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旅立ちの後(トスター侯爵家1)
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ユーリの葬儀の翌日になっても、結局オーランドもキリアムもメルベールも帰っては来なかった。サイラが送ったのは一通だけだが、トスター侯爵家からは泊っているはずのホテルに何通も送られている。
オーランドの方は王家にしか分からないため、どうなっているのか分からない。問い合わせたが、移動したようで、連絡が取れていないという。
「オーランドは仕方ないとしても、キリアムはどうして戻らないのよ!」
「予定だったから、延ばしたのか?だが、返事をすべきだろう」
「大公様に謝罪もしなくてはならないのに。アベリーはどうするつもり?」
「再教育と言いたいところだが、ストレ王国との関係性を考えると、修道院に入れる十二まで、領地で面倒を看るしかないだろうな」
ウェーブ王国の修道院は十二歳からしか入ることは出来ない。アベリーはこのまま貴族社会にいても、一生怪我をさせた事実が付き纏う。
「反省をしていないから、謝らせるにも余計なことを言い出したらと思うと…」
「ああ、それこそ問題になる」
ストレ王国とは表向きは友好的ではあるが、過去には戦争を行っていた時代もあり、現在はストレ王国の方が世界で見れば裕福で、発展している国と言える。
国王陛下からも国の問題になっていない時点で動くことは出来ないと、それ以上言って来ることはなかったが、それが逆に恐ろしいとも言える。
「グラーフ伯爵家に養女には出せないわよね…」
「責任を逃れだと思われるだろう」
一番甘やかしていたのはアレクスであるが、多くの時間を過ごし、接して来たのは両親や祖父母の方なのに、あの場にいた保護者として、責任をどうにかアレクスに押し付けられないかと考えていた。
「ユーリはシュアト公爵夫人と親しかったのだな、早く言ってくれれば。色々便宜を図って貰えただろうに」
「ええ、驚きましたわね」
「まあ、これからでも力になってくれるといいんだが」
「ええ、仲介役をあちらから申し出てくれると一番いいのだけど」
「ユーリの娘ならいいが、そうではないからな」
二人はユーリの死を引きずることも、悲しむこともなく、これからどうするかで頭がいっぱいの状態である。
そして、ようやくキリアムとメルベールが滞在しているはずのホテルから、何通かの文が滞在される予定はキャンセルになったため、お渡しできなかったと戻って来た。文は勿論、開封されていない。
配達もホテルに届けて、ホテル側にサインをして貰い、ホテル側から届けるシステムであるため、受け取った後でキリアムとメルベールの滞在がキャンセルになり、その後も何通か届いたので、まとめて送り返してきたようだ。
キリアムとメルベールは、移動でホテルを経由しながら、最終的に領地の文を出したホテルに滞在する予定となっていた。あの日にはホテルにいるはずで、そのホテルにサイラもトスター侯爵家も早文を出し続けていたのだ。
「一体どこにいるの?」
「何をやっておるのだ!」
「別のホテルに泊まったんでしょうね、全てのホテルに出すべきだったかしら…」
領地のホテルはいくつかあり、二人は文を出していたホテルに滞在すると聞いていた。だが、今さら出したところですぐに届くわけではない。
「さすがに戻って来ているでしょうから、待つしかないわね」
「はあ、オーランドの方が早いかもしれんな」
そう話していた翌々日、やっとキリアムとメルベールが帰って来た。
「予定より遅くなって申し訳ありません」
「色々見て回っていたら、二人で楽しくなってしまって」
「メルベールはそろそろ誕生日でしたから、ちょっと贅沢を」
「皆にもお土産がありますよ」
何も知らない二人は、使用人にもにこにこと話していたが、相応しくないことを発していることにも気付けるはずもない。
オーランドの方は王家にしか分からないため、どうなっているのか分からない。問い合わせたが、移動したようで、連絡が取れていないという。
「オーランドは仕方ないとしても、キリアムはどうして戻らないのよ!」
「予定だったから、延ばしたのか?だが、返事をすべきだろう」
「大公様に謝罪もしなくてはならないのに。アベリーはどうするつもり?」
「再教育と言いたいところだが、ストレ王国との関係性を考えると、修道院に入れる十二まで、領地で面倒を看るしかないだろうな」
ウェーブ王国の修道院は十二歳からしか入ることは出来ない。アベリーはこのまま貴族社会にいても、一生怪我をさせた事実が付き纏う。
「反省をしていないから、謝らせるにも余計なことを言い出したらと思うと…」
「ああ、それこそ問題になる」
ストレ王国とは表向きは友好的ではあるが、過去には戦争を行っていた時代もあり、現在はストレ王国の方が世界で見れば裕福で、発展している国と言える。
国王陛下からも国の問題になっていない時点で動くことは出来ないと、それ以上言って来ることはなかったが、それが逆に恐ろしいとも言える。
「グラーフ伯爵家に養女には出せないわよね…」
「責任を逃れだと思われるだろう」
一番甘やかしていたのはアレクスであるが、多くの時間を過ごし、接して来たのは両親や祖父母の方なのに、あの場にいた保護者として、責任をどうにかアレクスに押し付けられないかと考えていた。
「ユーリはシュアト公爵夫人と親しかったのだな、早く言ってくれれば。色々便宜を図って貰えただろうに」
「ええ、驚きましたわね」
「まあ、これからでも力になってくれるといいんだが」
「ええ、仲介役をあちらから申し出てくれると一番いいのだけど」
「ユーリの娘ならいいが、そうではないからな」
二人はユーリの死を引きずることも、悲しむこともなく、これからどうするかで頭がいっぱいの状態である。
そして、ようやくキリアムとメルベールが滞在しているはずのホテルから、何通かの文が滞在される予定はキャンセルになったため、お渡しできなかったと戻って来た。文は勿論、開封されていない。
配達もホテルに届けて、ホテル側にサインをして貰い、ホテル側から届けるシステムであるため、受け取った後でキリアムとメルベールの滞在がキャンセルになり、その後も何通か届いたので、まとめて送り返してきたようだ。
キリアムとメルベールは、移動でホテルを経由しながら、最終的に領地の文を出したホテルに滞在する予定となっていた。あの日にはホテルにいるはずで、そのホテルにサイラもトスター侯爵家も早文を出し続けていたのだ。
「一体どこにいるの?」
「何をやっておるのだ!」
「別のホテルに泊まったんでしょうね、全てのホテルに出すべきだったかしら…」
領地のホテルはいくつかあり、二人は文を出していたホテルに滞在すると聞いていた。だが、今さら出したところですぐに届くわけではない。
「さすがに戻って来ているでしょうから、待つしかないわね」
「はあ、オーランドの方が早いかもしれんな」
そう話していた翌々日、やっとキリアムとメルベールが帰って来た。
「予定より遅くなって申し訳ありません」
「色々見て回っていたら、二人で楽しくなってしまって」
「メルベールはそろそろ誕生日でしたから、ちょっと贅沢を」
「皆にもお土産がありますよ」
何も知らない二人は、使用人にもにこにこと話していたが、相応しくないことを発していることにも気付けるはずもない。
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