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人形
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「私は言いましたよね、自由恋愛をして、何もなかったかのように、あなたと夫婦には絶対になれないと、でも君は心が狭いと言ったわ。私はそう思われても構いませんと言いましたわ、憶えていないの?」
女性たちは自由恋愛を認めることが、心が広く素晴らしいことだと褒められる。褒めているのは男性だけで、それに踊らされているのが女性というだけである。
自由恋愛も女性ではなぜかふしだらだと、婚約解消をされることもある。
稀に婚約者同士で自由恋愛を相談をした上で、結婚する人たちもいる。だが途中で破綻したり、結婚後も結局上手くいくことはない。結局は信頼の積み重ねなのだ。
いくら結婚前は自由恋愛でも妻は私だと思える者や、見て見ぬ振りをして自身のために取り繕う者たちばかりである。あとは本当に相手に何の感情もなく、務めを果たすだけ、お金のために仕方なくと割り切るしかない。
「皆がやっているではないか、なぜ私だけが!リッツソード侯爵令嬢もそうだろう?君は寛容な令嬢の代表じゃないか」
「え?いつ代表になったの?あり得ませんけど」
「っな、君は広い心で許しているのではないのか」
「いいえ、どうでもいいので、放置しているだけですけど?」
「へ?でっ、でも結婚するんだろう?」
アルームは本当に驚いているようで、じっと見つめているが、カナンは不思議そうな表情をしている。
「さあ?しても碌なものにはなりませんでしょう?リファと同じで」
「違う!私はリファとは結婚するつもりで」
「いいえ、パパを奪うわけにはいきませんでしょう?」
「待ってくれ、謝れというなら謝る」
「いいえ、謝っていただかなくて結構です。今、カナンと大事な話をしている最中なのです。そろそろ出て行ってくださいませんか。失礼ですよ」
「そうか、分かったよ」
アルームは肩を落として、トボトボと出て行った。その背中を見ながら、リファは何の感情もなかった。
「何なのかしらね、前ならもっと怒っていたはずだけど、何だかどうでもいいわね。私だって、初めはこの人はもしかしたら誠実な人かもと思ったこともあったのよ、すぐに打ち砕かれたけど」
リファは自由恋愛を危惧しながらも、最近はなくなったが、アルームと茶会や出掛けるなどしていた。だが結局、学園に入ってしばらくすると、自由恋愛を始めてしまったのだ。自ずと交流は避けるようになる。
婚約者とも愛を育みながら、自由恋愛の相手とも楽しむというのが、一番理想とされているらしいが、普通に気持ちが悪い。
「怒りも悲しみも、私たちは失っていくのかもしれないわね」
「皆、人形になって生きていくのね…」
「人形か…私たちに自由恋愛の被害がないことだけでもいいのかしらね」
「爵位の高さに感謝ね」
いくら自由恋愛とはいえ、さすがに公爵令嬢、侯爵令嬢に声を掛けて来る者は限られる。遊ぶ相手にはリスクが高すぎるのだ。
そして、一夜だけ不特定にいかがわしい行為をする場は、仮面パーティーが設けられているので、特定の相手でなければ、だいたいが利用する。
そういった場に来ているので、お互いに同意をすれば、関係に持ち込める。
昔は若者が集う場ではなかったそうだが、今では自由恋愛の出会いの場でもある。学園などよりも、手っ取り早く、婚約者同士がニアミスすることもあるそうだ。
あとはアルームのように別の場所で知り合って、ホテルで関係を持つというのが、自由恋愛である。男女共に自邸に連れ込んだりするのはご法度である。
もちろん、同意のない行為は処罰される。でなければこの国は崩壊している。ただ無理矢理、仮面パーティーに連れて行き、同意の上だということにされる。令嬢は特に気を付けなければならない。
女性たちは自由恋愛を認めることが、心が広く素晴らしいことだと褒められる。褒めているのは男性だけで、それに踊らされているのが女性というだけである。
自由恋愛も女性ではなぜかふしだらだと、婚約解消をされることもある。
稀に婚約者同士で自由恋愛を相談をした上で、結婚する人たちもいる。だが途中で破綻したり、結婚後も結局上手くいくことはない。結局は信頼の積み重ねなのだ。
いくら結婚前は自由恋愛でも妻は私だと思える者や、見て見ぬ振りをして自身のために取り繕う者たちばかりである。あとは本当に相手に何の感情もなく、務めを果たすだけ、お金のために仕方なくと割り切るしかない。
「皆がやっているではないか、なぜ私だけが!リッツソード侯爵令嬢もそうだろう?君は寛容な令嬢の代表じゃないか」
「え?いつ代表になったの?あり得ませんけど」
「っな、君は広い心で許しているのではないのか」
「いいえ、どうでもいいので、放置しているだけですけど?」
「へ?でっ、でも結婚するんだろう?」
アルームは本当に驚いているようで、じっと見つめているが、カナンは不思議そうな表情をしている。
「さあ?しても碌なものにはなりませんでしょう?リファと同じで」
「違う!私はリファとは結婚するつもりで」
「いいえ、パパを奪うわけにはいきませんでしょう?」
「待ってくれ、謝れというなら謝る」
「いいえ、謝っていただかなくて結構です。今、カナンと大事な話をしている最中なのです。そろそろ出て行ってくださいませんか。失礼ですよ」
「そうか、分かったよ」
アルームは肩を落として、トボトボと出て行った。その背中を見ながら、リファは何の感情もなかった。
「何なのかしらね、前ならもっと怒っていたはずだけど、何だかどうでもいいわね。私だって、初めはこの人はもしかしたら誠実な人かもと思ったこともあったのよ、すぐに打ち砕かれたけど」
リファは自由恋愛を危惧しながらも、最近はなくなったが、アルームと茶会や出掛けるなどしていた。だが結局、学園に入ってしばらくすると、自由恋愛を始めてしまったのだ。自ずと交流は避けるようになる。
婚約者とも愛を育みながら、自由恋愛の相手とも楽しむというのが、一番理想とされているらしいが、普通に気持ちが悪い。
「怒りも悲しみも、私たちは失っていくのかもしれないわね」
「皆、人形になって生きていくのね…」
「人形か…私たちに自由恋愛の被害がないことだけでもいいのかしらね」
「爵位の高さに感謝ね」
いくら自由恋愛とはいえ、さすがに公爵令嬢、侯爵令嬢に声を掛けて来る者は限られる。遊ぶ相手にはリスクが高すぎるのだ。
そして、一夜だけ不特定にいかがわしい行為をする場は、仮面パーティーが設けられているので、特定の相手でなければ、だいたいが利用する。
そういった場に来ているので、お互いに同意をすれば、関係に持ち込める。
昔は若者が集う場ではなかったそうだが、今では自由恋愛の出会いの場でもある。学園などよりも、手っ取り早く、婚約者同士がニアミスすることもあるそうだ。
あとはアルームのように別の場所で知り合って、ホテルで関係を持つというのが、自由恋愛である。男女共に自邸に連れ込んだりするのはご法度である。
もちろん、同意のない行為は処罰される。でなければこの国は崩壊している。ただ無理矢理、仮面パーティーに連れて行き、同意の上だということにされる。令嬢は特に気を付けなければならない。
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