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推察
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リッツソード侯爵はカナンと推察し、プロプラン侯爵家にも事前に伝えていた。
「ルビー嬢、異能を持っているのでしょう?」
「ああ、治癒が使えるそうだ。それで婚約したらしい」
リファもだが、治癒持ちは非常に人気が高い。ルビー嬢の希望でなく、ニュートラ王国からの縁談だとなれば、異能を持っている可能性が高い。
「治癒持ちは喜ばれるものね。向こうは何て言ってるの?」
「父親の方は妻としては娶れないが、息子の愛人にと、息子の方は金属鉱山から採掘された金を20年と言っている」
「うわ、両方?」
「息子の方は愛人にしたいとは思っていないようだがな。カナンとレモ、パドラも同席して貰う。メディという女の確認をしてもらう」
「ええ、同一人物だといいのだけど、どこにいるか分からないかしら?」
「どこに行ったのか分からないんだろう?」
「レモが知らない何者か分からない者を、捕まえてはいけないと思って」
「それはその通りだ」
拘束することは可能であったが、何者か分からないため、問題になると不味いのでしなかっただけである。あの時、人の賑わう王都で両方は無理だった。
「父上、入ります」
「ああ」
ドアが叩かれ、執務室にやって来たのはリガロである。嫡男として父の手伝いもしている。今回のことも父から相談を受けていた。
「あれ、カナン」
「カナンがプロプラン侯爵令嬢の護衛騎士を捕まえて来た」
「えっ?」
「買い物に行った先で、たまたまだそうだ」
「強運…」
カナンは運がいい、強運と言っても過言ではない。ギリギリでも絶対に運はカナンの味方をする。
「妹の治療費のために、ルビー嬢へのハニートラップだったそうだ。プレモ公爵令息に似ていたから利用されたようだ。依頼主はカナン達が護衛騎士と一緒にいたという女性と同一人物ならば、公爵令息の秘書をしている従姉弟だそうだ、単独犯かはまだ分からない」
「そうだったのですね」
「無駄だったのよ」
父と兄はカナンの言葉が理解できず、怪訝な顔をしている。
「ルビー嬢の話を聞いて、まどろっこしさを感じたの。で、無駄が護衛騎士の部分。要らないでしょう?ルビー嬢はラベック様に懸想していたけど、報われなかった。関係を持ったとまで言った。この国では無理でも、他国ではそんなことを言えば、十分に婚約解消となるはずよ。それなのに護衛騎士の話まで流れたことが」
「敢えて、流されたというのか?」
「多分?」
「でも、事実ではなかったし、ラベックが一緒にいた相手だって証言すれば」
「ラベックと関係を持ってくれればよかったけど、そうでなかったら、彼女は処女じゃない?」
ラベックに懸想し、他国の婚約者を持っている侯爵令嬢ということもあり、他の者と関係を持っていたとは考え難い。
「ああ!」
「処女などと…」
「この国では今さらでしょう。で、処女ではないことも必要だった。誰かにとってはどうしても、必要だった」
「ニュートラ王国ではということか」
「ええ、あの国は高位貴族で、処女ではないことはアバズレのような目を向けられる。特にペリラール王国の令嬢となれば、厳しい目で見られるはずよ。だから疑惑ではなく、どんな形でも処女ではないことが必要だったの」
「完全に見切りを付けさせるためか、代償のためか」
「ええ、自由恋愛だと舐めれているからこんなことが起きるのよ!自由恋愛ども、身に沁みなさい!」
猫目をバチっと見開き、諸悪の根源だと言わんばかりに、父と兄を睨み付けた。
「手厳しい…で、どうやって捕まえたんだい?誰にも見られていないだろうね」
「多分いなかったと思うけど?私は両足を掴んだだけで、パドラにやってもらったもの。人攫いの手口で」
「人攫いの手口…」
父は娘の口から処女やら人攫いと、聞きたくもない言葉に項垂れている。
「まあ、パドラがいて良かった。どうにか誤魔化せるだろう」
「ルビー嬢、異能を持っているのでしょう?」
「ああ、治癒が使えるそうだ。それで婚約したらしい」
リファもだが、治癒持ちは非常に人気が高い。ルビー嬢の希望でなく、ニュートラ王国からの縁談だとなれば、異能を持っている可能性が高い。
「治癒持ちは喜ばれるものね。向こうは何て言ってるの?」
「父親の方は妻としては娶れないが、息子の愛人にと、息子の方は金属鉱山から採掘された金を20年と言っている」
「うわ、両方?」
「息子の方は愛人にしたいとは思っていないようだがな。カナンとレモ、パドラも同席して貰う。メディという女の確認をしてもらう」
「ええ、同一人物だといいのだけど、どこにいるか分からないかしら?」
「どこに行ったのか分からないんだろう?」
「レモが知らない何者か分からない者を、捕まえてはいけないと思って」
「それはその通りだ」
拘束することは可能であったが、何者か分からないため、問題になると不味いのでしなかっただけである。あの時、人の賑わう王都で両方は無理だった。
「父上、入ります」
「ああ」
ドアが叩かれ、執務室にやって来たのはリガロである。嫡男として父の手伝いもしている。今回のことも父から相談を受けていた。
「あれ、カナン」
「カナンがプロプラン侯爵令嬢の護衛騎士を捕まえて来た」
「えっ?」
「買い物に行った先で、たまたまだそうだ」
「強運…」
カナンは運がいい、強運と言っても過言ではない。ギリギリでも絶対に運はカナンの味方をする。
「妹の治療費のために、ルビー嬢へのハニートラップだったそうだ。プレモ公爵令息に似ていたから利用されたようだ。依頼主はカナン達が護衛騎士と一緒にいたという女性と同一人物ならば、公爵令息の秘書をしている従姉弟だそうだ、単独犯かはまだ分からない」
「そうだったのですね」
「無駄だったのよ」
父と兄はカナンの言葉が理解できず、怪訝な顔をしている。
「ルビー嬢の話を聞いて、まどろっこしさを感じたの。で、無駄が護衛騎士の部分。要らないでしょう?ルビー嬢はラベック様に懸想していたけど、報われなかった。関係を持ったとまで言った。この国では無理でも、他国ではそんなことを言えば、十分に婚約解消となるはずよ。それなのに護衛騎士の話まで流れたことが」
「敢えて、流されたというのか?」
「多分?」
「でも、事実ではなかったし、ラベックが一緒にいた相手だって証言すれば」
「ラベックと関係を持ってくれればよかったけど、そうでなかったら、彼女は処女じゃない?」
ラベックに懸想し、他国の婚約者を持っている侯爵令嬢ということもあり、他の者と関係を持っていたとは考え難い。
「ああ!」
「処女などと…」
「この国では今さらでしょう。で、処女ではないことも必要だった。誰かにとってはどうしても、必要だった」
「ニュートラ王国ではということか」
「ええ、あの国は高位貴族で、処女ではないことはアバズレのような目を向けられる。特にペリラール王国の令嬢となれば、厳しい目で見られるはずよ。だから疑惑ではなく、どんな形でも処女ではないことが必要だったの」
「完全に見切りを付けさせるためか、代償のためか」
「ええ、自由恋愛だと舐めれているからこんなことが起きるのよ!自由恋愛ども、身に沁みなさい!」
猫目をバチっと見開き、諸悪の根源だと言わんばかりに、父と兄を睨み付けた。
「手厳しい…で、どうやって捕まえたんだい?誰にも見られていないだろうね」
「多分いなかったと思うけど?私は両足を掴んだだけで、パドラにやってもらったもの。人攫いの手口で」
「人攫いの手口…」
父は娘の口から処女やら人攫いと、聞きたくもない言葉に項垂れている。
「まあ、パドラがいて良かった。どうにか誤魔化せるだろう」
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