43 / 186
規格外
しおりを挟む
オリビアは実家に行くことにして、送り届けて貰い、今度は侯爵家の馬車を借りて、そこにルルーリオを呼べばいいと思い付いた。
それはもはや、不貞行為と言っていい行動であることに気付いてすらいないオリビアだったが、さすがに侍女には頼めないと判断し、前は実家で働いており、現在は王宮に勤めているメイドに、ホテルと男娼の手配をして貰った。
メイドはそのようなことをして大丈夫かと伝えたが、オリビアは仕方ないことなのよと笑っていた。逆らうことの出来ないメイドは、手配を行い、オリビアは四度目のルルーリオとの関係を楽しんだ。
大変満足したオリビアは、しばらくの間はご機嫌であった。
バトワスは応接室で同級生である、アフレード公爵家のボードレンから調査の書類を預かっていた。
「わざわざありがとう」
「いえ、話もあって来たのです」
「話?」
「前置きなしで話しますが、実は二日前にコンストレールホテルで、王太子妃殿下が男性といるのを妻が見たそうなんです」
「は?」
二日前とは確か、実家である侯爵家に行くと言っていた日である。
「近くに護衛も、侍女の姿もなかったそうで、相手は若い男だったと…客室の方から出て来たそうで、地味な装いはしていたそうだが、さすがに見間違うことはないと、それを伝えて置きたくて足を運んだのです」
「はあ…」
バトワスは王太子妃でありながら、あまりに軽率な行動に頭を抱えた。
「心当たりがあるのですか?」
「他に見たものはいるのか?」
「妻と、妻の妹が見たそうです。さすがに触れ回ったりはしていませんが、他にも気付いた者がいたかもしれません」
コンストレールホテルは大きなホテルで、どこから見られていたか分からない。他にも見られたと考えた方がいいだろうと判断した。
「そうか…おそらく男娼だと思う」
「男娼?」
「実は予算内で申請をして、呼ぶことは許可を得ている。オリビアの場合は本当に金を払った男娼だ」
「そうだったのですか…妻もおそらく、そういった関係のある男性ではないかと言っておりました」
ボードレンも王家の男娼の許可は知っている。恋人であることがほとんどだと聞いていたが、オリビア王太子妃殿下は、本当に男娼だというのか。
「なぜホテルに行ったのかは分からないが、許可を得ずということだな。どうなるか分からないが、奥方には黙っていてもらえると有難い」
「承知しました。失礼ですが、殿下はしたくないから、男娼の許可を出したのですか?」
「ああ、子どもも増えては困るからと言っていたのだが…確かにそれも事実ではある。だが、それ以上に性欲が強く過ぎてな。やることが山積みでもお構いなしでな」
王太子として恥ずかしい話ではあるが、見られて口を噤んでもらう以上、素直に話してしまおうと思った。
「我が家もです」
「な?そうなのか?」
「はい、お互いに愛人を許可しておりますので、家に持ち込まないことを条件に、そういった部分は勝手にさせています。ですが、王家はそうはいきませんよね」
ボードレンは婚約者だった美しいマリーレンと結婚しており、オリビアはともかく、マリーレンもそんな状況になっているとは思ってもいなかった。
「ああ、なぜなんだろうな。ジェフも離縁するかもしれないと言っていた」
「はい、聞きました。周りにも多いですよ?」
「そうなのか?そういえば、母上も言っていたな」
親世代は不貞を犯すのではないかと危惧していると、嫁の方を指していた。
普通とは言ってはあれだが、こういった場合は男性の方が、愛人問題などを起こすことの方が多いはずじゃないか。
「お互いに愛人がいる者もいるそうですけど、私はそんな気にはなれません」
「ああ…」
「無理して付き合っている者もいるようですけど、私は無理でした」
「私はオリビアが規格外だと思っていたんだが」
「私もです」
それはもはや、不貞行為と言っていい行動であることに気付いてすらいないオリビアだったが、さすがに侍女には頼めないと判断し、前は実家で働いており、現在は王宮に勤めているメイドに、ホテルと男娼の手配をして貰った。
メイドはそのようなことをして大丈夫かと伝えたが、オリビアは仕方ないことなのよと笑っていた。逆らうことの出来ないメイドは、手配を行い、オリビアは四度目のルルーリオとの関係を楽しんだ。
大変満足したオリビアは、しばらくの間はご機嫌であった。
バトワスは応接室で同級生である、アフレード公爵家のボードレンから調査の書類を預かっていた。
「わざわざありがとう」
「いえ、話もあって来たのです」
「話?」
「前置きなしで話しますが、実は二日前にコンストレールホテルで、王太子妃殿下が男性といるのを妻が見たそうなんです」
「は?」
二日前とは確か、実家である侯爵家に行くと言っていた日である。
「近くに護衛も、侍女の姿もなかったそうで、相手は若い男だったと…客室の方から出て来たそうで、地味な装いはしていたそうだが、さすがに見間違うことはないと、それを伝えて置きたくて足を運んだのです」
「はあ…」
バトワスは王太子妃でありながら、あまりに軽率な行動に頭を抱えた。
「心当たりがあるのですか?」
「他に見たものはいるのか?」
「妻と、妻の妹が見たそうです。さすがに触れ回ったりはしていませんが、他にも気付いた者がいたかもしれません」
コンストレールホテルは大きなホテルで、どこから見られていたか分からない。他にも見られたと考えた方がいいだろうと判断した。
「そうか…おそらく男娼だと思う」
「男娼?」
「実は予算内で申請をして、呼ぶことは許可を得ている。オリビアの場合は本当に金を払った男娼だ」
「そうだったのですか…妻もおそらく、そういった関係のある男性ではないかと言っておりました」
ボードレンも王家の男娼の許可は知っている。恋人であることがほとんどだと聞いていたが、オリビア王太子妃殿下は、本当に男娼だというのか。
「なぜホテルに行ったのかは分からないが、許可を得ずということだな。どうなるか分からないが、奥方には黙っていてもらえると有難い」
「承知しました。失礼ですが、殿下はしたくないから、男娼の許可を出したのですか?」
「ああ、子どもも増えては困るからと言っていたのだが…確かにそれも事実ではある。だが、それ以上に性欲が強く過ぎてな。やることが山積みでもお構いなしでな」
王太子として恥ずかしい話ではあるが、見られて口を噤んでもらう以上、素直に話してしまおうと思った。
「我が家もです」
「な?そうなのか?」
「はい、お互いに愛人を許可しておりますので、家に持ち込まないことを条件に、そういった部分は勝手にさせています。ですが、王家はそうはいきませんよね」
ボードレンは婚約者だった美しいマリーレンと結婚しており、オリビアはともかく、マリーレンもそんな状況になっているとは思ってもいなかった。
「ああ、なぜなんだろうな。ジェフも離縁するかもしれないと言っていた」
「はい、聞きました。周りにも多いですよ?」
「そうなのか?そういえば、母上も言っていたな」
親世代は不貞を犯すのではないかと危惧していると、嫁の方を指していた。
普通とは言ってはあれだが、こういった場合は男性の方が、愛人問題などを起こすことの方が多いはずじゃないか。
「お互いに愛人がいる者もいるそうですけど、私はそんな気にはなれません」
「ああ…」
「無理して付き合っている者もいるようですけど、私は無理でした」
「私はオリビアが規格外だと思っていたんだが」
「私もです」
3,814
お気に入りに追加
7,811
あなたにおすすめの小説

どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。

欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]
ラララキヲ
恋愛
「お姉様、それ頂戴!!」が口癖で、姉の物を奪う妹とそれを止めない両親。
妹に自分の物を取られた姉は最初こそ悲しんだが……彼女はニッコリと微笑んだ。
「わたくしの物が欲しいのね」
「わたくしの“お古”じゃなきゃ嫌なのね」
「わたくしが一度持った物じゃなきゃ欲しくない“欲しがりマリリン”。貴女はなんて“可愛”そうなのかしら」
姉に憐れまれた妹は怒って姉から奪った物を捨てた。
でも懲りずに今度は姉の婚約者に近付こうとするが…………
色々あったが、それぞれ幸せになる姉妹の話。
((妹の頭がおかしければ姉もそうだろ、みたいな話です))
◇テンプレ屑妹モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい。
◇なろうにも上げる予定です。

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。

婚約破棄した令嬢の帰還を望む
基本二度寝
恋愛
王太子が発案したとされる事業は、始まる前から暗礁に乗り上げている。
実際の発案者は、王太子の元婚約者。
見た目の美しい令嬢と婚約したいがために、婚約を破棄したが、彼女がいなくなり有能と言われた王太子は、無能に転落した。
彼女のサポートなしではなにもできない男だった。
どうにか彼女を再び取り戻すため、王太子は妙案を思いつく。

【完結】ずっとやっていれば良いわ。※暗い復讐、注意。
BBやっこ
恋愛
幼い頃は、誰かに守られたかった。
後妻の連れ子。家も食事も教育も与えられたけど。
新しい兄は最悪だった。
事あるごとにちょっかいをかけ、物を壊し嫌がらせ。
それくらい社交界でよくあるとは、家であって良い事なのか?
本当に嫌。だけどもう我慢しなくて良い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる