ?どういうこと…書き忘れているかもしれないなどと言えば、ますます疑われることは分かっている。証明しろと言われたら、金額も、アルビナート夫人が手配したなら、買った場所も分からない。
「…どうして収支を?」
「ユーリは茶葉をブレンドしていたの。こういった茶会の時なんかにね、その収入もあったから、何かあった時のために全て付けるように進言していたのよ」
「このお茶も?」
「ええ、そうよ。さっきユーリのおすすめって言ったでしょう?」
メルベールは言葉が出て来ず、何とか言い訳を考えているようにしか見えない。
そんなことをしているなんて聞いたこともなかった、支払っていない上に、もうユーリに口裏を合わせて貰うことも、庇って貰うことも不可能だった。
「…半分ではなかったかもしれません」
「払ってもいないのに、払っているような顔が出来る方なのね」
「双子だから?姉だからいいと思ったの?お金がないならないって言えばいいのに…姉の矜持なの?」
「ただ義母にお金を使うのが、嫌だったんじゃない?」
皆が口々に捲し立て、買いに行く時間がなかったから、義母がユーリから貰ったと言うから、便乗しただけだ。支払っていないが、妹なんだからいいと思っていた。
毎回ではなかったが、何度か行った。せめて支払うべきだった。ユーリに一緒に買おうとも選ぼうとも、私も一緒に買ったことにしてとも言っていないが、やり取りは分からなくても、収支に書いてあったはずだ。
沁み込んでいたメルベールのユーリへの驕りは、顕著に表れていたのだった。
「メルベール、嘘なの?」
「…嘘では、ありません」
「あなた言ったわよね?嫁たちからの贈り物ですねって」
レイアはユーリから贈られたネックレスを付けていると、メルベールに言われた。高そうだったので、二人で買ったのかとしか思わなかった。その年、メルベールからは何も貰ってはいない。
思い出してみれば、別の年も同じようなことがあった、ユーリに全て払わせて、自分も贈ったと思わせたというのか。なんて恥知らずなのだろうか。
「あの、その」
「何てことかしら!皆様、失礼いたしました。私はまさか嘘を付かれているとは知らなくて」
「お義母様、違うの」
「違うなら調べて貰えばいいわ」
メルベールは唯一の味方だと思っていたレイアに言われて、何も言えずに下を向いて、黙り込んでしまった。
レイアは二人からだと信じていた、だからこそ今日は、別のお気に入りのネックレスがあるにも関わらず、貰ったネックレスを付けて来たのだ。
それなのにこんなことになるなんて、レイアはメルベールに嘘を付かれていたことも、恥を掻かされたことで、見限った。
これで自身は騙されていただけと証明できたと思ったが、そうではなかった。
「似た者同士ね?」
「え…」
「半分、出しました」
「いくらだったか覚えてる?」
「いえ、そこまでは…」
メルベールは値段なんて知らない、そんな高位貴族が値段を聞くのって、どうなのかとすら思っていた。
「支払ったのなら、帰れば分かるんじゃない?」
「そうね、教えていただける?」
「そこまでは書き記していないかもしれません」
「まあ、随分と大雑把なんですのね」
「え…」
「調べていいのですね?」
「調べる?」
ユーリはいないのに、どうして調べることが出来るのか。ユーリは何も言えないからバレることはない。
「ええ、ユーリは収支を全て付けていましたから、あなたが半分出したという入金があるはずです。そうでしょう?」
えっ?どういうこと…書き忘れているかもしれないなどと言えば、ますます疑われることは分かっている。証明しろと言われたら、金額も、アルビナート夫人が手配したなら、買った場所も分からない。
「…どうして収支を?」
「ユーリは茶葉をブレンドしていたの。こういった茶会の時なんかにね、その収入もあったから、何かあった時のために全て付けるように進言していたのよ」
「このお茶も?」
「ええ、そうよ。さっきユーリのおすすめって言ったでしょう?」
メルベールは言葉が出て来ず、何とか言い訳を考えているようにしか見えない。
そんなことをしているなんて聞いたこともなかった、支払っていない上に、もうユーリに口裏を合わせて貰うことも、庇って貰うことも不可能だった。
「…半分ではなかったかもしれません」
「払ってもいないのに、払っているような顔が出来る方なのね」
「双子だから?姉だからいいと思ったの?お金がないならないって言えばいいのに…姉の矜持なの?」
「ただ義母にお金を使うのが、嫌だったんじゃない?」
皆が口々に捲し立て、買いに行く時間がなかったから、義母がユーリから貰ったと言うから、便乗しただけだ。支払っていないが、妹なんだからいいと思っていた。
毎回ではなかったが、何度か行った。せめて支払うべきだった。ユーリに一緒に買おうとも選ぼうとも、私も一緒に買ったことにしてとも言っていないが、やり取りは分からなくても、収支に書いてあったはずだ。
沁み込んでいたメルベールのユーリへの驕りは、顕著に表れていたのだった。
「メルベール、嘘なの?」
「…嘘では、ありません」
「あなた言ったわよね?嫁たちからの贈り物ですねって」
レイアはユーリから贈られたネックレスを付けていると、メルベールに言われた。高そうだったので、二人で買ったのかとしか思わなかった。その年、メルベールからは何も貰ってはいない。
思い出してみれば、別の年も同じようなことがあった、ユーリに全て払わせて、自分も贈ったと思わせたというのか。なんて恥知らずなのだろうか。
「あの、その」
「何てことかしら!皆様、失礼いたしました。私はまさか嘘を付かれているとは知らなくて」
「お義母様、違うの」
「違うなら調べて貰えばいいわ」
メルベールは唯一の味方だと思っていたレイアに言われて、何も言えずに下を向いて、黙り込んでしまった。
レイアは二人からだと信じていた、だからこそ今日は、別のお気に入りのネックレスがあるにも関わらず、貰ったネックレスを付けて来たのだ。
それなのにこんなことになるなんて、レイアはメルベールに嘘を付かれていたことも、恥を掻かされたことで、見限った。
これで自身は騙されていただけと証明できたと思ったが、そうではなかった。
「似た者同士ね?」
「え…」
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