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尋問
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リッツソード侯爵家に着き、護衛騎士はパドラが小脇に抱えて運んでいると、執事が慌てて懸けて来た。
「お嬢様、その者は…」
「優秀なビューティー侍女の目、優秀な騎士で、捕まえて来たわ。父様は書斎?一人かしら」
「はい、書斎でお一人だと思います。来客はありません」
3人は書斎に向かい、カナンがドアから声を掛けた。
「父様、入ります!」
「今忙しい、後にしなさい」
「後悔しますよ」
「…入りなさい」
「プロプラン侯爵令嬢の護衛騎士、捕まえて来ました。パドラ、ここに転がして」
「はい!」
「っな、はぁ…お前の強運は凄いな」
「優秀なビューティー侍女の目と優秀な騎士のおかげですよ?」
「2人もありがとう」
「当然のことをしたままででございます」
パドラはレモを嬉しそうに見ながら、ペコリと頭を下げている。
「レモ、今日は帰っていいわよ。デートでもして来たら?」
「ええ、いいんですかぁ」
「それ私の台詞」
「レモ、絶対言わない台詞じゃない」
「私も許可する、ご苦労だった」
「「ありがとうございます」」
2人が立ち去ると、よく似た猫目の顔が護衛騎士を見下ろすことになった。
「おそらく、ハニートラップだったようです」
「は?」
「ですから、この護衛騎士が妹の病院と治療費のために、ルビー嬢をハニートラップよね?」
「…」
「あっ、妹さんの名前と、病院はどこなの?調べないと」
「トリア聖ビリジアン医院と聞いています。名前はイリー・ビプロです」
「そこは素直に話すのね、父様調べて」
リッツソード侯爵は指示を出して、調べて貰うように手配した。
「で、先程の女性は誰?貴族よね?」
「それは…」
「あなたもう今さらだわ、確保されているんだもの。逃げられると思っていないわよね?話さなければ、話させるだけよ?妹が無事だといいわね」
「そんな…」
「だって自分で確認していないんでしょう?それはとても怖くない?どうして信じられるの?」
「…」
カナンはこの国に生まれて、成長するに連れて、疑り深い性格になっている。
「あの女は何が目的?お金はちゃんと入っていたから、お金ではないでしょうね。正体を知っているの?それとも知らない?」
「知りません」
「殺し屋には見えなかったし、殺し屋なら自分でやればいいわよね?」
「こっ、殺し屋だなんて」
「あなた知らないんでしょう?分からないじゃない。あなたはラベックに似ているから、やらされたんでしょう?私、あなたがルビー嬢に本気だったのなら、凄く辛かっただろうななんて思っていたのに」
令嬢と護衛騎士の色恋に興味はないが、こんな国でも、いや、こんな国だからこそ、恋心という柔らかい部分を利用されたのだとしたら、いくら雇い主の娘であっても、惨いと思っていたのだ。
「…メディ様と呼ばれていました」
「メディ?」
「メディ?」
リッツソード侯爵は何か聞き覚えがあるような声を発していた。
「知っているの?」
「ニュートラ王国から確かやって来る中に、メディエドという名が」
「いるの?」
「ああ、公爵令息の従姉弟だそうだ。秘書をしている」
「私たちが見た女なら繋がったわね、でもお粗末すぎないかしら?この国ならその程度で十分って思っているのかしら?不貞は事実なのよね?」
「…はい」
「だが、これ以上の要求はのまなくて済みそうだ」
リッツソード侯爵がホッとしていると、従者がドアを叩き、飛び込んで来た。
「旦那様、妹君、きちんと入院されているそうです」
「だそうだ」
「良かったです…」
「どんな風貌だった?」
「えっと、茶色い巻き毛の、黒目の少女で、兄の名前はトース・ビプロだと証言しています」
「あってる?」
「はい」
「転院させますか」
「いや、お前を探すためと偽って、護衛を付けるようにする。証言してくれるな?」
「はい、ありがとうございます」
「お嬢様、その者は…」
「優秀なビューティー侍女の目、優秀な騎士で、捕まえて来たわ。父様は書斎?一人かしら」
「はい、書斎でお一人だと思います。来客はありません」
3人は書斎に向かい、カナンがドアから声を掛けた。
「父様、入ります!」
「今忙しい、後にしなさい」
「後悔しますよ」
「…入りなさい」
「プロプラン侯爵令嬢の護衛騎士、捕まえて来ました。パドラ、ここに転がして」
「はい!」
「っな、はぁ…お前の強運は凄いな」
「優秀なビューティー侍女の目と優秀な騎士のおかげですよ?」
「2人もありがとう」
「当然のことをしたままででございます」
パドラはレモを嬉しそうに見ながら、ペコリと頭を下げている。
「レモ、今日は帰っていいわよ。デートでもして来たら?」
「ええ、いいんですかぁ」
「それ私の台詞」
「レモ、絶対言わない台詞じゃない」
「私も許可する、ご苦労だった」
「「ありがとうございます」」
2人が立ち去ると、よく似た猫目の顔が護衛騎士を見下ろすことになった。
「おそらく、ハニートラップだったようです」
「は?」
「ですから、この護衛騎士が妹の病院と治療費のために、ルビー嬢をハニートラップよね?」
「…」
「あっ、妹さんの名前と、病院はどこなの?調べないと」
「トリア聖ビリジアン医院と聞いています。名前はイリー・ビプロです」
「そこは素直に話すのね、父様調べて」
リッツソード侯爵は指示を出して、調べて貰うように手配した。
「で、先程の女性は誰?貴族よね?」
「それは…」
「あなたもう今さらだわ、確保されているんだもの。逃げられると思っていないわよね?話さなければ、話させるだけよ?妹が無事だといいわね」
「そんな…」
「だって自分で確認していないんでしょう?それはとても怖くない?どうして信じられるの?」
「…」
カナンはこの国に生まれて、成長するに連れて、疑り深い性格になっている。
「あの女は何が目的?お金はちゃんと入っていたから、お金ではないでしょうね。正体を知っているの?それとも知らない?」
「知りません」
「殺し屋には見えなかったし、殺し屋なら自分でやればいいわよね?」
「こっ、殺し屋だなんて」
「あなた知らないんでしょう?分からないじゃない。あなたはラベックに似ているから、やらされたんでしょう?私、あなたがルビー嬢に本気だったのなら、凄く辛かっただろうななんて思っていたのに」
令嬢と護衛騎士の色恋に興味はないが、こんな国でも、いや、こんな国だからこそ、恋心という柔らかい部分を利用されたのだとしたら、いくら雇い主の娘であっても、惨いと思っていたのだ。
「…メディ様と呼ばれていました」
「メディ?」
「メディ?」
リッツソード侯爵は何か聞き覚えがあるような声を発していた。
「知っているの?」
「ニュートラ王国から確かやって来る中に、メディエドという名が」
「いるの?」
「ああ、公爵令息の従姉弟だそうだ。秘書をしている」
「私たちが見た女なら繋がったわね、でもお粗末すぎないかしら?この国ならその程度で十分って思っているのかしら?不貞は事実なのよね?」
「…はい」
「だが、これ以上の要求はのまなくて済みそうだ」
リッツソード侯爵がホッとしていると、従者がドアを叩き、飛び込んで来た。
「旦那様、妹君、きちんと入院されているそうです」
「だそうだ」
「良かったです…」
「どんな風貌だった?」
「えっと、茶色い巻き毛の、黒目の少女で、兄の名前はトース・ビプロだと証言しています」
「あってる?」
「はい」
「転院させますか」
「いや、お前を探すためと偽って、護衛を付けるようにする。証言してくれるな?」
「はい、ありがとうございます」
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