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子爵の妹1
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様子を伺っていたオイスラッドは、もういいだろうと話を終えることにした。
「すぐに収められる者はすぐに収めなさい。分割を希望する者は、手続きをしなさい。もし、払わない者はそのようにレオラッド大公閣下に報告する。どうされるかは、あちらが決めることになるかもしれない」
オルタナ王国とは関わりがないために、レオラッド大公閣下がどのような方かも分からなかったが、妻のことで怒っていることは確実で、どんなことになるかは想像もつかなかった。
シャーリン以外は、皆が親に頭を下げて、すぐさま言われた通りの額を一括で支払った。
シャーリンはまだジェフに助けを求めようとしたが、ジェフは無視して行ってしまった。当方に暮れた、シャーリンはとりあえず、ガルッツ子爵家に戻ったが、誰にも言えずにいた。
皆が一斉に帰ったので、一括で払えるはずはないのに、シャーリンは分割の手続きもしていない。
ガルッツ子爵家も、国王陛下に呼び出されたので、領地にいた大きなお腹をしたシャーリンは参上させるしかなかった。
いい話ではないだろうと、ガルッツ子爵家当主である兄・ベリックも思っていたが、シャーリンに問い掛けた。
「何の話だったんだ?」
「それは…」
「いい話ではないのは分かっている」
シャーリンはその言葉に驚いた、シャーリンは国王陛下に呼び出されたが、悪い話だとは思っていなかったのである。そもそも、バトワスに関わることはあったが、オイスラッドに関わることもなかったからである。
「エルムのことで、今更罰を与えると言われて…」
「は?」
当時であれば、親も一緒に呼ばれるところであるが、いい年をした大人であるため、オイスラッドは本人のみを呼び出した。
「今更でしょう?離縁されてしまったというのに…何なのよ」
「エルムというのは、フォンターナ伯爵家の?」
ベリックはエルムと言われても、すぐには思い出せなかった。
「そうよ、今は大公?の奥さんなんですって。それで何だか、怒っているって。謝るって言ったのに、会えないんですって」
「大公…?」
「よく覚えていないわ」
「それで、罰は何なんだ?」
大公閣下も気になるが、罰が一体何なのか。労働などであればいいと思っていたが、ベリックは打ち砕かれることになる。
「お金よ…」
シャーリンは国王陛下から渡された金額の書かれた紙を、ベリックに渡した。
そこには1000万ジェルと書かれており、ジェフは2000万ジェルであった。他の者は爵位に合わせて500万ジェルや、1000万ジェル、1500万ジェル、シャーリンは爵位も考えての値段であった。
だが、フォンターナ家へ慰謝料を支払っていないことから、上乗せしているとも書かれていた。
シャーリンよりも先に、ベリックが当時であればと思うことになった。マクローズ伯爵家が払ってくれるではなく、ガルッツ子爵家も当時の方がまだお金があったからである。
それでも持参金を出さなかったのは、シャーリンを望んでくれるのだから、責任を取って貰えばいい、だから払わなくても大丈夫だろうという両親の考えであった。
そして、ようやくシャーリンの言う大公が、オルタナ王国のレオラッド大公閣下だということが分かった。
「流行り病?支援金?にするって、助けて貰いたいのは私の方だわ。妊婦なのに、酷いと思わない?」
「…な」
「ジェフはちゃんと払わないと、子爵家もなくなるかもしれないって言ってたわ」
「…」
「ジェフも助けてくれないって言うし、他の男性を頼れって言うのよ、酷いわ…お兄様、どうしたらいいの」
ジェフ様はガルッツ子爵家までに罪を償うようなことはしなかったが、国王陛下、レオラッド大公閣下はそんなことは気にしてはくれないだろう。
「すぐに収められる者はすぐに収めなさい。分割を希望する者は、手続きをしなさい。もし、払わない者はそのようにレオラッド大公閣下に報告する。どうされるかは、あちらが決めることになるかもしれない」
オルタナ王国とは関わりがないために、レオラッド大公閣下がどのような方かも分からなかったが、妻のことで怒っていることは確実で、どんなことになるかは想像もつかなかった。
シャーリン以外は、皆が親に頭を下げて、すぐさま言われた通りの額を一括で支払った。
シャーリンはまだジェフに助けを求めようとしたが、ジェフは無視して行ってしまった。当方に暮れた、シャーリンはとりあえず、ガルッツ子爵家に戻ったが、誰にも言えずにいた。
皆が一斉に帰ったので、一括で払えるはずはないのに、シャーリンは分割の手続きもしていない。
ガルッツ子爵家も、国王陛下に呼び出されたので、領地にいた大きなお腹をしたシャーリンは参上させるしかなかった。
いい話ではないだろうと、ガルッツ子爵家当主である兄・ベリックも思っていたが、シャーリンに問い掛けた。
「何の話だったんだ?」
「それは…」
「いい話ではないのは分かっている」
シャーリンはその言葉に驚いた、シャーリンは国王陛下に呼び出されたが、悪い話だとは思っていなかったのである。そもそも、バトワスに関わることはあったが、オイスラッドに関わることもなかったからである。
「エルムのことで、今更罰を与えると言われて…」
「は?」
当時であれば、親も一緒に呼ばれるところであるが、いい年をした大人であるため、オイスラッドは本人のみを呼び出した。
「今更でしょう?離縁されてしまったというのに…何なのよ」
「エルムというのは、フォンターナ伯爵家の?」
ベリックはエルムと言われても、すぐには思い出せなかった。
「そうよ、今は大公?の奥さんなんですって。それで何だか、怒っているって。謝るって言ったのに、会えないんですって」
「大公…?」
「よく覚えていないわ」
「それで、罰は何なんだ?」
大公閣下も気になるが、罰が一体何なのか。労働などであればいいと思っていたが、ベリックは打ち砕かれることになる。
「お金よ…」
シャーリンは国王陛下から渡された金額の書かれた紙を、ベリックに渡した。
そこには1000万ジェルと書かれており、ジェフは2000万ジェルであった。他の者は爵位に合わせて500万ジェルや、1000万ジェル、1500万ジェル、シャーリンは爵位も考えての値段であった。
だが、フォンターナ家へ慰謝料を支払っていないことから、上乗せしているとも書かれていた。
シャーリンよりも先に、ベリックが当時であればと思うことになった。マクローズ伯爵家が払ってくれるではなく、ガルッツ子爵家も当時の方がまだお金があったからである。
それでも持参金を出さなかったのは、シャーリンを望んでくれるのだから、責任を取って貰えばいい、だから払わなくても大丈夫だろうという両親の考えであった。
そして、ようやくシャーリンの言う大公が、オルタナ王国のレオラッド大公閣下だということが分かった。
「流行り病?支援金?にするって、助けて貰いたいのは私の方だわ。妊婦なのに、酷いと思わない?」
「…な」
「ジェフはちゃんと払わないと、子爵家もなくなるかもしれないって言ってたわ」
「…」
「ジェフも助けてくれないって言うし、他の男性を頼れって言うのよ、酷いわ…お兄様、どうしたらいいの」
ジェフ様はガルッツ子爵家までに罪を償うようなことはしなかったが、国王陛下、レオラッド大公閣下はそんなことは気にしてはくれないだろう。
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