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奉仕活動

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「不貞じゃないのかしら」
「不貞で婚約解消だったら良かったのにね」
「でも王太子殿下は自由恋愛していたわけではないから、微妙かしらね」
「確かに、マリッツア王女殿下も戻って来られたんでしょう?」
「ええ、弟が掃除しているの見たって」
「奉仕活動中ってことかしら」
「そうじゃないかしら、元々評判は良くなかったから、仕方ないわよね」

 マリッツアは幽閉となれば、誰とも話せなくなると、仕方なく奉仕活動を行っていたが、半年が過ぎる頃、ようやく王妃が久しぶりに一緒に食事をしようと誘い、泣くほど嬉しかったそうだ。まさに鞭の中のひと粒の飴、王妃は徹底していた。

 真面目に行えばもっと構って貰えるかもしれないという希望を見出したマリッツアは、必死で頑張った。王妃も真面目に頑張っていると、一緒に食事をする回数も増え、陛下やアレヴァーも一緒に食事をすることもあった。

 周りも話し掛けてくれる人も増え、前なら使用人や平民と話すなんてと思っていたが、誰にも構って貰えなかったマリッツアは、嬉しいと感じることが出来た。

 マリッツアは3年勤め上げ、王女に返り咲くことになり、王女に戻ってから、今まで嫌がらせをした人に一人一人きちんと謝罪をした。そして妻を亡くしていた10歳年上の大臣と結婚することになった。

 王妃は手を緩めず、きちんと取り組めば必ず相応の者が返って来ると話し、マリッツアもちゃんと受け止め、やり直しをすることが出来たのだ。

 構って欲しいという気持ちが余程、有り余っていたというべきかもしれない。

 レアリはというと結局、1ヶ月経っても部屋から出て来ず、諦めたマルカン伯爵は領地へと移送し、王都に入ることは二度と叶わなくなった。

 レアリはマリッツアとは違って、構って欲しいとアピールしなくても、誰かが構ってくれていたので、ぽつんと取り残された状態にどうしていいか分からなかった。

 使用人はいるが、私語は厳禁、最低限の世話だけでいいと言われているため、謹慎とは名ばかりで放置されることになった。

 王太子殿下の元婚約者で、何か仕出かしたとは聞いていたが、伯爵家の娘なら利用価値があるだろうと思って近づいた男性と関係を持ち、妊娠した。

 王太子殿下は結婚前ということもあり、避妊していたので、レアリは男性側がするものだと思って、何も行わずに何度も関係を持っていた。

 具合が悪いことで医者を呼ぶと妊娠しており、マルカン伯爵はようやく事態に気付いた。領地ということもあり、監視を付けてもおらず、一人でいいと言われれば、付いて行くこともなく、最低限が仇となった。

「一人で育てられるのか」
「無理よ…彼は?」
「ああ、何だったか他国の騎士だったか?」
「ええ、ニュートラ王国の騎士だって」
「いなくなっていたよ、お前と一緒にいるのを見た者がいたそうだが、もうどこにもいない」
「そんな…一緒にニュートラ王国で暮らそうって」

 レアリは男性を愛していたわけではないが、誰かに依存することで、生きている価値を見出そうとしていた。男の方はレアリが王都を追放となっていることを聞いて、姿を消していた。

 ニュートラ王国の騎士も嘘で、過疎の進んだ地方の男爵家の息子だった。

 子どもを産むと子どもは子どものいない親戚に養子に出すことになった。レアリは子どもに何の興味も示さず、王太子殿下の子でないなら意味がない。どうして子どもなんて出来たのと、妊娠中から嫌悪していたからだ。

 レアリは修道院に入れられることになった。最初からそうすれば良かったのだが、伯爵ももしかしたらという希望を捨てられなかった。

 マリッツアのように構って欲しいことに熱意を持てば違っただろうが、レアリはアピールの仕方すら分からなかった。

 一生修道院で、邪魔者扱いされながら、屍の様に生きるしかなくなった。
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