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守ると決めた母
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「ふっ、ふざけるな!なぜ私がユーリの責任などを取らぬとならない」
「どちらがふざけているのですか!あなたはユーリに責任を押し付けたのです!責任は取って貰いますからね!」
「ふん、私に責任などない」
「どちらにせよ、あなたの可愛いアベリーとメルベールがは、間違いなく責任を取ることになるでしょうね」
夫・アレクスが可愛がっていたアベリーとメルベールはこれからこの件で、どのような形になるかは分からないが、責任からは逃れることは出来ない。
「っな、もうユーリが取ったではないか」
「それだけで足りるならばいいですね?それで、侯爵家はどうおっしゃっていましたか?邸で相談でもされているのかしら」
「…まだ言っていない」
「はあ?言ったではありませんか、あなたはアベリーを連れて、侯爵家に説明に行くようにと。何をしていたのですか!大公様が来られたらどうするのですか!」
戻ったユーリの事情を聞き、部屋に駆け付ける前に、トスター侯爵家にはきちんと説明に行くように伝えてあったはずだ。部屋にアベリーがやって来たが、まだ準備しているだけかと思っていたのに、言っていなかったなんて。
「私はお迎えするために部屋を片付けますから、あなたは早く説明に行ってください。引き延ばせば延ばすほど、立場が悪くなるだけですよ!さあ!」
「…だが、何と言えば」
「事実を伝えればいいのです。大公様もご存知なのですから」
嘘を付いても、大公様があの場にいた者に確認を取っていないはずがない。事実を伝えればいいだけだが、その事実が自身のせいにされるのが嫌で、話に行きたくないのだ。どうにか逃げられないかばかり考えていたのだろう、本当に情けない人だ。
「だが、大公様が許すと言ってくだされば、知らせなくてもいいのではないか?アベリーも反省しているんだ」
「私に言われても困ります!決めるのは侯爵家と、大公様です。私は片付けますから、早く侯爵家に行ってください」
行きたくないのならいい、もう放って置こう。どうせ後から何倍にもなって責められてしまえばいい。
サイラは夫を無視し、物置と化していたユーリの部屋を窓を開け、部屋に置いてあった物を物置に移した。何かが起きていると感じていた使用人が手伝うと言ったが、サイラはひとりでやりますからと、拒否した。
亡くなっているとしても、絶対にユーリを何者からも守ると決めたのだ。
そして、邸の前に馬車が止まり、お付きの人が開けて、降りて来たのは大公本人であった。グラーフ伯爵は慌てて、駆け寄った。
「大公様っ!この度は、」
「結構。使いではなく、私がこの目で確かめに来た。いいな?後ろのは専属医だ」
「は、い」
サイラは、母のサイラと申します、ご案内しますとユーリの部屋に連れて行った。ベットに寝かされているユーリは、既に青白く、毒の影響か、黒い斑模様が顔に出ており、おそらく身体にも出ていると思われる。
侍医は、腕と首の脈を確認し、最後に瞳孔を確認した。
「どうだ?」
「間違いなく、亡くなっておられます」
「…そうか」
「お孫様の様子はいかがでしょうか」
「ああ、再び目を覚まして、今は様子を見ている」
「さようでございますか、大変申し訳ございませんでした」
良かったなどと口には出来ない、後は夫と侯爵家に任せるしかない。だってもうユーリは亡くなってしまったのだから。
「孫・アベリーの両親は戻り次第、すぐに先触れを出させていただきます」
「ああ、分かった」
「っな、お前に勝手に」
「何だ?」
「いっ、いえ」
大公に睨まれたアレクスは、身体を強張らせて黙った。侯爵家の人が来てもいないということは、まだ知らせていないのだろう。愚か過ぎて吐き気がする。
「娘は肝の据わった者だったのに、父親と孫はクソだな。私の使用人を置いていく。きちんと葬儀をしてやれ」
「はい…ありがとうございます」
サイラは大公に向かって、深く頭を下げて、涙を流した。
「どちらがふざけているのですか!あなたはユーリに責任を押し付けたのです!責任は取って貰いますからね!」
「ふん、私に責任などない」
「どちらにせよ、あなたの可愛いアベリーとメルベールがは、間違いなく責任を取ることになるでしょうね」
夫・アレクスが可愛がっていたアベリーとメルベールはこれからこの件で、どのような形になるかは分からないが、責任からは逃れることは出来ない。
「っな、もうユーリが取ったではないか」
「それだけで足りるならばいいですね?それで、侯爵家はどうおっしゃっていましたか?邸で相談でもされているのかしら」
「…まだ言っていない」
「はあ?言ったではありませんか、あなたはアベリーを連れて、侯爵家に説明に行くようにと。何をしていたのですか!大公様が来られたらどうするのですか!」
戻ったユーリの事情を聞き、部屋に駆け付ける前に、トスター侯爵家にはきちんと説明に行くように伝えてあったはずだ。部屋にアベリーがやって来たが、まだ準備しているだけかと思っていたのに、言っていなかったなんて。
「私はお迎えするために部屋を片付けますから、あなたは早く説明に行ってください。引き延ばせば延ばすほど、立場が悪くなるだけですよ!さあ!」
「…だが、何と言えば」
「事実を伝えればいいのです。大公様もご存知なのですから」
嘘を付いても、大公様があの場にいた者に確認を取っていないはずがない。事実を伝えればいいだけだが、その事実が自身のせいにされるのが嫌で、話に行きたくないのだ。どうにか逃げられないかばかり考えていたのだろう、本当に情けない人だ。
「だが、大公様が許すと言ってくだされば、知らせなくてもいいのではないか?アベリーも反省しているんだ」
「私に言われても困ります!決めるのは侯爵家と、大公様です。私は片付けますから、早く侯爵家に行ってください」
行きたくないのならいい、もう放って置こう。どうせ後から何倍にもなって責められてしまえばいい。
サイラは夫を無視し、物置と化していたユーリの部屋を窓を開け、部屋に置いてあった物を物置に移した。何かが起きていると感じていた使用人が手伝うと言ったが、サイラはひとりでやりますからと、拒否した。
亡くなっているとしても、絶対にユーリを何者からも守ると決めたのだ。
そして、邸の前に馬車が止まり、お付きの人が開けて、降りて来たのは大公本人であった。グラーフ伯爵は慌てて、駆け寄った。
「大公様っ!この度は、」
「結構。使いではなく、私がこの目で確かめに来た。いいな?後ろのは専属医だ」
「は、い」
サイラは、母のサイラと申します、ご案内しますとユーリの部屋に連れて行った。ベットに寝かされているユーリは、既に青白く、毒の影響か、黒い斑模様が顔に出ており、おそらく身体にも出ていると思われる。
侍医は、腕と首の脈を確認し、最後に瞳孔を確認した。
「どうだ?」
「間違いなく、亡くなっておられます」
「…そうか」
「お孫様の様子はいかがでしょうか」
「ああ、再び目を覚まして、今は様子を見ている」
「さようでございますか、大変申し訳ございませんでした」
良かったなどと口には出来ない、後は夫と侯爵家に任せるしかない。だってもうユーリは亡くなってしまったのだから。
「孫・アベリーの両親は戻り次第、すぐに先触れを出させていただきます」
「ああ、分かった」
「っな、お前に勝手に」
「何だ?」
「いっ、いえ」
大公に睨まれたアレクスは、身体を強張らせて黙った。侯爵家の人が来てもいないということは、まだ知らせていないのだろう。愚か過ぎて吐き気がする。
「娘は肝の据わった者だったのに、父親と孫はクソだな。私の使用人を置いていく。きちんと葬儀をしてやれ」
「はい…ありがとうございます」
サイラは大公に向かって、深く頭を下げて、涙を流した。
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