悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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再調査4

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「いえ、是非、お聞かせください」
「では…女性、夫人ですね、性欲が強いのではないかと言われています。ただ、調査のしようもないので、言われているという程度でお願いします」
「…そうですの、それで…そうなのですね、承知しました」

 メーリンも未婚とはいえ、そういった教育は受けているが、最終的には男性に任せる様にも言われている。

「これまでもあったのかもしれませんが、子沢山の理由は女性側の積極的な行動ではないかと考えています」
「なるほど…」

 積極的に子どもを作る行為が増えて、自ずと子どもも増えて行ったということなのか。恋愛結婚が増えたという理由よりも、納得が出来ると思った。

「ですが、実は多産を見込まれて、他国に嫁いでいった者が結構いたのですが、そちらは確か二人産むのがいい方で、妊娠すらしなかった者もいたそうです」
「それは…お国柄が合わなかったということでしょうか?」

 国が変われば、積極的なことは良く取られるか、悪く取られるか分からない。

「それも理由でしょう。ただ積極的でしたかなんて、聞けませんからね。多くの子どもを産むことは出来なかったという事実だけです。ですので、全員がということではないのです」
「ですが、我が国は多くが2人、1人いればいい方で、恵まれなかったということもあります。そういった方はいないのですか?」
「おります」
「ですが、最低でも5人はいらっしゃると伺っています」

 前回の調査の際は天候を優先したので、子どものことは詳しくは聞いていないが、多くの貴族が5人は子どもがいると聞いて、驚いたのである。

「結婚を継続している夫妻は、という言葉が付きます。例えば、2人子どもが生まれて、離縁した方は子どもは2人です。子どもが生まれないまま、離縁や死別した者もいます」
「なるほど…」

 貴族全員に必ず5人以上の子どもが、いるわけではないということである。

「恵まれなかったということはないのでしょうか?」
「もしかしたら、離縁した中にいたのかもしれませんが、継続している夫妻の中にはいませんね」

 夫の子どもではなかったということはあったようだが、結婚は継続していない。

 メーリンも子どもが出来ないという理由で離縁することは知っており、デリケートな話であるために、調査をすることは不可能だろうことは分かる。

 だが、周りは子沢山の中で、もしかしたら悩んでいた夫人がいたのではないかと心中を案じた。

「再婚した者もいますが、そちらは夫妻にカウントされています。私たちの年代は、王女殿下のおっしゃったような子どもの数なのです」
「やはり劇的に増えたということなのですね」
「はい、それは間違いないと思います」

 やはり恋愛結婚が増えたことで夫婦関係が最初から良く、女性の性行為への積極性が子沢山になった理由なのだろうと考え、戻って兄に伝えようと思った。

 実はハビット王国は、子どもの少なさが問題となっている。

 今回も兄と一緒に来なかったのも、万が一にも、大事な甥に何かあってはと思ってのこともある。

 だが、アジェル王国はどうだろうか。子どもがこれだけ多いのならば、さらに無事に育っているということなのだろう。

「失礼ですが、流産や死産ということはないのでしょうか?」

 子どもが出来ないことは調べられなくとも、子どもが出来ている状況ならば、記録として残っているのではないかと考えた。

「それはあります。望まない妊娠で堕胎ということもありますし、何らかの原因でそういったことも起こっていますし、出産時に母体が亡くなるということもあります」

 妊娠した女性が全員、無事に出産したわけではない。先程の死別の中には、出産時にという女性も含まれている。

「そうですか…」

 それでも、この出生率なのだとも思った。
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