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退宮
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「たまたま男娼だったというだけだろう?」
「どういう、意味でしょうか?」
「男娼だったと今回は確認が取れている。だが一度、不貞行為を行った人間を信用することは出来ないということだ」
「許可が出たからこそ、相手は男娼以外はあり得ません。そもそも、許可が出たからこそ、呼んだ、だけで…」
熱くなっていたが、両親がいることを思い出し、言葉は弱弱しくなっていった。両親と見ると、父は眉間に皺をよせ、母は両手で顔を覆っていた。
「避妊はしたのか?」
「っ」
「王宮から呼んだことならば、きちんとした処置を行う。それが決まりだからな。だが、今回は勝手に呼び、行為を行い、男娼だからいいだろうという理由にはならない。まあ、男娼の方は商売だから、しているだろうが、万が一ということがある」
王宮では男娼にも、オリビアにも避妊薬の服用が義務付けられていた。だが、勝手に呼んだ分はそういったことは配慮されないということになる。
バトワスは驚くオリビアの様子に、考えていなかったのかと驚くしかなかった。
オリビアも避妊のことは任せていたので、何も考えていなかったことに気付き、托卵…いや、バトワスとは関係を持っていなかったので、妊娠していたら王太子以外の子となることにようやく、肝が冷えた。
「もういいか?」
「はい、申し訳ありませんでした。承知しました」
「申し訳ございませんでした」「申し訳ございませんでした」
ズニーライ侯爵夫妻は、深く頭を下げた。
「夫妻は関与していないことは分かっている。離縁以上の咎を与える気はない。これからも、アジェル王国のために頑張ってくれ」
「はい、承知いたしました」
不貞行為ということで、もっと激しく叱咤されても、おかしくなかったが、そこは相手が男娼だったことで、考慮されたと言える。
これが男娼ではなかったら、このような冷静な話にはならなかっただろう。
だが、事態が変わるわけではない。
子どもたちも見送ってはくれたが、軽蔑の眼差しではあったが、オリビアには悲しんでいるように見えて、あまり顔を見れないまま去って行った。
オリビアが去ると、王家からオリビアが許可を得ていない男娼との不貞行為により、離縁されたことが発表された。相手のことは噂になる前に、潔く公にすることに両陛下も賛成してくれた。
バトワスは男娼と不貞をされる様な王太子ということになるが、年齢も40歳前であるために、オリビアがお盛んだと思われる方が強かった。
男娼の方は仕事であったために、お咎めはなく、表立って言うことはないが、密かに同意したのは同じように、性欲を持て余した夫人たちだけであった。
オリビアに嘆き、ズニーライ侯爵夫妻であるファンドラーとマルエリーは、オリビアを別邸に閉じ込めたが、落ち込みようは酷かった。
二人は仲のいい夫妻で、オリビアが王太子妃になったことは嬉しかったが、王太子妃にと躍起になったわけではない。
「本当に恥ずかしいわ…あんな子ではなかったのに」
「私もだ」
「男娼を呼んでいたなんて…それだけでも恥ずかしいのに、わざわざどうして…もう嫌よ」
「どうして、性欲が強いなど…」
「信じられないわ」
ズニーライ侯爵家にはオリビアの兄である、嫡男であるアンドリューがおり、同席していたが、実はアンドリューもバトワスと同じ悩みを持っていた。
それもそのはずで、ズニーライ侯爵家にも5人の子どもがいる。
「ミカエラーも、強いです…」
「え?そうなの?」
ミカエラーとは、アンドリューの妻でであり、ファンドラーは目を見開いた。
「はい…言えませんでしたが、殿下のお気持ちは痛いほど分かります。周りの令息は愛人を置くことを認めている者もいるようです」
「そうなのか?」
ファンドラーは驚いた、全くないことではなかったが、そんなことはごく一部で、年齢が離れていたりいう場合であった。
「どういう、意味でしょうか?」
「男娼だったと今回は確認が取れている。だが一度、不貞行為を行った人間を信用することは出来ないということだ」
「許可が出たからこそ、相手は男娼以外はあり得ません。そもそも、許可が出たからこそ、呼んだ、だけで…」
熱くなっていたが、両親がいることを思い出し、言葉は弱弱しくなっていった。両親と見ると、父は眉間に皺をよせ、母は両手で顔を覆っていた。
「避妊はしたのか?」
「っ」
「王宮から呼んだことならば、きちんとした処置を行う。それが決まりだからな。だが、今回は勝手に呼び、行為を行い、男娼だからいいだろうという理由にはならない。まあ、男娼の方は商売だから、しているだろうが、万が一ということがある」
王宮では男娼にも、オリビアにも避妊薬の服用が義務付けられていた。だが、勝手に呼んだ分はそういったことは配慮されないということになる。
バトワスは驚くオリビアの様子に、考えていなかったのかと驚くしかなかった。
オリビアも避妊のことは任せていたので、何も考えていなかったことに気付き、托卵…いや、バトワスとは関係を持っていなかったので、妊娠していたら王太子以外の子となることにようやく、肝が冷えた。
「もういいか?」
「はい、申し訳ありませんでした。承知しました」
「申し訳ございませんでした」「申し訳ございませんでした」
ズニーライ侯爵夫妻は、深く頭を下げた。
「夫妻は関与していないことは分かっている。離縁以上の咎を与える気はない。これからも、アジェル王国のために頑張ってくれ」
「はい、承知いたしました」
不貞行為ということで、もっと激しく叱咤されても、おかしくなかったが、そこは相手が男娼だったことで、考慮されたと言える。
これが男娼ではなかったら、このような冷静な話にはならなかっただろう。
だが、事態が変わるわけではない。
子どもたちも見送ってはくれたが、軽蔑の眼差しではあったが、オリビアには悲しんでいるように見えて、あまり顔を見れないまま去って行った。
オリビアが去ると、王家からオリビアが許可を得ていない男娼との不貞行為により、離縁されたことが発表された。相手のことは噂になる前に、潔く公にすることに両陛下も賛成してくれた。
バトワスは男娼と不貞をされる様な王太子ということになるが、年齢も40歳前であるために、オリビアがお盛んだと思われる方が強かった。
男娼の方は仕事であったために、お咎めはなく、表立って言うことはないが、密かに同意したのは同じように、性欲を持て余した夫人たちだけであった。
オリビアに嘆き、ズニーライ侯爵夫妻であるファンドラーとマルエリーは、オリビアを別邸に閉じ込めたが、落ち込みようは酷かった。
二人は仲のいい夫妻で、オリビアが王太子妃になったことは嬉しかったが、王太子妃にと躍起になったわけではない。
「本当に恥ずかしいわ…あんな子ではなかったのに」
「私もだ」
「男娼を呼んでいたなんて…それだけでも恥ずかしいのに、わざわざどうして…もう嫌よ」
「どうして、性欲が強いなど…」
「信じられないわ」
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「はい…言えませんでしたが、殿下のお気持ちは痛いほど分かります。周りの令息は愛人を置くことを認めている者もいるようです」
「そうなのか?」
ファンドラーは驚いた、全くないことではなかったが、そんなことはごく一部で、年齢が離れていたりいう場合であった。
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