3 / 51
自由恋愛3
しおりを挟む
私も会ってもいない、手紙のやり取りもしない間柄にも関わらず、両親たちはまだ諦めておらず、私たちのお茶会をセッティングします。ですが、婚約者は現れません。ええ、来ないのです。ほぼ来ません、この前いらしたのはいつだったでしょうか。また急に仕事になったのでしょう。
婚約者は特に凶暴化した魔獣が発生する辺境を守るために生まれたような、選ばれた人が使えるという魔素を操り、戦うことに非常に長けた方らしいです。見たこともありませんし、詳しくは知りませんけど。
ええ、この国、前々世の国もでしたが、全員ではありませんが、異能というのでしょうか、特別な力を使える人がいます。
そのおかげで婚約者は、辺境に戻ったり、王太子殿下とも仕事をされているそうです。公爵家の執事が、だから来たくても来れないのですと言わんばかりに、親切丁寧に教えてくださいましたが、そんなことどうでもいいです。
聞きながら死んだ目をしていたかもしれませんが、報告してもらって結構です。
今日も小鳥の鳴き声がよく聞こえます。使用人はおりますが、声を出しませんので、とても静かです。婚約者がいても同じでしょう。珍しくいらした茶会の際に話し掛けたら、少し静かにしてくれと言われ、それ以降、こちらからは挨拶以外、話し掛けることは止めました。
ただお茶がなくなるまで、座っている。一度、一気飲みをしたら、後から両親に叱られましたので、10分掛けて味わいます。
飲み終わると、美味しかったです、ありがとうございましたと伝え、公爵夫妻は領地でお忙しくされており、いらっしゃいませんので、使用人の方々の申し訳なさそうな顔だけを見て、帰ります。
無駄な時間だとは思いませんか?
「カナン、どうだった?昨日のお茶会は」
「いつも通りよ」
「そう、最低ね!」
「リファ、そちらはどうなの?」
同じ爵位の侯爵令嬢リファ・グランフォードである。瞳が大きく、派手な顔をしているが、カナンと同じ意思を持つ友人である。
「ふふ、解消出来るかもしれないの」
「おめでとうと言っていいのかしら?いいわよね?」
「勿論よ!でもまだ油断は出来ないの。でも、アルームの子どもを妊娠しているって騒いでくれたおかげよ」
「羨ましいわ!」
「上手くいったら、お先にごめんなさいね」
リファの婚約者は侯爵令息で、例にも洩れず自由恋愛をしており、相手がグランフォード邸に子どもが出来たと押しかけて来たのだ。さすがに結婚前も結婚後も子どもを作ることは黙認されない。
しかも元貴族で、現在は平民だという女性。さすがの両親も動いてくれることになった。彼女を連れて、婚約者の侯爵邸に行き、さすがに続けられないと話し合いが進められているそうだ。
「正直、誰が得をする自由なのかしらね?」
「若気の至りだと言って、いずれ笑い話に出来る人が何人いるのかしら?」
「うちは完全に家庭内別居状態だもの」
リファの両親は子どもだけは成したが、その後の生活は一切別としている。顔を合わすことも稀で、合わせても互いに無だそうだ。
私の家は父が一番で、母は父の後ろに隠れているような人で、幼い頃に借金でもあったのかと聞いたことがあるくらいだ。
「それでも動いてくれたんじゃない」
「相手が良かったからよ、元貴族って言っても平民だもの。あれが貴族だったら、有耶無耶にされて終わりだったかもしれないわ。プライドが高くて良かった…」
「プライドに感謝ね…」
遠くの青い空を眺めると、眩しさが目に染みる。2人で生まれ変わったら、よく鳥になりたいわねと話していた、仲良く2人で飛んでいけるのにと、でもリファは飛び立てるかもしれない。
婚約者は特に凶暴化した魔獣が発生する辺境を守るために生まれたような、選ばれた人が使えるという魔素を操り、戦うことに非常に長けた方らしいです。見たこともありませんし、詳しくは知りませんけど。
ええ、この国、前々世の国もでしたが、全員ではありませんが、異能というのでしょうか、特別な力を使える人がいます。
そのおかげで婚約者は、辺境に戻ったり、王太子殿下とも仕事をされているそうです。公爵家の執事が、だから来たくても来れないのですと言わんばかりに、親切丁寧に教えてくださいましたが、そんなことどうでもいいです。
聞きながら死んだ目をしていたかもしれませんが、報告してもらって結構です。
今日も小鳥の鳴き声がよく聞こえます。使用人はおりますが、声を出しませんので、とても静かです。婚約者がいても同じでしょう。珍しくいらした茶会の際に話し掛けたら、少し静かにしてくれと言われ、それ以降、こちらからは挨拶以外、話し掛けることは止めました。
ただお茶がなくなるまで、座っている。一度、一気飲みをしたら、後から両親に叱られましたので、10分掛けて味わいます。
飲み終わると、美味しかったです、ありがとうございましたと伝え、公爵夫妻は領地でお忙しくされており、いらっしゃいませんので、使用人の方々の申し訳なさそうな顔だけを見て、帰ります。
無駄な時間だとは思いませんか?
「カナン、どうだった?昨日のお茶会は」
「いつも通りよ」
「そう、最低ね!」
「リファ、そちらはどうなの?」
同じ爵位の侯爵令嬢リファ・グランフォードである。瞳が大きく、派手な顔をしているが、カナンと同じ意思を持つ友人である。
「ふふ、解消出来るかもしれないの」
「おめでとうと言っていいのかしら?いいわよね?」
「勿論よ!でもまだ油断は出来ないの。でも、アルームの子どもを妊娠しているって騒いでくれたおかげよ」
「羨ましいわ!」
「上手くいったら、お先にごめんなさいね」
リファの婚約者は侯爵令息で、例にも洩れず自由恋愛をしており、相手がグランフォード邸に子どもが出来たと押しかけて来たのだ。さすがに結婚前も結婚後も子どもを作ることは黙認されない。
しかも元貴族で、現在は平民だという女性。さすがの両親も動いてくれることになった。彼女を連れて、婚約者の侯爵邸に行き、さすがに続けられないと話し合いが進められているそうだ。
「正直、誰が得をする自由なのかしらね?」
「若気の至りだと言って、いずれ笑い話に出来る人が何人いるのかしら?」
「うちは完全に家庭内別居状態だもの」
リファの両親は子どもだけは成したが、その後の生活は一切別としている。顔を合わすことも稀で、合わせても互いに無だそうだ。
私の家は父が一番で、母は父の後ろに隠れているような人で、幼い頃に借金でもあったのかと聞いたことがあるくらいだ。
「それでも動いてくれたんじゃない」
「相手が良かったからよ、元貴族って言っても平民だもの。あれが貴族だったら、有耶無耶にされて終わりだったかもしれないわ。プライドが高くて良かった…」
「プライドに感謝ね…」
遠くの青い空を眺めると、眩しさが目に染みる。2人で生まれ変わったら、よく鳥になりたいわねと話していた、仲良く2人で飛んでいけるのにと、でもリファは飛び立てるかもしれない。
505
お気に入りに追加
2,703
あなたにおすすめの小説
忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
真実の愛は素晴らしい、そう仰ったのはあなたですよ元旦那様?
わらびもち
恋愛
王女様と結婚したいからと私に離婚を迫る旦那様。
分かりました、お望み通り離婚してさしあげます。
真実の愛を選んだ貴方の未来は明るくありませんけど、精々頑張ってくださいませ。
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる