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建国祭2
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カナンは会場で倒れるわけにはいかない、ここでは不味いと、ふらつきながら、ゆっくり会場外に出た。身体強化をしたところで、殴り飛ばすことは出来ても、治まるわけではない。息をつき、どうしたものかと考えていると声を掛けられた。
「大丈夫ですか?リッツソード侯爵令嬢ですね?」
「ええ」
「動けますか」
視界はグラグラしており、知らない女性の声だ、服装はおそらくメイドのようだ。
「どこか空いている客室に案内してくれる?ここではちょっと」
「はい、お任せください」
「お嬢!」
遠くからパドラの声がする。振り返ると、やっぱりパドラであった。パドラは警備をしながら、カナンの姿を確認していたため、すぐさま気付いた。
「お嬢!大丈夫ですか」
「ちょっと、騎士が何ですか」
メイドは声を上げたが、知り合いだというと黙った。
「パドラ、ありがとう。多分、大丈夫」
「レモを呼びますか」
「お願い出来る?ちゃんと上司に、言ってからよ…」
「承知!」
パドラは駆けて行き、メイドに支えられて、誰もいない客室に入った。メイドはすぐさま誰か呼んで参りますと去って行き、カナンはバスルームに入って鍵を掛け、隠し持っていた護身用のナイフで左腕を切りつけた。血は流れているが、頭がようやく冴えて来た。おそらく興奮剤だ。
差し出した給仕の顔は憶えている。大丈夫だ、レモが来れば、パドラも来るだろう、大丈夫だ。目的は何だろうか。誰か襲って来るのかと思ったが、部屋からそんな様子も、隠れている気配もない。静かだ。
メイドはルーフランの元へ急いだ。
「失礼します、アランズ公爵令息様、婚約者様のことでよろしいですか」
「何だ!」
「落ち着け、何かあったのか」
ルーフランとアレヴァーは皆の輪から抜け、人気のないところまで移動した。
「リッツソード侯爵令嬢が何か盛られたようで、具合を悪くされておりました」
「何だって」
「毒か」
「分かりません、もしかしたら媚薬かもしれません。今、客室に案内しております」
「っな!」
「案内しろ、すぐに行け!」
「は!」
ルーフランはメイドと駆けて行ったが、アレヴァーは後を追うべきか迷った、自身の時のように艶めかしい婚約者の姿を別の男に見られるのはどうだろうか。メイドも案内だけして、客室までは入らなかった。
「カナン!カナン!どこだ!」
「ここです…」
声がして、しばらくするとカナンがバスルームから出て来たが、腕を押さえていたタオルは真っ赤であった。
「血が…」
「おそらく興奮剤です。媚薬というのでしょうか。抗うために、腕は自分で切りましたが、やり過ぎたようです。イタタ…医者か、包帯を貰って来てください」
「治癒を使える者の方がいいのではないか」
「いえ、犯人を見付け出してからです」
「分かった、ここで待っていてくれ」
ルーフランが部屋から飛び出すと、どうするべきかと迷っていた殿下と従者、護衛騎士たちが廊下で右往左往していた。
「殿下!医者を、血が…」
「っな、すぐに医者を呼べ!何があった?」
「媚薬だったようですが、腕を…」
泣きそうな顔をするルーフランにアレヴァ―は思い切って、部屋に入った。きちんとドレスを着たままで、ホッとしたが、アレヴァーも押さえている真っ赤なタオルに怖気付きそうになった。
「リッツソード侯爵令嬢!大丈夫か」
「ええ、意識ははっきりしております。おそらく、媚薬?興奮剤のようなものが、シャンパンに入っていたのでしょう。給仕の顔は憶えています。おそらく誰かの指示ではないでしょうか、あとさっきいたメイドは」
「呼びに来た者か、どこに行った!」
慌てて廊下に出たが、どこにも姿はなかった。その代わりにリッツソード侯爵が廊下を慌てて走っていた。
「カナン!」
「父様」
「何だその血は…平気なのか」
「多分?父様、血は苦手でしたね…見なくていいですよ」
「無事なら良かったが、何があったのだ」
真っ赤なタオルが怖くて、娘の姿は見ることは出来ないが、ルーフランから事情を聞いて行くと、怒りに震えた。
「王太子殿下!犯人を見付けたら、顔面殴っていいですか。何が目的か知りませんけど、最悪です」
「ああ、許可しよう」
「大丈夫ですか?リッツソード侯爵令嬢ですね?」
「ええ」
「動けますか」
視界はグラグラしており、知らない女性の声だ、服装はおそらくメイドのようだ。
「どこか空いている客室に案内してくれる?ここではちょっと」
「はい、お任せください」
「お嬢!」
遠くからパドラの声がする。振り返ると、やっぱりパドラであった。パドラは警備をしながら、カナンの姿を確認していたため、すぐさま気付いた。
「お嬢!大丈夫ですか」
「ちょっと、騎士が何ですか」
メイドは声を上げたが、知り合いだというと黙った。
「パドラ、ありがとう。多分、大丈夫」
「レモを呼びますか」
「お願い出来る?ちゃんと上司に、言ってからよ…」
「承知!」
パドラは駆けて行き、メイドに支えられて、誰もいない客室に入った。メイドはすぐさま誰か呼んで参りますと去って行き、カナンはバスルームに入って鍵を掛け、隠し持っていた護身用のナイフで左腕を切りつけた。血は流れているが、頭がようやく冴えて来た。おそらく興奮剤だ。
差し出した給仕の顔は憶えている。大丈夫だ、レモが来れば、パドラも来るだろう、大丈夫だ。目的は何だろうか。誰か襲って来るのかと思ったが、部屋からそんな様子も、隠れている気配もない。静かだ。
メイドはルーフランの元へ急いだ。
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「何だ!」
「落ち着け、何かあったのか」
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「リッツソード侯爵令嬢が何か盛られたようで、具合を悪くされておりました」
「何だって」
「毒か」
「分かりません、もしかしたら媚薬かもしれません。今、客室に案内しております」
「っな!」
「案内しろ、すぐに行け!」
「は!」
ルーフランはメイドと駆けて行ったが、アレヴァーは後を追うべきか迷った、自身の時のように艶めかしい婚約者の姿を別の男に見られるのはどうだろうか。メイドも案内だけして、客室までは入らなかった。
「カナン!カナン!どこだ!」
「ここです…」
声がして、しばらくするとカナンがバスルームから出て来たが、腕を押さえていたタオルは真っ赤であった。
「血が…」
「おそらく興奮剤です。媚薬というのでしょうか。抗うために、腕は自分で切りましたが、やり過ぎたようです。イタタ…医者か、包帯を貰って来てください」
「治癒を使える者の方がいいのではないか」
「いえ、犯人を見付け出してからです」
「分かった、ここで待っていてくれ」
ルーフランが部屋から飛び出すと、どうするべきかと迷っていた殿下と従者、護衛騎士たちが廊下で右往左往していた。
「殿下!医者を、血が…」
「っな、すぐに医者を呼べ!何があった?」
「媚薬だったようですが、腕を…」
泣きそうな顔をするルーフランにアレヴァ―は思い切って、部屋に入った。きちんとドレスを着たままで、ホッとしたが、アレヴァーも押さえている真っ赤なタオルに怖気付きそうになった。
「リッツソード侯爵令嬢!大丈夫か」
「ええ、意識ははっきりしております。おそらく、媚薬?興奮剤のようなものが、シャンパンに入っていたのでしょう。給仕の顔は憶えています。おそらく誰かの指示ではないでしょうか、あとさっきいたメイドは」
「呼びに来た者か、どこに行った!」
慌てて廊下に出たが、どこにも姿はなかった。その代わりにリッツソード侯爵が廊下を慌てて走っていた。
「カナン!」
「父様」
「何だその血は…平気なのか」
「多分?父様、血は苦手でしたね…見なくていいですよ」
「無事なら良かったが、何があったのだ」
真っ赤なタオルが怖くて、娘の姿は見ることは出来ないが、ルーフランから事情を聞いて行くと、怒りに震えた。
「王太子殿下!犯人を見付けたら、顔面殴っていいですか。何が目的か知りませんけど、最悪です」
「ああ、許可しよう」
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