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消えた母
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サイラが出て行ってから、二ヶ月が経っていた。アレクスはルオンにはどうして出て行かせたのかと言われたが、勝手に出て行ったのだ。どうせ戻って来るしかないと思っていたが、一切戻って来る気配がない。
意固地になっているだけだとは思うが、まさか何かあったのだろうか。世間知らずは騙されてもおかしくない。
「どこ行ったんだ…」
「内々に探してはおりますが、見付かってはおりません。せめて、こちらで別の居場所をご用意すべきでした」
一週間は我慢したが、二週間目には出て行ったとは知られたくないため、執事に秘密裏に探すように指示を出したが、見付かっていない。
そして、サイラはユーリのことで責任を感じて、皆は出て行ったと思っている。
「子爵家にも戻っていないのだな?」
即刻、パーシ子爵の援助は打ち切った。
「ええ、子爵から再開して貰わないと、子爵家はやっていけないと言っているくらいですから、戻っていたら連れて来られるでしょう」
サイラの弟・トアス・パーシ子爵は半年に一度の援助を止めると、困ると押し掛けて来たが、取り合わなかった。
トアスはルオンを頼ろうとしたが、親戚付き合いをしていないルオンには、会っても貰えなかった。
ならばとメルベールの嫁ぎ先、トスター侯爵家にも向かったが、門前払い。亡くなってしまったそうだが、ユーリの嫁ぎ先、クレナ伯爵家にも行ったが、同じく門前払い。先触れも出さずに、押し掛けていることがおかしいとも思っていない。
「クソ!私は叔父だぞ、なぜ敬わないんだ!」
自身のことしか考えていないトアス。姪・ユーリが亡くなったことは聞かされたが、会ったのは子どもの頃で、お金も払いたくないトアスは、葬儀も忙しくていけないと嘘を付いていた。
ユーリが亡くなった後、姉が突然やって来て、ユーリは急死だったこと、援助金はなくなると思うと言われても、そんなことはあるはずないと鼻で笑っていた。
アレクスがサイラを手放すはずがない、だから一生援助金は支払われると疑うことはなかった。
だが、本当に援助金は届かなかった。
数日は待ってみたが、届く気配はなく、姉の言っていたことは本当だったのか?いや、そんなことはないだろうと、援助金が届かないのだが、何かあったのでしょうかと文も出すと、援助は止めることになったと届き、驚愕した。
それでも困る、助けて欲しいと押し掛けると、今までの援助金を返してくれるのかと言われて、すごすごと帰るしかなかった。
援助金で支払う予定だったものもあり、それがまだ領地のためというならば良かったが、酒やドレスなどのただの贅沢品。妻も子爵家だが、自分たちのことで精一杯で、他に援助など頼める相手はいない。
二十年以上、現在は領地にいる両親も、援助金頼りだったパーシ子爵家は一生続くと信じて生きて来たのだ。
「どうすればいいんだ…なくなるなんて思わないだろう」
「支払いはどうするの?子どもたちだって」
パーシ子爵家には学園に通う二人の娘がおり、援助金で成り立っているにもかかわらず、サイラが嫁いでから贅沢をしていた。ゆえに妻も同じような思考で、どうして援助金が貰えないのかと怒り出す始末。
そもそもサイラの実家だから、援助しましょうということで、契約をしたわけでも、何か利益があるわけでもなかった。
自身でどうにかしようとは思わないトアスはグラーフ伯爵家、トスター侯爵家、クレナ伯爵家に再び押し掛けたが、誰にも相手にされず、今度来たら騎士団に通報すると言われて、行くことも出来なくなった。
意固地になっているだけだとは思うが、まさか何かあったのだろうか。世間知らずは騙されてもおかしくない。
「どこ行ったんだ…」
「内々に探してはおりますが、見付かってはおりません。せめて、こちらで別の居場所をご用意すべきでした」
一週間は我慢したが、二週間目には出て行ったとは知られたくないため、執事に秘密裏に探すように指示を出したが、見付かっていない。
そして、サイラはユーリのことで責任を感じて、皆は出て行ったと思っている。
「子爵家にも戻っていないのだな?」
即刻、パーシ子爵の援助は打ち切った。
「ええ、子爵から再開して貰わないと、子爵家はやっていけないと言っているくらいですから、戻っていたら連れて来られるでしょう」
サイラの弟・トアス・パーシ子爵は半年に一度の援助を止めると、困ると押し掛けて来たが、取り合わなかった。
トアスはルオンを頼ろうとしたが、親戚付き合いをしていないルオンには、会っても貰えなかった。
ならばとメルベールの嫁ぎ先、トスター侯爵家にも向かったが、門前払い。亡くなってしまったそうだが、ユーリの嫁ぎ先、クレナ伯爵家にも行ったが、同じく門前払い。先触れも出さずに、押し掛けていることがおかしいとも思っていない。
「クソ!私は叔父だぞ、なぜ敬わないんだ!」
自身のことしか考えていないトアス。姪・ユーリが亡くなったことは聞かされたが、会ったのは子どもの頃で、お金も払いたくないトアスは、葬儀も忙しくていけないと嘘を付いていた。
ユーリが亡くなった後、姉が突然やって来て、ユーリは急死だったこと、援助金はなくなると思うと言われても、そんなことはあるはずないと鼻で笑っていた。
アレクスがサイラを手放すはずがない、だから一生援助金は支払われると疑うことはなかった。
だが、本当に援助金は届かなかった。
数日は待ってみたが、届く気配はなく、姉の言っていたことは本当だったのか?いや、そんなことはないだろうと、援助金が届かないのだが、何かあったのでしょうかと文も出すと、援助は止めることになったと届き、驚愕した。
それでも困る、助けて欲しいと押し掛けると、今までの援助金を返してくれるのかと言われて、すごすごと帰るしかなかった。
援助金で支払う予定だったものもあり、それがまだ領地のためというならば良かったが、酒やドレスなどのただの贅沢品。妻も子爵家だが、自分たちのことで精一杯で、他に援助など頼める相手はいない。
二十年以上、現在は領地にいる両親も、援助金頼りだったパーシ子爵家は一生続くと信じて生きて来たのだ。
「どうすればいいんだ…なくなるなんて思わないだろう」
「支払いはどうするの?子どもたちだって」
パーシ子爵家には学園に通う二人の娘がおり、援助金で成り立っているにもかかわらず、サイラが嫁いでから贅沢をしていた。ゆえに妻も同じような思考で、どうして援助金が貰えないのかと怒り出す始末。
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自身でどうにかしようとは思わないトアスはグラーフ伯爵家、トスター侯爵家、クレナ伯爵家に再び押し掛けたが、誰にも相手にされず、今度来たら騎士団に通報すると言われて、行くことも出来なくなった。
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