34 / 51
罪の償い1
しおりを挟む
リッツソード侯爵とカナンは先に退席し、残されたのは陛下と王太子と、マルカン伯爵とレアリだ。王太子は陛下がいる以上、口を挟むことはなかった上に、カナンの達者さに後ろに宰相となれば、挟みようもなかった。
「陛下、お疲れ様でした」
「想定していなかったわけではないが、どうしたものか…」
「申し訳ございませんでした」「申し訳ございません」
陛下とアレヴァーにマルカン伯爵父子はしおらしく頭を下げているが、誠意が感じられなかった。
「マルカン家はどうにかなると思っているのだろう?」
「いえ、そのようなことは…」
「私もリッツソード侯爵親子と同じで、反省しているようには見えなかった。カナン嬢が元気そうだからが理由か?」
「いっ、いえ、そのようなことは」
「私の人のことは言えぬが、自分の娘が同じ状況だと考えて、判断するべきだろう」
陛下は王女が媚薬を盛った責任を取らなければいけない立場であった、王女はすぐさま引き取ってもいいと言ってくれていた側妃に差し出した。
教育もしていたはずが、王女は地位に驕って我儘になり、いい縁談が決まらないことに苛立つようになった。国のせいだと言っていたが、アレヴァーの影響もおかげもあって、ようやく決まった縁談を我儘を発揮して、白紙に戻された鬱憤から媚薬を盛ったのだ。ルーフランと関係を持とうとした通り、既に処女ではなかった。だが相手はこだわらない国だったので、側妃として嫁ぐことが出来た。
だが嫁いでからも、予算が少なくて生活出来ない、王妃も他の側妃に嫌がらせさていると文が届くが、充分な支度金は渡しており、付けた侍女から報告には、見合ったものだと書かれており、離縁されて、これ以上暮らしが悪くなりたくなければ、大人しくきちんと務めるようにと伝えている。
いくら相手が婚約者であるアレヴァーでも、マルカン伯爵家にも謝罪した。レアリ嬢は王家が責任を持つと言ったが、まさかこんな事件を起こすとは思わなかった。
マルカン伯爵父子がどこか余裕があるのも、こちらにも庇護があるから、どうせ何があっても、娶ってくれると思っているからだろう。
「リッツソード侯爵令嬢が腕を切った際は、ルーフランが言うには顔色は真っ青であったと、自分も真っ青になったと申していた。私が駆け付けた際も、タオルから判断しても出血が酷かった。あの現場を見ていない2人には分からないだろうが、今日は元気そうに見えても、酷い状況だったことを忘れるな」
「はい」「…はい」
アレヴァーはあの時のルーフランの酷く心配した顔も、カナンの血の気を失った顔も見ている。謝罪しないマルカン伯爵もレアリも不愉快でしかなかった。
レアリは私のためでもあったと言ったが、心配したからと言って、媚薬を盛るという思考が信じられない。
姉の盛った媚薬で処女を奪ってしまったことは事実だが、あの後も何度か関係を持ってしまっていたが、レアリが迫って来ることもあった。それがこんな思考になったというのか、レアリが婚約者で恥ずかしいと思ったことは初めてだった。
今回の件で正直レアリへの想いは冷めている、上手くやっていく自信はもうない。あの場にいた者は同じように思っただろう。
「マルカン伯爵は2番目の案になると思っているだろう?」
「そのようなことは」
「顔に書いてあるさ。どうせ2番目になるはずだと、ただそうなれば、君に婚約解消の全ての担当をして貰わないと割に合わない」
「それは…」
「一体何件あるか、既に結婚している者からの批判も相当となる。罵倒に批判が殺到するだろうな」
アランズ公爵令息と、リッツソード侯爵令嬢の不貞による婚約破棄となれば、確かに目立ってしまうことになるだろう。その全てを受けなくてはならないのか、どこの家門がやって来るかすら分からない。伯爵家よりも爵位の高い家からとなった場合にどう対応したらいいか分からない。
「陛下、お疲れ様でした」
「想定していなかったわけではないが、どうしたものか…」
「申し訳ございませんでした」「申し訳ございません」
陛下とアレヴァーにマルカン伯爵父子はしおらしく頭を下げているが、誠意が感じられなかった。
「マルカン家はどうにかなると思っているのだろう?」
「いえ、そのようなことは…」
「私もリッツソード侯爵親子と同じで、反省しているようには見えなかった。カナン嬢が元気そうだからが理由か?」
「いっ、いえ、そのようなことは」
「私の人のことは言えぬが、自分の娘が同じ状況だと考えて、判断するべきだろう」
陛下は王女が媚薬を盛った責任を取らなければいけない立場であった、王女はすぐさま引き取ってもいいと言ってくれていた側妃に差し出した。
教育もしていたはずが、王女は地位に驕って我儘になり、いい縁談が決まらないことに苛立つようになった。国のせいだと言っていたが、アレヴァーの影響もおかげもあって、ようやく決まった縁談を我儘を発揮して、白紙に戻された鬱憤から媚薬を盛ったのだ。ルーフランと関係を持とうとした通り、既に処女ではなかった。だが相手はこだわらない国だったので、側妃として嫁ぐことが出来た。
だが嫁いでからも、予算が少なくて生活出来ない、王妃も他の側妃に嫌がらせさていると文が届くが、充分な支度金は渡しており、付けた侍女から報告には、見合ったものだと書かれており、離縁されて、これ以上暮らしが悪くなりたくなければ、大人しくきちんと務めるようにと伝えている。
いくら相手が婚約者であるアレヴァーでも、マルカン伯爵家にも謝罪した。レアリ嬢は王家が責任を持つと言ったが、まさかこんな事件を起こすとは思わなかった。
マルカン伯爵父子がどこか余裕があるのも、こちらにも庇護があるから、どうせ何があっても、娶ってくれると思っているからだろう。
「リッツソード侯爵令嬢が腕を切った際は、ルーフランが言うには顔色は真っ青であったと、自分も真っ青になったと申していた。私が駆け付けた際も、タオルから判断しても出血が酷かった。あの現場を見ていない2人には分からないだろうが、今日は元気そうに見えても、酷い状況だったことを忘れるな」
「はい」「…はい」
アレヴァーはあの時のルーフランの酷く心配した顔も、カナンの血の気を失った顔も見ている。謝罪しないマルカン伯爵もレアリも不愉快でしかなかった。
レアリは私のためでもあったと言ったが、心配したからと言って、媚薬を盛るという思考が信じられない。
姉の盛った媚薬で処女を奪ってしまったことは事実だが、あの後も何度か関係を持ってしまっていたが、レアリが迫って来ることもあった。それがこんな思考になったというのか、レアリが婚約者で恥ずかしいと思ったことは初めてだった。
今回の件で正直レアリへの想いは冷めている、上手くやっていく自信はもうない。あの場にいた者は同じように思っただろう。
「マルカン伯爵は2番目の案になると思っているだろう?」
「そのようなことは」
「顔に書いてあるさ。どうせ2番目になるはずだと、ただそうなれば、君に婚約解消の全ての担当をして貰わないと割に合わない」
「それは…」
「一体何件あるか、既に結婚している者からの批判も相当となる。罵倒に批判が殺到するだろうな」
アランズ公爵令息と、リッツソード侯爵令嬢の不貞による婚約破棄となれば、確かに目立ってしまうことになるだろう。その全てを受けなくてはならないのか、どこの家門がやって来るかすら分からない。伯爵家よりも爵位の高い家からとなった場合にどう対応したらいいか分からない。
696
お気に入りに追加
2,748
あなたにおすすめの小説

真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。

貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!

二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。

──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。

今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる