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罰の提案2
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「娘は罪を犯しましたが、そのようなことをすればリッツソード侯爵令嬢も晒されることになります」
マルカン伯爵が陛下に許可を得て、声を上げ、レアリは何も言わないように言い含められているので発言はしない。
「それが何か?私が木陰で隠れて泣いているような少女に見えますか?」
「ですが、社交界で何と言われるか」
「毒を盛られたと言われるでしょうね、あなたの娘のせいで」
マルカン伯爵もカナンに非がないことは頭では理解している。娘の愚かな考えでこのような事態になることを誰が予想できただろうか。レアリが王太子に見初められて、王家の縁者となること、伯爵家ということで侮られないようにしてきたつもりだったのに。自ら破滅に向かうとは思わないだろう。
しかも媚薬などと、自身が苦しんだものを飲ませるとは、何を考えているのだ。王家も王女のことがあるため、責任を取ると言って貰っており、多少安心していたが、罪を犯した娘を娶ってくれるかは分からない。王女のことを明かして、相応しくないとされればお終いだ。
言いくるめられるとは思えないが、娘が駄目なら宰相に頼むしかない。
「宰相殿!未来ある令嬢を晒すような真似をわざわざするべきではないと思いますが、いかがでしょうか」
「陛下、私も発言してもよろしいでしょうか」
「ああ、勿論だ」
「カナン?」
「ええ、そもそもですわよね?」
「ああ」
さすが親子というべきか、リッツソード侯爵が名前を読んだだけで、カナンは宰相の思いを理解し、宰相もカナンの気持ちを理解している。
「敢えて言わないのか、やはり反省していないのかと取れますわね」
「謝りもしないとはな、呆れたことです」
マルカン伯爵はハッと顔を強張らせ、立ち上がって頭を下げた。
「申し訳ございませんでした」
「遅いですね」
レアリは慌てる様子もなく、ゆっくりと立ち上がり、頭を下げた。その姿を父子は同じ目つきで見ていた。
「私も悪かったと思っているわ、ごめんなさい…」
「遅うございます。まだ王族ではないのですから、謝罪は出来たにも関わらず、あの日も待って、違うといいわけばかり。今日も謝る気がなかったと取れますわね、本当に怖いことです」
「っあ、それは…父から」
「レアリ!」
「口を出すなと言われていたんでしょう?ですが、父親も謝らないとは、ねえ父様」
カナンとレアリは関わりがない、この前の様子くらいしか知らないが、黙っているとは思えない質であった。
「ああ、父親ではないのかのう?お2人ともお座りください。非があると認めているのならば、まずは謝罪でしょう。娘は王宮で血を流すことになったのですよ」
「申し訳ございません」
「今さら何度も謝ると、まるで謝ることを忘れていたように思われますよ?」
「本当に忘れていたのではないか?」
「まあ、酷いわ」
「そのようなことはありません」
陛下とアレヴァーは完全にリッツソード侯爵父子のペースとなっている様に、夫人か兄を一緒に呼ぶべきだったかと後悔していた。
「まさか王宮に出されたシャンパンに、まさか媚薬が入っているなんて」
「まさか娘が盛られるなんて」
とても似ている上に、考え方が同じなので、意思疎通が見事である。レアリ嬢もよりにもよって、なぜ宰相の娘に手を出したのか、考えなしとしか言えない。
「というわけですので、選択肢は2択と、真っ当に公に裁くを加えて3択です。ご検討をお願い申し上げます」
「一旦、考えさせてもらう。宰相も同じ考えということでいいのだな?」
「今回はさすがに私にはどうにもなりません。そして何の落ち度もない娘を傷付けたことは許せませんゆえ」
「あい、分かった」
「「ありがとうございます、どうぞよろしくお願いいたします」」
カナンとリッツソード侯爵は座ったままではあるが、同時に言葉を発し、うやうやしく陛下に頭を下げた。息ピッタリである。
マルカン伯爵が陛下に許可を得て、声を上げ、レアリは何も言わないように言い含められているので発言はしない。
「それが何か?私が木陰で隠れて泣いているような少女に見えますか?」
「ですが、社交界で何と言われるか」
「毒を盛られたと言われるでしょうね、あなたの娘のせいで」
マルカン伯爵もカナンに非がないことは頭では理解している。娘の愚かな考えでこのような事態になることを誰が予想できただろうか。レアリが王太子に見初められて、王家の縁者となること、伯爵家ということで侮られないようにしてきたつもりだったのに。自ら破滅に向かうとは思わないだろう。
しかも媚薬などと、自身が苦しんだものを飲ませるとは、何を考えているのだ。王家も王女のことがあるため、責任を取ると言って貰っており、多少安心していたが、罪を犯した娘を娶ってくれるかは分からない。王女のことを明かして、相応しくないとされればお終いだ。
言いくるめられるとは思えないが、娘が駄目なら宰相に頼むしかない。
「宰相殿!未来ある令嬢を晒すような真似をわざわざするべきではないと思いますが、いかがでしょうか」
「陛下、私も発言してもよろしいでしょうか」
「ああ、勿論だ」
「カナン?」
「ええ、そもそもですわよね?」
「ああ」
さすが親子というべきか、リッツソード侯爵が名前を読んだだけで、カナンは宰相の思いを理解し、宰相もカナンの気持ちを理解している。
「敢えて言わないのか、やはり反省していないのかと取れますわね」
「謝りもしないとはな、呆れたことです」
マルカン伯爵はハッと顔を強張らせ、立ち上がって頭を下げた。
「申し訳ございませんでした」
「遅いですね」
レアリは慌てる様子もなく、ゆっくりと立ち上がり、頭を下げた。その姿を父子は同じ目つきで見ていた。
「私も悪かったと思っているわ、ごめんなさい…」
「遅うございます。まだ王族ではないのですから、謝罪は出来たにも関わらず、あの日も待って、違うといいわけばかり。今日も謝る気がなかったと取れますわね、本当に怖いことです」
「っあ、それは…父から」
「レアリ!」
「口を出すなと言われていたんでしょう?ですが、父親も謝らないとは、ねえ父様」
カナンとレアリは関わりがない、この前の様子くらいしか知らないが、黙っているとは思えない質であった。
「ああ、父親ではないのかのう?お2人ともお座りください。非があると認めているのならば、まずは謝罪でしょう。娘は王宮で血を流すことになったのですよ」
「申し訳ございません」
「今さら何度も謝ると、まるで謝ることを忘れていたように思われますよ?」
「本当に忘れていたのではないか?」
「まあ、酷いわ」
「そのようなことはありません」
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「あい、分かった」
「「ありがとうございます、どうぞよろしくお願いいたします」」
カナンとリッツソード侯爵は座ったままではあるが、同時に言葉を発し、うやうやしく陛下に頭を下げた。息ピッタリである。
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