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夜会1
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王家主催の夜会に参加していたカナンとルーフラン。カナンがリファと話すためにルーフランから離れ、手洗いの帰りにルーフランに近付く令嬢がいた。
「シャンパンを2つ受け取ってしまったのですが、お1ついかがですか」
「いや、結構だ」
「そうおっしゃらず、受け取ってください」
「いや、要らない」
「私にこのまま2つ持って歩けとおっしゃるのですか」
「ああ、ではいただくよ」
ルーフランはマリッツアに盛られて以来、飲み物や食べ物に非常に敏感になっており、断ったにもかかわらず、非常に勧めて来る様におかしいと判断したが、受け取って飲もうとすると口角が上がったのが見え、飲むのを止める。
「君は飲まないのかい?」
「ええ、いただきますわ。ルーフラン様もお飲みになって」
「やっぱりワインにしようかな」
「っえ、でもシャンパンも美味しいですわよ。さあ、お飲みになって」
「黙れっ!」
グラスを持っていない片手で拘束し、彼女のグラスは落として割れたが、渡されたグラスは持っており、駆け付けた父・アランズ公爵がグラスを受け取っていた。
騒ぎにカナンが慌てて駆け付けると、ルーフランは女性を後ろ手に拘束していた。
「グラスを調べてくれ」
アレヴァー王太子が指示を出してグラスを回収して、調べさせると、興奮剤が入れられており、知らない、何かの間違いだと騒いだが、勧めている様子を見ていた者もおり、現行犯となった。
「ああ、あなた、Cクラスの」
その女性は編入生であったラシーネ・コルトバであった。卒業後も結婚しておらず、仕事もしていないことから、相手を見付けるのに躍起になっていた。
自由恋愛をしていたベーシ伯爵令息とはやはり別れてというよりは、遊ばれただけであった。
そのベーシ伯爵令息は、カルミナ・スマック子爵令嬢はまだ療養中で、婚約は解消となり、別の相手と結婚したが、上手くいっていないという噂だ。
別室に連れて行っても、止めて触らないでと喚くので、皆が困惑する中、カナンが急に駆け寄り、がっしりと抱きしめると、ううぅと言う声と共に大人しくなった。
事情を知っているアレヴァーの護衛騎士たちは、そのまま抱き殺すのではないかとハラハラしたが、令嬢だからできる芸当である。男性騎士が行えば、後で何を言われるか分からない。
ぐったりした様子のラシーネをカナンが椅子に座らせると、アランズ公爵が手慣れた様子で紐で縛り付け、辺境でのチームプレーが役に立ったというべきである。
そしてアレヴァーとルーフランがラシーネに問いかけた。
「興奮剤を盛ったな?」
「知りません」
「薬の入手ルートは」
「知らない…」
「誰かから買ったのか?それとも貰ったのか?」
「知りません…」
ラシーネは縛られたまま泣き出し、腕を縛られて、拭えないためグズグズになってるが、誰も気にも留めない。
「殿下、お手伝いしましょうか」
「頼めるか」
「両足を消毒して貰えますか?」
アレヴァーは侍女を呼び、両足を消毒するように指示を出した。護衛騎士たちはまた始まるぞとドキドキ半分、ワクワク半分となっている。
「なぜ足を消毒するのですか?」
「水虫です」
「ああ…」
「私の侍女が言うには、女性にも多いんですって」
「そうなんですか」
「ええ、しかも女性は水虫ですかって聞いても、そうであっても違うと言うんですって。皆様もお気を付けくださいね」
待っている間に護衛騎士が話し掛けると、カナンはさも当たり前のように答えている。これから恐ろしいことをする令嬢の顔とは思えない。
「殿下、麻薬も検出されました!」
検査薬でグラスを調べていた医者が声を上げた。
「何だと!?」
「シャンパンを2つ受け取ってしまったのですが、お1ついかがですか」
「いや、結構だ」
「そうおっしゃらず、受け取ってください」
「いや、要らない」
「私にこのまま2つ持って歩けとおっしゃるのですか」
「ああ、ではいただくよ」
ルーフランはマリッツアに盛られて以来、飲み物や食べ物に非常に敏感になっており、断ったにもかかわらず、非常に勧めて来る様におかしいと判断したが、受け取って飲もうとすると口角が上がったのが見え、飲むのを止める。
「君は飲まないのかい?」
「ええ、いただきますわ。ルーフラン様もお飲みになって」
「やっぱりワインにしようかな」
「っえ、でもシャンパンも美味しいですわよ。さあ、お飲みになって」
「黙れっ!」
グラスを持っていない片手で拘束し、彼女のグラスは落として割れたが、渡されたグラスは持っており、駆け付けた父・アランズ公爵がグラスを受け取っていた。
騒ぎにカナンが慌てて駆け付けると、ルーフランは女性を後ろ手に拘束していた。
「グラスを調べてくれ」
アレヴァー王太子が指示を出してグラスを回収して、調べさせると、興奮剤が入れられており、知らない、何かの間違いだと騒いだが、勧めている様子を見ていた者もおり、現行犯となった。
「ああ、あなた、Cクラスの」
その女性は編入生であったラシーネ・コルトバであった。卒業後も結婚しておらず、仕事もしていないことから、相手を見付けるのに躍起になっていた。
自由恋愛をしていたベーシ伯爵令息とはやはり別れてというよりは、遊ばれただけであった。
そのベーシ伯爵令息は、カルミナ・スマック子爵令嬢はまだ療養中で、婚約は解消となり、別の相手と結婚したが、上手くいっていないという噂だ。
別室に連れて行っても、止めて触らないでと喚くので、皆が困惑する中、カナンが急に駆け寄り、がっしりと抱きしめると、ううぅと言う声と共に大人しくなった。
事情を知っているアレヴァーの護衛騎士たちは、そのまま抱き殺すのではないかとハラハラしたが、令嬢だからできる芸当である。男性騎士が行えば、後で何を言われるか分からない。
ぐったりした様子のラシーネをカナンが椅子に座らせると、アランズ公爵が手慣れた様子で紐で縛り付け、辺境でのチームプレーが役に立ったというべきである。
そしてアレヴァーとルーフランがラシーネに問いかけた。
「興奮剤を盛ったな?」
「知りません」
「薬の入手ルートは」
「知らない…」
「誰かから買ったのか?それとも貰ったのか?」
「知りません…」
ラシーネは縛られたまま泣き出し、腕を縛られて、拭えないためグズグズになってるが、誰も気にも留めない。
「殿下、お手伝いしましょうか」
「頼めるか」
「両足を消毒して貰えますか?」
アレヴァーは侍女を呼び、両足を消毒するように指示を出した。護衛騎士たちはまた始まるぞとドキドキ半分、ワクワク半分となっている。
「なぜ足を消毒するのですか?」
「水虫です」
「ああ…」
「私の侍女が言うには、女性にも多いんですって」
「そうなんですか」
「ええ、しかも女性は水虫ですかって聞いても、そうであっても違うと言うんですって。皆様もお気を付けくださいね」
待っている間に護衛騎士が話し掛けると、カナンはさも当たり前のように答えている。これから恐ろしいことをする令嬢の顔とは思えない。
「殿下、麻薬も検出されました!」
検査薬でグラスを調べていた医者が声を上げた。
「何だと!?」
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