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確保
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ルビー・プロプランの起こした不貞行為は、酷く非難されたようで、慰謝料だけで済ませるのかと揉めており、ニュートラ王国からわざわざ相手の公爵令息がやって来ることになり、宰相である父も駆り出されることになったそうだ。
普通は当たり前なのではあるが、ペリラール王国も真摯に受け止めなくてはならなくなった。話し合いは明後日である。
レモと買い物に出掛け、ついでに今日は早上がりだというレモの恋人・パドラを迎えに行った帰りであった。レモは子爵令嬢で、パドラも子爵令息なのだが、2人とも継ぐ家はないので、気楽な身の上だと言っている。
そして、なぜ婚約していないかは、レモは20歳なのだが、まだ仕事を続けたいことと、反自由恋愛派であるため、婚約は結婚前にすればいいと思っているそうだ。パドラもレモがそれでいいならと、了承しているそうだ。
レモが突然、窓の外を指しながら、声を張り上げている。
「お嬢様!あの方ですよ、プロプラン侯爵令嬢の護衛騎士」
「レモ、よく見付けられるわね」
「目が良いものですから」
「レモは優秀なビューティー侍女ですから」
ルビー・プロプランの護衛騎士は逃げて、そのまま姿を消したと聞いていた、確かに逃げる方がいいだろうが、まだこの国にいたのか。
「一緒にいるのは誰かしら?」
「私も存じ上げません」
「貴族っぽいわよね?」
「ええ、あれは貴族に見えないようにしていますが、貴族ですね」
町娘にように変装しているつもりだろうが、髪や洋服、靴に手入れが行き届いている。もっと近くで見れば、爪や肌で分かるはずだ。
「どうしたらいいのかしら、捕まえては駄目よね…」
「他国の方だったら問題ですからね」
「間違えたと言って捕まえてみますか?」
「パドラまで何を言っているの!駄目に決まっているでしょう」
「追ってみる?」
「ええっ!いいですよ」
「ええっ!は、どういう意味よ」
「一応、侍女として言ってみました。あっ、でも店に入って行きましたよ」
「店に入りましょう」
「何者か気になるのですね、私にお任せあれ」
3人は馬車を離れた場所で停めて、2人が入った店に入り、パドラはこう見えて認識阻害が使えるため、堂々と後ろの席に座った。ちなみにレモは異能は持っていないが、人の顔は一度見たら忘れない。
「妹は…」
「妹さんはきちんと入院させているから、下の鞄にお金が入っているわ」
「はい、ありがとうございます」
「あんな女の相手をさせて悪かったわね」
「いえ」
「あなたは、しばらく身を隠した方がいいわ」
「はい」
女の方は頼んだ飲み物を飲み終えると、さっさと出て行ってしまった。男の方も出て行こうとしていたので、慌てて席を立った。
「パドラ、捕まえちゃおうか」
「男の方ですね」
「ええ」
パドラは背後からそっと近づき、片手で後ろから口を押えて、もう一方で両腕ごと固定し、その隙に両足はカナンが固定し、護衛騎士は全く身動きが取れなくなった。そこへレモが縄で縛り、そのまま馬車に護衛騎士を入れて、発車させた。手慣れた人攫いの手口である。
「どうも、宰相の娘です。先程、会われていたのはどなた?」
「し、知りません」
「あの女性はどなた?」
「知りません」
「ふふ、悪いようにはしないから、潔く話してしまった方がいいわ。妹さんはちゃんと入院しているの?確認した?」
「それは…」
「身体を張ったくらいだから、ちゃんと確認しないと」
「でも」
「ムズムズするけど、駄目よね?父様に任せた方がいいかしら」
「さすがに、その方がよろしいかと思います」
普通は当たり前なのではあるが、ペリラール王国も真摯に受け止めなくてはならなくなった。話し合いは明後日である。
レモと買い物に出掛け、ついでに今日は早上がりだというレモの恋人・パドラを迎えに行った帰りであった。レモは子爵令嬢で、パドラも子爵令息なのだが、2人とも継ぐ家はないので、気楽な身の上だと言っている。
そして、なぜ婚約していないかは、レモは20歳なのだが、まだ仕事を続けたいことと、反自由恋愛派であるため、婚約は結婚前にすればいいと思っているそうだ。パドラもレモがそれでいいならと、了承しているそうだ。
レモが突然、窓の外を指しながら、声を張り上げている。
「お嬢様!あの方ですよ、プロプラン侯爵令嬢の護衛騎士」
「レモ、よく見付けられるわね」
「目が良いものですから」
「レモは優秀なビューティー侍女ですから」
ルビー・プロプランの護衛騎士は逃げて、そのまま姿を消したと聞いていた、確かに逃げる方がいいだろうが、まだこの国にいたのか。
「一緒にいるのは誰かしら?」
「私も存じ上げません」
「貴族っぽいわよね?」
「ええ、あれは貴族に見えないようにしていますが、貴族ですね」
町娘にように変装しているつもりだろうが、髪や洋服、靴に手入れが行き届いている。もっと近くで見れば、爪や肌で分かるはずだ。
「どうしたらいいのかしら、捕まえては駄目よね…」
「他国の方だったら問題ですからね」
「間違えたと言って捕まえてみますか?」
「パドラまで何を言っているの!駄目に決まっているでしょう」
「追ってみる?」
「ええっ!いいですよ」
「ええっ!は、どういう意味よ」
「一応、侍女として言ってみました。あっ、でも店に入って行きましたよ」
「店に入りましょう」
「何者か気になるのですね、私にお任せあれ」
3人は馬車を離れた場所で停めて、2人が入った店に入り、パドラはこう見えて認識阻害が使えるため、堂々と後ろの席に座った。ちなみにレモは異能は持っていないが、人の顔は一度見たら忘れない。
「妹は…」
「妹さんはきちんと入院させているから、下の鞄にお金が入っているわ」
「はい、ありがとうございます」
「あんな女の相手をさせて悪かったわね」
「いえ」
「あなたは、しばらく身を隠した方がいいわ」
「はい」
女の方は頼んだ飲み物を飲み終えると、さっさと出て行ってしまった。男の方も出て行こうとしていたので、慌てて席を立った。
「パドラ、捕まえちゃおうか」
「男の方ですね」
「ええ」
パドラは背後からそっと近づき、片手で後ろから口を押えて、もう一方で両腕ごと固定し、その隙に両足はカナンが固定し、護衛騎士は全く身動きが取れなくなった。そこへレモが縄で縛り、そのまま馬車に護衛騎士を入れて、発車させた。手慣れた人攫いの手口である。
「どうも、宰相の娘です。先程、会われていたのはどなた?」
「し、知りません」
「あの女性はどなた?」
「知りません」
「ふふ、悪いようにはしないから、潔く話してしまった方がいいわ。妹さんはちゃんと入院しているの?確認した?」
「それは…」
「身体を張ったくらいだから、ちゃんと確認しないと」
「でも」
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「さすがに、その方がよろしいかと思います」
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