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夫と義兄1
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「私の子ではありませんでした」
オーランドは父に報告を行うために、侯爵家に来ていた。リリア・コートは既に王都にはいない。
「本当なのか」
「はい、あの女はリリア・コートという名で、同級生の騎士でした。確かに何度か関係を持ったことがありましたが、最後は二年以上前でした」
今さら問いただしても仕方ないが、やはり不貞は犯していたのか、そんなことはあり得ないなどと言わなくて正解だった。
「ならば、なぜお前の子どもなどと…」
「あの女が勘違いした日は、騎士団の合同演習があり、その後で皆が酒を飲んでおりましたので、私だと誤解したようです。念のため、女の弟であるコート子爵に連絡をして、出産まで子爵領の病院に入れることになりました。生まれて、一応確認はしようと思っています」
「そうか…」
「ですが、ユーリを追い込んだ原因を与えたのは事実です」
「それは、否定は出来ないな」
オーランドの子どもではなかったとしても、本人は不在で、確認が取れず、思い込んで、引き金になったとは言えるだろう。
「はい、ユーリは義母上だけが看取ったのですか」
「知らない。私たちがアベリーのことも、ユーリが亡くなったのは全てユーリが亡くなった後だったのだ。知っていれば駆け付けていたさ。アレクスが黙っていたんだ」
「そういうことでしたか…」
あの義父はユーリが亡くなるとしても、看取ることもしなかったというのか。いや、義母上が言ったように、いても不快なだけだったかもしれない。
父に報告を終えて、キリアムの邸に向かった。キリアムとメルベールは本邸の横にある別邸で暮らしている。キリアムは一人で執務室にいた。
「キリアム」
「オーランド、話をしなければと思っていた」
キリアムは立ち上がり、オーランドに悲痛な表情を浮かべて、座ってくれと言いながらも、重苦しい雰囲気が漂った。
「アベリーは?」
「根気強く話をするしかないが、こちらが根を上げるのを待っているのか、話にもならない。ユーリにどうやって謝ればいいのか…勿論、オーランドにもだ、すまない、言葉だけではあまりにも足りない…」
「いや、引き金になったのは私のせいだった…」
「どういう意味だ?」
俯いていた顔を上げ、オーランドをじっと見据えた。
「ある女が私の子を身籠ったと、私が不在中に邸に押し掛けていた」
「何?」
「私の子でない、関係を持ったのは二年以上前だった」
「二年?不貞じゃないか!まさか、あの時の!そうなのか!」
「ああ…だが、あの頃は既に関係は持っていなかった」
「お前!」
「最低だよ、怒るべきユーリはもういない。お前が怒ってくれ」
「はあ…お前、どうしてだ?なぜ、そんなことに…バレなければ、傷付かないからいいと思っていたのか?」
「そうだな、罪悪感はほとんどなかった。愚かだった…」
ユーリと結婚・婚約する前まで、王太子殿下の役に立ちたいという思いから、情報を聞き出すのに、関係を持つことが一番早かった。女はベットの上ではペラペラ話す、女の受けのいい顔は役に立った。
キリアムにも何度もいい加減にしろと叱られ、噂になっていると一年前にも問いただされたことがあった。
「オーランド!」
「珍しい、どうしたんだ?」
「お前、他に女がいるのか?浮気をしているのか?」
「えっ?何を言ってるんだ?」
「友人がお前が女といるのを見たって言ってるんだよ、一度じゃないって。どういうことだ!お前また…結婚したんだぞ」
「多分、女性騎士じゃないか」
それがリリアで、異動で再会し、懐かしいという話から、何度か関係を持ってしまったが、それはキリアムから聞かれる一年以上前の話だった。
リリアも形式上だけでも結婚しており、周りから見ればお互い不貞になってしまうので、なかったことにしようと、当時は既に互いに節度を持って接していた。
オーランドは父に報告を行うために、侯爵家に来ていた。リリア・コートは既に王都にはいない。
「本当なのか」
「はい、あの女はリリア・コートという名で、同級生の騎士でした。確かに何度か関係を持ったことがありましたが、最後は二年以上前でした」
今さら問いただしても仕方ないが、やはり不貞は犯していたのか、そんなことはあり得ないなどと言わなくて正解だった。
「ならば、なぜお前の子どもなどと…」
「あの女が勘違いした日は、騎士団の合同演習があり、その後で皆が酒を飲んでおりましたので、私だと誤解したようです。念のため、女の弟であるコート子爵に連絡をして、出産まで子爵領の病院に入れることになりました。生まれて、一応確認はしようと思っています」
「そうか…」
「ですが、ユーリを追い込んだ原因を与えたのは事実です」
「それは、否定は出来ないな」
オーランドの子どもではなかったとしても、本人は不在で、確認が取れず、思い込んで、引き金になったとは言えるだろう。
「はい、ユーリは義母上だけが看取ったのですか」
「知らない。私たちがアベリーのことも、ユーリが亡くなったのは全てユーリが亡くなった後だったのだ。知っていれば駆け付けていたさ。アレクスが黙っていたんだ」
「そういうことでしたか…」
あの義父はユーリが亡くなるとしても、看取ることもしなかったというのか。いや、義母上が言ったように、いても不快なだけだったかもしれない。
父に報告を終えて、キリアムの邸に向かった。キリアムとメルベールは本邸の横にある別邸で暮らしている。キリアムは一人で執務室にいた。
「キリアム」
「オーランド、話をしなければと思っていた」
キリアムは立ち上がり、オーランドに悲痛な表情を浮かべて、座ってくれと言いながらも、重苦しい雰囲気が漂った。
「アベリーは?」
「根気強く話をするしかないが、こちらが根を上げるのを待っているのか、話にもならない。ユーリにどうやって謝ればいいのか…勿論、オーランドにもだ、すまない、言葉だけではあまりにも足りない…」
「いや、引き金になったのは私のせいだった…」
「どういう意味だ?」
俯いていた顔を上げ、オーランドをじっと見据えた。
「ある女が私の子を身籠ったと、私が不在中に邸に押し掛けていた」
「何?」
「私の子でない、関係を持ったのは二年以上前だった」
「二年?不貞じゃないか!まさか、あの時の!そうなのか!」
「ああ…だが、あの頃は既に関係は持っていなかった」
「お前!」
「最低だよ、怒るべきユーリはもういない。お前が怒ってくれ」
「はあ…お前、どうしてだ?なぜ、そんなことに…バレなければ、傷付かないからいいと思っていたのか?」
「そうだな、罪悪感はほとんどなかった。愚かだった…」
ユーリと結婚・婚約する前まで、王太子殿下の役に立ちたいという思いから、情報を聞き出すのに、関係を持つことが一番早かった。女はベットの上ではペラペラ話す、女の受けのいい顔は役に立った。
キリアムにも何度もいい加減にしろと叱られ、噂になっていると一年前にも問いただされたことがあった。
「オーランド!」
「珍しい、どうしたんだ?」
「お前、他に女がいるのか?浮気をしているのか?」
「えっ?何を言ってるんだ?」
「友人がお前が女といるのを見たって言ってるんだよ、一度じゃないって。どういうことだ!お前また…結婚したんだぞ」
「多分、女性騎士じゃないか」
それがリリアで、異動で再会し、懐かしいという話から、何度か関係を持ってしまったが、それはキリアムから聞かれる一年以上前の話だった。
リリアも形式上だけでも結婚しており、周りから見ればお互い不貞になってしまうので、なかったことにしようと、当時は既に互いに節度を持って接していた。
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