38 / 51
協議1
しおりを挟む
レアリが真逆のことを考えている間、王家でも陛下とアレヴァーもどうするか話し合いを始めていた。
「婚約は解消でいいな?」
「はい」
「王女の件もあるから、あれも文句ばかり言っておるそうだから、こちらに戻して、公にして罰するか。秘密裏にして、相手側に事情を話して、レアリ嬢を誰かに娶らせるか。その辺りの責任は取らねばならぬだろう」
「はい…」
姉があんな真似をしなければ、違ったのだろうか。きっかけを作っただけで、そうではないのかもしれない。
「自由恋愛を不貞行為をすることは、いずれしなければならない。だが、この件で行うことは出来ない」
「そうです、ルーフランが可哀想だという思いだけではありません。リッツソード侯爵令嬢に責を負わすわけにはいかないからです」
「そうだな、あちらはあちらで解決してもらうしかあるまい」
ルーフランから婚約を解消したいと聞いていたからこそ、このような提案をされるのではないかと危惧していた。だが、リッツソード侯爵は止めるかと思ったが、今回の件はカナン嬢に権利がある。説き伏せられたのかもしれない。
「久しぶりにカナン嬢を見たが、宰相にますます似ておるな。自分で言っておっただけあるな。あの子が拷問のような真似をしたとは思えぬが…」
「いえ、見事でした。明るい声で、まるで乳歯を抜くくらいの感覚でした…」
「そうか、欲しい人材ではあるが、辺境の方が欲しい人材だろうな」
「私は狩りを見たことがありませんが、そこはかとなく強さは感じます。目の奥が笑っていない人の目ですよ、あれは」
「可愛い猫目のはずなんだがな…」
「正直、宰相よりも、何をするか分からない怖さがあります」
「ああ…」
威勢がいいと言えば聞こえがいいが、宰相も自身でも無鉄砲だと認めていると聞く。どこか達観しているのかもしれない。
「さて、どうするか…」
「姉上はどのような状況なのでしょうか」
「文句ばかり言っており、皆に嫌われているそうだ」
「ああ…」
「上手くいかなかった、子どもが出来なかったと戻らせて、奉仕活動をさせてから、娶ってくれる者がおればいいが…」
「ああ…あちらには子どもがいらっしゃいますから、相性が悪かったとすれば、子どもが出来ても問題はないですが…」
「マリッツアは王妃に見張って貰うとするか」
王も王妃もマリッツア王女を甘やかしたわけではない、きちんとアレヴァーと同じように育てたのだが、あのように育ってしまったのだ。
「そうですね、母上は今回の件は何と言っているのでしょうか」
「儂とお前にの判断に任せると言って貰っている。私が認めないような決断はしないだろうとね」
「そうですか…」
「レアリ嬢を気に入っていないわけではないが、タイプが違うからな」
「そうでしたね、私の友人にはいないタイプだと言われたことがあります」
王妃とレアリは仲良くお茶を飲むような間柄ではなく、王妃が気を使って定期的に誘う間柄である。
「王女のことは王妃と相談して決める」
「はい」
「レアリ嬢は正当に裁くしかない。殴らせるわけにはいかないからな」
「申し訳ございません」
アレヴァーが許可を出してしまったために、選択肢に物騒なものが鎮座している。
「いや、私もカナン嬢に同じような状況で聞かれていたら、許可すると言っていただろう。医者からも深く大きな傷だったと、痛かっただろうと、よく耐えたものだと言っておった」
診断書は王家の医師から既に提出されている。傷の状態や、どのような処置をしたか、読むだけでも痛そうであった。
「はい、身体強化をして大丈夫なのかと思いましたが、大丈夫なんですね」
「ああ、身体が筋肉質になるわけではないから、傷には問題なかったか、片腕だけ行ったのかもしれない」
「なるほど」
「婚約は解消でいいな?」
「はい」
「王女の件もあるから、あれも文句ばかり言っておるそうだから、こちらに戻して、公にして罰するか。秘密裏にして、相手側に事情を話して、レアリ嬢を誰かに娶らせるか。その辺りの責任は取らねばならぬだろう」
「はい…」
姉があんな真似をしなければ、違ったのだろうか。きっかけを作っただけで、そうではないのかもしれない。
「自由恋愛を不貞行為をすることは、いずれしなければならない。だが、この件で行うことは出来ない」
「そうです、ルーフランが可哀想だという思いだけではありません。リッツソード侯爵令嬢に責を負わすわけにはいかないからです」
「そうだな、あちらはあちらで解決してもらうしかあるまい」
ルーフランから婚約を解消したいと聞いていたからこそ、このような提案をされるのではないかと危惧していた。だが、リッツソード侯爵は止めるかと思ったが、今回の件はカナン嬢に権利がある。説き伏せられたのかもしれない。
「久しぶりにカナン嬢を見たが、宰相にますます似ておるな。自分で言っておっただけあるな。あの子が拷問のような真似をしたとは思えぬが…」
「いえ、見事でした。明るい声で、まるで乳歯を抜くくらいの感覚でした…」
「そうか、欲しい人材ではあるが、辺境の方が欲しい人材だろうな」
「私は狩りを見たことがありませんが、そこはかとなく強さは感じます。目の奥が笑っていない人の目ですよ、あれは」
「可愛い猫目のはずなんだがな…」
「正直、宰相よりも、何をするか分からない怖さがあります」
「ああ…」
威勢がいいと言えば聞こえがいいが、宰相も自身でも無鉄砲だと認めていると聞く。どこか達観しているのかもしれない。
「さて、どうするか…」
「姉上はどのような状況なのでしょうか」
「文句ばかり言っており、皆に嫌われているそうだ」
「ああ…」
「上手くいかなかった、子どもが出来なかったと戻らせて、奉仕活動をさせてから、娶ってくれる者がおればいいが…」
「ああ…あちらには子どもがいらっしゃいますから、相性が悪かったとすれば、子どもが出来ても問題はないですが…」
「マリッツアは王妃に見張って貰うとするか」
王も王妃もマリッツア王女を甘やかしたわけではない、きちんとアレヴァーと同じように育てたのだが、あのように育ってしまったのだ。
「そうですね、母上は今回の件は何と言っているのでしょうか」
「儂とお前にの判断に任せると言って貰っている。私が認めないような決断はしないだろうとね」
「そうですか…」
「レアリ嬢を気に入っていないわけではないが、タイプが違うからな」
「そうでしたね、私の友人にはいないタイプだと言われたことがあります」
王妃とレアリは仲良くお茶を飲むような間柄ではなく、王妃が気を使って定期的に誘う間柄である。
「王女のことは王妃と相談して決める」
「はい」
「レアリ嬢は正当に裁くしかない。殴らせるわけにはいかないからな」
「申し訳ございません」
アレヴァーが許可を出してしまったために、選択肢に物騒なものが鎮座している。
「いや、私もカナン嬢に同じような状況で聞かれていたら、許可すると言っていただろう。医者からも深く大きな傷だったと、痛かっただろうと、よく耐えたものだと言っておった」
診断書は王家の医師から既に提出されている。傷の状態や、どのような処置をしたか、読むだけでも痛そうであった。
「はい、身体強化をして大丈夫なのかと思いましたが、大丈夫なんですね」
「ああ、身体が筋肉質になるわけではないから、傷には問題なかったか、片腕だけ行ったのかもしれない」
「なるほど」
681
お気に入りに追加
2,748
あなたにおすすめの小説

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。



真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。

婚約解消したら後悔しました
せいめ
恋愛
別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者と婚約解消した。
婚約解消したことで、ずっと後悔し続ける令息の話。
ご都合主義です。ゆるい設定です。
誤字脱字お許しください。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

元婚約者が愛おしい
碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる