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罰
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マリッツアはこれまでの脅し、強要した罪、興奮剤を同意なく2人に飲ませ、性交校を強要した罪で、奉仕活動3年。レアリも興奮剤を同意なく1人に飲ませ、性交を強要し、怪我をさせた罪で、奉仕活動2年。
ただし、放棄することがあった場合は、マリッツアは幽閉、レアリは領地にて謹慎のため王都から追放となることが決まった。
奉仕活動とは週に5日の主に清掃作業となる。他には孤児院や教会支援などである。どれも監視員が付くため、休めば休みがなくなり、期間が延びていく。
カナンが動かしたと言っても過言ではないが、膿んだまま放置していたことの責任を取る日が来ただけのこと。これがマリッツアが上手くいっていれば違ったのだが、こうなる運命だったのだろう。
2人とも行きたくないと言っていたが、マリッツアは王妃に無理やり連れて行かれ、レアリは悲劇のヒロインかのように泣いてばかりで、部屋に籠っているようだが、1ヶ月続けば謹慎へと移行される。
「宰相、そちらはどうだ?」
「アランズ公爵がいらして、結婚はひとまず延期となりました」
「延期?」
「はい…カナンが言い出しまして、双方の妥協点です。最低でも2年となっておりますが…食えない娘ですので、どうなることやら」
「その割には仲が良い」
「ええ、手に取るように気持ちは分かるのですがね。弱点を突くのが私よりも鋭く」
「傷口を抉るのではなく、突くのか」
「はい、忘れた頃に突いて、化膿させるような娘でございます」
ルーフランが謝罪をしても、悪いと思ってらっしゃるなら、解消してくださればいいのにと、愛しているんだと親がいる場で叫んでも、他の女性を愛撫したような口で言われてもと、太刀打ちできるような言葉を持っていなかった。
「私としては羨ましいがな、私の娘は我儘製造機だ…何であんな娘になったのか。子どもの頃は良かったのだがな」
「熱意をいい方に向けることが出来れば、よろしいかと思いますがね…」
「言っていることがめちゃくちゃだ」
「真っ当なことばかり言われるのも、骨が折れますよ」
「真っ当と暴力か?」
「はい、なぜあの子に身体強化などお与えになったのか…」
「夫人の言葉も聞かぬのか?」
リッツソード侯爵夫人は大人しく、一歩下がって見守るような女性で、おそらくカナンとは正反対だと思われる。
「妻とは、前は言い合いをしていたのですが、最近は躾の行き届いた言いなりになるしかない女とは話が通じないと」
「それは、辛辣だな…」
「妻の祖父母も同じような人間で、カナンが領地に魔獣を討伐に行ったにも関わらず、女の幸せは結婚だ、男の言うことを聞いていればいい、野蛮な女は嫌われると、あまりにうるさかったようで、失神させた一番大きな魔獣をわざわざ生け捕りにして、邸の庭に置いたそうです。目を醒ましたらどうなるかなと、楽しみだなと」
「それは…」
カナンしか出来ないような芸当であるが、宰相の娘をいかんなく発揮している。そもそも討伐に来て貰っておきながら、自分の思考を押し付けて、的確に痛いところを突いている。
「縋りついて謝って来たそうです。今度、言ったらどうなるか分かるなと、それからは何も言わなくなりました。はあ…」
「まさに実力行使」
「はい、しかもそこで見て置けと、殺すところを見させたそうです」
「ああ、見慣れない者にとっては恐怖だろうな」
「二度と意見することはなくなりました」
「孫に脅される…」
「はい、我が両親は元々、あの子のしたいようにさせておりますから、私はお手上げですよ。延期で十分、頑張ったつもりです」
ただし、放棄することがあった場合は、マリッツアは幽閉、レアリは領地にて謹慎のため王都から追放となることが決まった。
奉仕活動とは週に5日の主に清掃作業となる。他には孤児院や教会支援などである。どれも監視員が付くため、休めば休みがなくなり、期間が延びていく。
カナンが動かしたと言っても過言ではないが、膿んだまま放置していたことの責任を取る日が来ただけのこと。これがマリッツアが上手くいっていれば違ったのだが、こうなる運命だったのだろう。
2人とも行きたくないと言っていたが、マリッツアは王妃に無理やり連れて行かれ、レアリは悲劇のヒロインかのように泣いてばかりで、部屋に籠っているようだが、1ヶ月続けば謹慎へと移行される。
「宰相、そちらはどうだ?」
「アランズ公爵がいらして、結婚はひとまず延期となりました」
「延期?」
「はい…カナンが言い出しまして、双方の妥協点です。最低でも2年となっておりますが…食えない娘ですので、どうなることやら」
「その割には仲が良い」
「ええ、手に取るように気持ちは分かるのですがね。弱点を突くのが私よりも鋭く」
「傷口を抉るのではなく、突くのか」
「はい、忘れた頃に突いて、化膿させるような娘でございます」
ルーフランが謝罪をしても、悪いと思ってらっしゃるなら、解消してくださればいいのにと、愛しているんだと親がいる場で叫んでも、他の女性を愛撫したような口で言われてもと、太刀打ちできるような言葉を持っていなかった。
「私としては羨ましいがな、私の娘は我儘製造機だ…何であんな娘になったのか。子どもの頃は良かったのだがな」
「熱意をいい方に向けることが出来れば、よろしいかと思いますがね…」
「言っていることがめちゃくちゃだ」
「真っ当なことばかり言われるのも、骨が折れますよ」
「真っ当と暴力か?」
「はい、なぜあの子に身体強化などお与えになったのか…」
「夫人の言葉も聞かぬのか?」
リッツソード侯爵夫人は大人しく、一歩下がって見守るような女性で、おそらくカナンとは正反対だと思われる。
「妻とは、前は言い合いをしていたのですが、最近は躾の行き届いた言いなりになるしかない女とは話が通じないと」
「それは、辛辣だな…」
「妻の祖父母も同じような人間で、カナンが領地に魔獣を討伐に行ったにも関わらず、女の幸せは結婚だ、男の言うことを聞いていればいい、野蛮な女は嫌われると、あまりにうるさかったようで、失神させた一番大きな魔獣をわざわざ生け捕りにして、邸の庭に置いたそうです。目を醒ましたらどうなるかなと、楽しみだなと」
「それは…」
カナンしか出来ないような芸当であるが、宰相の娘をいかんなく発揮している。そもそも討伐に来て貰っておきながら、自分の思考を押し付けて、的確に痛いところを突いている。
「縋りついて謝って来たそうです。今度、言ったらどうなるか分かるなと、それからは何も言わなくなりました。はあ…」
「まさに実力行使」
「はい、しかもそこで見て置けと、殺すところを見させたそうです」
「ああ、見慣れない者にとっては恐怖だろうな」
「二度と意見することはなくなりました」
「孫に脅される…」
「はい、我が両親は元々、あの子のしたいようにさせておりますから、私はお手上げですよ。延期で十分、頑張ったつもりです」
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