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自由恋愛の行く末(最終話)

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 夜会から数ヶ月後、父親に呼び出されたカナンは酷く嫌な予感がしていた。メメも一緒にやって来て、執務室に入り、ソファにドカリと座って、メメもカナンに習って、ソファに座っている。

「結婚が決まった」
「はあ…嫌な予感がしたのよね」
「お前の気が済むまで、条件をのむそうだ」
「この前のせい?」
「ああ、ようやく薬の出どころも全て突き止めて、国としては良かった。それで、陛下とアランズ公爵がお決めになったんだ」
「やってくれたわね、はあ…」

 あの媚薬とも呼べない興奮剤は麻薬で酩酊状態にして、強姦をするという質の悪いものであった。ホリアから買った相手を吐かせて、芋ずる式に突き止めたが、1つではなく、数か所で製造販売されており、時間が掛かった。

 この件で、さすがにルーフランを結婚させるべきだと動き出してしまったのだ。アランズ公爵も条件は全てのむくらい問題ないと判断した。

「結婚式はちゃんとしてくれ。中身はどうあれ、父上と母上が楽しみにしている」
「メメも出れるかしら」

 カナンはメメに頬ずりをして、撫でくり、メメも幸せそうにハアハア言っている。

「メメで滅茶苦茶にする気か?お前がゴーと言えば、ルーフランくんに飛び付くだろうが」
「メメと結婚しようかしら」
「メメは雌だ」
「結婚したらメメに会えなくなるのに、いいの?」
「っ、それは、遊びに来ればいいじゃないか」

 毎日触れ合っていたメメがいなくなるのは、さすがに寂しいらしい。おそらく娘よりメメの方が可愛いのだ。

「兄様だってまだ結婚していないのに」
「お前が結婚してからだと」
「ふん!あ~あ、辺境よね?」
「いや、ルーフランくんは当分はこちらだそうだ。レモとパドラのこともあるだろう?」
「ああ、来週から子連れで出勤だって言ってたわ」

 レモは2ヶ月前に無事、女の子を出産し、さすがに産休中であるが、お嬢様が心配だからと来週から働き出すらしい。パドラも現在は騎士団にいるが、私が辺境に行けば、レモも辺境に行くと言っており、パドラも辞めて付いて行く予定となっている。

 リファは王都に小ぶりの家を借りて、アルームの顔を見なくて済むようになって、楽しく過ごしていると言っていた。

「あ~あ、婚約破棄したかった!私の力では何も変わらないってことね、ちくしょー!!皆を脅して回れば良かったかしら」
「そんなことはない、お前が結局3年も延期したことで、同じように延期して解消した者もいる」

 自由恋愛をしていた者は始めはまだ自由恋愛が出来ると思って喜ぶが、結局また自由恋愛をしていることに、そろそろ結婚をと思っても、婚約者はまだ結婚は出来ない、気持ちの整理が付かない、性病を患っているかもしれないなどと引き延ばして、『だったら婚約を解消する』と言わせることに成功していた。

 別に相手には困っていないと結婚相手を探そうとするが、自由恋愛をしていた者ばかりが残されて、自身が自由恋愛をしていても、相手には貞淑さを求める者が多いため、残り者のアバズレか、まだ年若い子しか残っていない。わざわざ年若い子が縁談を受けるはずもなく、そもそも自由恋愛の末に延期となった者にいい縁談などない。

 ただし、これは親が協力的な場合のみで、リファのように無理やり結婚させられることもまだまだ多い。

「私は出来ていないじゃない!!」
「まあ、諦めて解消されなかっただけだ。どうもルーフランくんは、お前の恐ろしいところが好きだそうだ。そうなると、こんな娘なかなかいるものではないからな。恐ろしさを見せすぎたのが失敗だったな」
「ふん!」

 公爵家と侯爵家の結婚式は豪勢に、華やかに行われたが、ルーフランは見たこともない、にやけた表情だったが、カナンの表情は張り付けたように同じ笑顔だった。

 そしてメメが登場すると、ルーフランはカナンに近付くことも出来なくなり、一部の親族は心配したが、他の者は忠誠心のある犬だと微笑んでいたそうだ。

 白い結婚が解除されるかはルーフランではなく、カナン次第であるが、最近の口癖はというと…

「ああ…早く、離縁したい」
「子ども?勝手に作ってくればいいだろう」
「メメ、ゴー!!」

 自由恋愛も罰せられず、自身は結局、婚約破棄も出来なかったが、きっと誰よりも自由は手に入れたカナンであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最後までお読みいただきありがとうございます。

婚約解消できるのか、結婚させられてしまうのかというところまで、
書きたかったので、こちらにて完結とさせていただきます。

カナンはリファのように生きるのか、絆されてしまうのか?

ともあれ、お付き合いいただきありがとうございました。

そして、このお話をお気に召した方には向かなさそうな、
暗めの作品を本日より連載しています。
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