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弁解する父
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「お義父様、実家に行って来てもいいですか…」
「ああ、行って来るといい」
マトムはサイラが葬儀の準備に駆けまわっている最中、大公に謝罪に向かう前にアレクスから、状況を問い詰め、どのような対応をしたか聞いていた。ゆえにアレクスの顔は見たくもない。
「なぜ昨日の内に知らせなかったのだ!」
「ユーリがきちんと許すと言って貰えていれば、侯爵家のお手を煩わせることはないかと思い、不徳の致すところです」
「夫人が言っていたことは事実なんだな?アベリーが怪我をさせたと」
「はい、ですが、アベリーも怪我をさせようとしたわけではなく」
アベリーが暴力を振るったわけじゃない、あれは事故で、こんな大袈裟にすることではない。ただ相手が悪かっただけだ。
「ぬいぐるみを奪おうをしたのだろう?」
「はい、欲しくて引っ張ったら、お孫さんが一緒にこけてしまい、頭を打たれたようです」
「それはそうだろう!お孫様のぬいぐるみなのだから」
「…はい」
「お前は何をやっておったのだ!」
「知り合いと話をしている間に、歩き回っておりまして」
隣に座っているか、近くを歩き回っていただけだったのに、大公の孫に接触するなんて思わないだろう。爵位の低い者だったら、慰謝料だけで済んだことだったのに。
「しっかり見ていたら!はあ…あちらにお付きの者はいなかったのか!」
「はい、大公様も話している最中の出来事だったようで…」
大公家ならばお付きがしっかり付いていれば、あんなことにはならなかった。
「なぜお前が謝罪に行かなかったのだ!なぜユーリが行く必要がある?」
「私は不安になっているアベリーに付いておりましたから、ユーリに行かせたのです。薬師だから何か役に立てるかもしれないと言って」
「自分が謝りに行くのが怖かったからだろう!それが父親のすることか!」
「違います!メルベールのためを思ってのことで」
メルベールのためになるなら、ユーリに行かせて何が悪い?双子に産まれたのはこういう時に使うためじゃないか。
「ユーリならどうなってもいいと、そう言うのか?」
「子どもも産めぬような者より、母親の方が大事でしょう?考えるまでもないではありませんか」
「お前が死んで責任を取れと、言ったのか?」
「そのようなことは言っておりません。あれが勝手に死んだのです」
マトムもアレクスのメルベールとユーリの接し方に、疑問を抱かなかったわけではない。確かにメルベールの方が子どもらしく、成長してからは明るく前向きで、好感が持てることは分かる。
だが、私も同じ双子の親だ、それぞれ違うが、個性だと思って接して来た。特にメルベールとユーリは、同じ顔をした娘。それなのに、ここまでの言い方が出来るのかと思うが、今さら言っても仕方ない。
「アベリーは何をしたか理解するまで邸から出さない。十二歳になったら、修道院に入れることになる」
「っな、アベリーはまだ五歳ですよ」
「お前がちゃんと見ていないから、こんなことになったんだろうが!誰が好き好んで、孫を修道院に入れると思っているのだ!そうしなければ、下の双子も、侯爵家だってどうなるか分からない!」
「アベリーが反省すればいいのではありませんか」
意識を取り戻したと言っていたし、アベリーが反省すれば、たかが五歳がしたことだぞ?許してくれるはずだ。
「アベリーが怪我をさせたのは、国王陛下も大変可愛がってらっしゃるアンジュリー様だ。国の問題にならなかったとしても、アベリーがこれまで通り過ごせるはずがないだろう!」
「…そんな」
そんなことは知らなかった、なんて運が悪いんだ。だが、アベリーはこれから幸せに生きていくべき子なのだ…どうにかしてあげなくては可哀想じゃないか。
「お前が連れて行かなかったら…アベリーをもっと厳しくしつけるべきだった」
「申し訳ございませんでした…」
「ああ、行って来るといい」
マトムはサイラが葬儀の準備に駆けまわっている最中、大公に謝罪に向かう前にアレクスから、状況を問い詰め、どのような対応をしたか聞いていた。ゆえにアレクスの顔は見たくもない。
「なぜ昨日の内に知らせなかったのだ!」
「ユーリがきちんと許すと言って貰えていれば、侯爵家のお手を煩わせることはないかと思い、不徳の致すところです」
「夫人が言っていたことは事実なんだな?アベリーが怪我をさせたと」
「はい、ですが、アベリーも怪我をさせようとしたわけではなく」
アベリーが暴力を振るったわけじゃない、あれは事故で、こんな大袈裟にすることではない。ただ相手が悪かっただけだ。
「ぬいぐるみを奪おうをしたのだろう?」
「はい、欲しくて引っ張ったら、お孫さんが一緒にこけてしまい、頭を打たれたようです」
「それはそうだろう!お孫様のぬいぐるみなのだから」
「…はい」
「お前は何をやっておったのだ!」
「知り合いと話をしている間に、歩き回っておりまして」
隣に座っているか、近くを歩き回っていただけだったのに、大公の孫に接触するなんて思わないだろう。爵位の低い者だったら、慰謝料だけで済んだことだったのに。
「しっかり見ていたら!はあ…あちらにお付きの者はいなかったのか!」
「はい、大公様も話している最中の出来事だったようで…」
大公家ならばお付きがしっかり付いていれば、あんなことにはならなかった。
「なぜお前が謝罪に行かなかったのだ!なぜユーリが行く必要がある?」
「私は不安になっているアベリーに付いておりましたから、ユーリに行かせたのです。薬師だから何か役に立てるかもしれないと言って」
「自分が謝りに行くのが怖かったからだろう!それが父親のすることか!」
「違います!メルベールのためを思ってのことで」
メルベールのためになるなら、ユーリに行かせて何が悪い?双子に産まれたのはこういう時に使うためじゃないか。
「ユーリならどうなってもいいと、そう言うのか?」
「子どもも産めぬような者より、母親の方が大事でしょう?考えるまでもないではありませんか」
「お前が死んで責任を取れと、言ったのか?」
「そのようなことは言っておりません。あれが勝手に死んだのです」
マトムもアレクスのメルベールとユーリの接し方に、疑問を抱かなかったわけではない。確かにメルベールの方が子どもらしく、成長してからは明るく前向きで、好感が持てることは分かる。
だが、私も同じ双子の親だ、それぞれ違うが、個性だと思って接して来た。特にメルベールとユーリは、同じ顔をした娘。それなのに、ここまでの言い方が出来るのかと思うが、今さら言っても仕方ない。
「アベリーは何をしたか理解するまで邸から出さない。十二歳になったら、修道院に入れることになる」
「っな、アベリーはまだ五歳ですよ」
「お前がちゃんと見ていないから、こんなことになったんだろうが!誰が好き好んで、孫を修道院に入れると思っているのだ!そうしなければ、下の双子も、侯爵家だってどうなるか分からない!」
「アベリーが反省すればいいのではありませんか」
意識を取り戻したと言っていたし、アベリーが反省すれば、たかが五歳がしたことだぞ?許してくれるはずだ。
「アベリーが怪我をさせたのは、国王陛下も大変可愛がってらっしゃるアンジュリー様だ。国の問題にならなかったとしても、アベリーがこれまで通り過ごせるはずがないだろう!」
「…そんな」
そんなことは知らなかった、なんて運が悪いんだ。だが、アベリーはこれから幸せに生きていくべき子なのだ…どうにかしてあげなくては可哀想じゃないか。
「お前が連れて行かなかったら…アベリーをもっと厳しくしつけるべきだった」
「申し訳ございませんでした…」
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