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結論3
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「だって、王女が嫁いで来たのに、側妃だなんて」
「お前を娶ってくれる者など他にいなかったじゃないか」
会えば我儘さに呆れて、皆、断られてしまう。白紙になった縁談は自国の公爵家であったが、最初から合わなければ白紙に戻す前提で進められていたものだった。
「そんなことないわ」
「王家には一切、申し込みはない」
「それは簡単に求婚できる相手ではないから」
「まあいい、お前が結婚出来るのは、罪を償ってからだ。最低でも3年。それが出来ないのなら、塔で幽閉とする」
「そんな…」
3年後なんて冗談じゃない、どうにか逃げ出して、関係を持ってしまえばいい。子どもでも出来れば、認めざる得ないだろう。
「王妃がしっかり見張っておるからな、逃げ出して迷惑を掛けても幽閉とする。結婚相手がいれば、子どもを作ってしまえばなどと考えているのかもしれないが、そうなっても結婚は出来ない」
「何よそれ、元々レアリのせいじゃない!」
「きっかけを作ったのはお前とも言える」
「そんなの責任転嫁だわ!だったら、すぐ結婚するわ!それならいいでしょう、どこかうちの国と縁を繋ぎたい国だってあるはずよ」
そんな国があったとしても、マリッツアを欲しいという者などいない。側妃として何もしていなかったからこそ、即刻、降ろされたのだ。
「それは出来ない。あとマリッツアは今現在は王女には戻していない」
「は?だったら何だと言うの?」
「さあ、何だろうな」
離縁されれば、通常は元の籍に戻るが、処罰が終わるまで王女の地位からは外している。国王と王妃の娘ではあるが、王女として扱わなくていい存在となっている。
「はあ!ふざけないでよ」
「ふざけていない、お前は罪を償うか、幽閉しかない」
黙って様子を見ていた王妃に、さあ行きますよと連れられて行かれ、そこは王女の部屋ではなく、簡素な客室であった。
「どうして私の部屋じゃないのよ!」
「償っている間はこちらで生活させます。最低限の準備は出来ないでしょうからしますが、侍女はおりません。服は自身で着れる物だけ、食事もここで摂って貰います」
「嘘でしょう…」
側妃の部屋もここまで簡素ではなかった上に、ちゃんと侍女がいた。食事はいつも一人だったが、母国でもひとりで食べろというのか。
「大人しくしていないのなら、すぐ塔に移します」
「どうしてそんな酷いことが出来るの!媚薬を使っただけでしょう!」
「あなたの場合はそれだけではないのです。苦情も沢山、上がっておりました。ですから、変わったというのを見せなければ、ここでも嫌われたままですよ」
「苦情って何よ」
マリッツアに苦言を呈す者は多かった。勿論、両親は何度も諫め、罰も与えたが、マリッツアは変わらなかった。
「馬鹿にされたくらいならいい方です。怪我をさせられた、脅されて言うことを聞けと言われた、飲めないお酒を無理やり飲まされた、キスしろと要求された、関係を持とうと誘われて、断ると嫌がらせに遭った…吐き気がします」
「嘘よ!そんなの」
「あなたにも影が付いていたのです。事実だと確認しております」
「っ、そのくらいいじゃない」
「あなたから離すように、こちらで手配して、あなたにも何度も注意したでしょう」
母は母というよりは、常に王妃であった。だからこそ、構って欲しいと何度も問題行動を起こした、だが母も変わらなかった。
「覚えてないわ」
「まあ、嫌われ者が帰って来たとしか思われておりません。相手にして欲しいのなら、変わりなさい。変わらないのなら、一生一人で過ごしなさい」
そう言うと王妃は出て行き、外からガチャリと鍵が掛けられた。この部屋は人と会わなくても、過ごせるような造りになっている。
「お前を娶ってくれる者など他にいなかったじゃないか」
会えば我儘さに呆れて、皆、断られてしまう。白紙になった縁談は自国の公爵家であったが、最初から合わなければ白紙に戻す前提で進められていたものだった。
「そんなことないわ」
「王家には一切、申し込みはない」
「それは簡単に求婚できる相手ではないから」
「まあいい、お前が結婚出来るのは、罪を償ってからだ。最低でも3年。それが出来ないのなら、塔で幽閉とする」
「そんな…」
3年後なんて冗談じゃない、どうにか逃げ出して、関係を持ってしまえばいい。子どもでも出来れば、認めざる得ないだろう。
「王妃がしっかり見張っておるからな、逃げ出して迷惑を掛けても幽閉とする。結婚相手がいれば、子どもを作ってしまえばなどと考えているのかもしれないが、そうなっても結婚は出来ない」
「何よそれ、元々レアリのせいじゃない!」
「きっかけを作ったのはお前とも言える」
「そんなの責任転嫁だわ!だったら、すぐ結婚するわ!それならいいでしょう、どこかうちの国と縁を繋ぎたい国だってあるはずよ」
そんな国があったとしても、マリッツアを欲しいという者などいない。側妃として何もしていなかったからこそ、即刻、降ろされたのだ。
「それは出来ない。あとマリッツアは今現在は王女には戻していない」
「は?だったら何だと言うの?」
「さあ、何だろうな」
離縁されれば、通常は元の籍に戻るが、処罰が終わるまで王女の地位からは外している。国王と王妃の娘ではあるが、王女として扱わなくていい存在となっている。
「はあ!ふざけないでよ」
「ふざけていない、お前は罪を償うか、幽閉しかない」
黙って様子を見ていた王妃に、さあ行きますよと連れられて行かれ、そこは王女の部屋ではなく、簡素な客室であった。
「どうして私の部屋じゃないのよ!」
「償っている間はこちらで生活させます。最低限の準備は出来ないでしょうからしますが、侍女はおりません。服は自身で着れる物だけ、食事もここで摂って貰います」
「嘘でしょう…」
側妃の部屋もここまで簡素ではなかった上に、ちゃんと侍女がいた。食事はいつも一人だったが、母国でもひとりで食べろというのか。
「大人しくしていないのなら、すぐ塔に移します」
「どうしてそんな酷いことが出来るの!媚薬を使っただけでしょう!」
「あなたの場合はそれだけではないのです。苦情も沢山、上がっておりました。ですから、変わったというのを見せなければ、ここでも嫌われたままですよ」
「苦情って何よ」
マリッツアに苦言を呈す者は多かった。勿論、両親は何度も諫め、罰も与えたが、マリッツアは変わらなかった。
「馬鹿にされたくらいならいい方です。怪我をさせられた、脅されて言うことを聞けと言われた、飲めないお酒を無理やり飲まされた、キスしろと要求された、関係を持とうと誘われて、断ると嫌がらせに遭った…吐き気がします」
「嘘よ!そんなの」
「あなたにも影が付いていたのです。事実だと確認しております」
「っ、そのくらいいじゃない」
「あなたから離すように、こちらで手配して、あなたにも何度も注意したでしょう」
母は母というよりは、常に王妃であった。だからこそ、構って欲しいと何度も問題行動を起こした、だが母も変わらなかった。
「覚えてないわ」
「まあ、嫌われ者が帰って来たとしか思われておりません。相手にして欲しいのなら、変わりなさい。変わらないのなら、一生一人で過ごしなさい」
そう言うと王妃は出て行き、外からガチャリと鍵が掛けられた。この部屋は人と会わなくても、過ごせるような造りになっている。
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