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姪の起こした事件
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アベリーは五歳になり、父が参加するという紳士の茶会に「アベリーも行きたい」と言って、参加していた。
父と同世代なので、孫を連れている者もおり、アベリーは三歳くらいの女の子の持つぬいぐるみが目に入り、「それ、ちょうだい」と当たり前のように言った。
女の子は「これは駄目です。お祖父様に買ってもらったものですから」と言うも、アベリーは力任せにそのぬいぐるみを自身の方へ引っ張った。
すると女の子は体制を崩して、運悪く壁に頭をぶつけてしまった。そこでようやく慌ててやって来た父は、アベリーからあの子のぬいぐるみが欲しくて引っ張ったら、勝手に転んだと聞かされた。
しかし、その女の子は隣国ストレ王国から訪問していた大公家の孫、王弟の孫であった。大公はちょうど話し掛けられており、うろうろ歩いてしまっていたのだ。
女の子は意識がないようで、駆け寄って来た大公の顔を見て、父は驚愕した。申し訳ございませんと、頭を下げるも、睨み付けられ、女の子の治療の方が優先。すぐさま運ばれて行き、父はアベリーと逃げるように邸に帰った。
父・アレクスに呼ばれたのは、やはりユーリであった。医院にまで乗り込んで、早退させて、無理やり邸に連れて来た。
「アベリーがラオン大公家のお孫さんに怪我をさせた。ここに慰謝料がある。お前が渡して、謝罪して来い」
「何ですって!どうしてユーリが行くのよ!あなたが行くべきでしょう!」
「私はアベリーについてやらねばならない。この責任はお前が取るべきだろう、金は用意した。誠心誠意、許してもらえるまで謝って来い」
父は上には頭を下げることは出来るが、今回はあまりに相手が悪いため、自身で行くのが怖い。上手く謝れる自信もなかった。
「何を言っているの!あなたがその場にいたのでしょう!」
「私は親ではない」
「ユーリだって親ではないわ!あなたが連れて行った孫でしょう!」
「メルベールの娘なのだから、双子の片割れが責任を取るべきだろう?留守なのだから仕方ないじゃないか」
母・サイラはいつになく声を張り上げたが、キリアムとメルベールは、領地に視察に行っており、アベリーは伯爵家、双子は侯爵家で面倒を看ていた。アベリーが甘やかして貰える伯爵家に行きたいと言ったからでもある。
「トスター侯爵家に知らせます」
「駄目だ駄目だ、きちんと謝罪してからだ」
「私にメルベールの振りをして、謝罪をするようにということでしょうか」
「ああ、その方がいいか」
「処罰となったらメルベールが処罰されることになりますが、よろしいのですか」
「それはならん」
「では叔母として、謝罪してくればいいのでしょうか」
「そうだな、父は具合が悪くとでも言っておけ。上手く言うんだぞ、分かったな?」
自身のせいであるが、自身のせいにはされたくない。全てをユーリに押し付け、怒らせたとしてもユーリのせいにするつもりだった。
「あなた!」
「お孫様は無事なのでしょうか」
「わ、分からない、意識がないようだった」
「っな、何てことを…」
「お母様、私は準備がありますので、一旦、邸に戻って来ます。確かルーランズホテルに滞在中だと聞きました、先触れを出しておいてもらえますか」
「ユーリ、あなたが行くことはないわ。私が行きます」
「いえ、私が行きますわ。薬師としてなにかできることがあるかもしれませんから」
「ああ、そうだ。お前も役に立つじゃないか」
「分かったわ…」
何かあったのかと、別邸で暮らしているルオンがやって来たが、アレクスは既にアベリーが心配だとアベリーの元に行ってしまっていた。アベリーは悪いことなどしたと思っていないようで、帰って早々にお菓子ないの?などと言っていた。
父と同世代なので、孫を連れている者もおり、アベリーは三歳くらいの女の子の持つぬいぐるみが目に入り、「それ、ちょうだい」と当たり前のように言った。
女の子は「これは駄目です。お祖父様に買ってもらったものですから」と言うも、アベリーは力任せにそのぬいぐるみを自身の方へ引っ張った。
すると女の子は体制を崩して、運悪く壁に頭をぶつけてしまった。そこでようやく慌ててやって来た父は、アベリーからあの子のぬいぐるみが欲しくて引っ張ったら、勝手に転んだと聞かされた。
しかし、その女の子は隣国ストレ王国から訪問していた大公家の孫、王弟の孫であった。大公はちょうど話し掛けられており、うろうろ歩いてしまっていたのだ。
女の子は意識がないようで、駆け寄って来た大公の顔を見て、父は驚愕した。申し訳ございませんと、頭を下げるも、睨み付けられ、女の子の治療の方が優先。すぐさま運ばれて行き、父はアベリーと逃げるように邸に帰った。
父・アレクスに呼ばれたのは、やはりユーリであった。医院にまで乗り込んで、早退させて、無理やり邸に連れて来た。
「アベリーがラオン大公家のお孫さんに怪我をさせた。ここに慰謝料がある。お前が渡して、謝罪して来い」
「何ですって!どうしてユーリが行くのよ!あなたが行くべきでしょう!」
「私はアベリーについてやらねばならない。この責任はお前が取るべきだろう、金は用意した。誠心誠意、許してもらえるまで謝って来い」
父は上には頭を下げることは出来るが、今回はあまりに相手が悪いため、自身で行くのが怖い。上手く謝れる自信もなかった。
「何を言っているの!あなたがその場にいたのでしょう!」
「私は親ではない」
「ユーリだって親ではないわ!あなたが連れて行った孫でしょう!」
「メルベールの娘なのだから、双子の片割れが責任を取るべきだろう?留守なのだから仕方ないじゃないか」
母・サイラはいつになく声を張り上げたが、キリアムとメルベールは、領地に視察に行っており、アベリーは伯爵家、双子は侯爵家で面倒を看ていた。アベリーが甘やかして貰える伯爵家に行きたいと言ったからでもある。
「トスター侯爵家に知らせます」
「駄目だ駄目だ、きちんと謝罪してからだ」
「私にメルベールの振りをして、謝罪をするようにということでしょうか」
「ああ、その方がいいか」
「処罰となったらメルベールが処罰されることになりますが、よろしいのですか」
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「っな、何てことを…」
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「いえ、私が行きますわ。薬師としてなにかできることがあるかもしれませんから」
「ああ、そうだ。お前も役に立つじゃないか」
「分かったわ…」
何かあったのかと、別邸で暮らしているルオンがやって来たが、アレクスは既にアベリーが心配だとアベリーの元に行ってしまっていた。アベリーは悪いことなどしたと思っていないようで、帰って早々にお菓子ないの?などと言っていた。
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