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欲望
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「分かったなら、もう出て行ってくれ」
「待ってよ…」
「まだ何かあるのか?」
「謝るわ、だから」
今日は引き下がるわけにはいかなかった、バトワスでもいいから抱いて貰わないといけないと、頭の中はそのことでいっぱいであった。
「だから何だ?」
「仲直りしましょうよ」
「喧嘩しているわけではない。部屋に戻りなさい」
「じゃあ、部屋で待ってるわ」
思った展開にならなかったオリビアは、バトワスとオリビアは同じ部屋では寝ていないので、そう言わないと関係は持てない。言い逃げして、もしも来なかったとしても、責めることが出来ると考えた。
今日は無理でも、どうして来てくれなかったのか、来て貰うことが出来る。部屋まで来れば、きっとバトワスも男娼のこと出せば、私を引き留めようとするだろう。
そうなれば、比べないと言いながらも、比べて煽ってもいい。ルルーリオのように満足は出来ないかもしれないが、疼きくらいは収まるだろうと考えた。
「はあ…また誘っているのか?男娼を呼べばいいと言っただろう」
「あなたと話をしたいのよ」
「話?何だ?ここでしなさい」
「部屋でしたいの」
「何のために?何の実りもない話だったら、両陛下にも話させて貰うぞ?それとも、君の父上に相談した方がいいか?」
「っな、私たちは夫婦じゃない!」
オリビアはすぐに両陛下と言われることに、苛立っていた。
「君は自分のことしか考えていないんだな、調査もどうせ忘れていたんだろう?もういいさ、別の者に頼むよ」
「調査はしているわ」
「じゃあ、その結果を持って来てくれ。途中でもいい」
「まだ来ていないのよ」
「そうか、じゃあ、届いたら持って来てくれ」
「わ、分かったわ…」
オリビアはこれ以上言っても、自分が不利になるだけだと、引き下がった。その夜も、体を疼かせながら、一人で眠るしかなかった。
バトワスが駄目ならと、ルルーリオは無理でも、ランク下げれば男娼を呼べるのではないかと、憑りつかれた様に考えるようになっていた。
「ランクを下げれば、男娼を呼べないかしら?」
その言葉に侍女はあからさまに顔を顰めることはしなかったが、心の中では深く眉間に皺を寄せた。
「ランクを下げて、申請されたらいかがですか?」
「ランクを下げたらどうなるのかしら…」
侍女は質問されているとは思わず、何も答えなかった。
「ねえ、ランクを下げたらどうなるの?」
「私は存じ上げません。詳しくお聞きになりたいなら、娼館に問い合わせたらいかがですか?説明に来ていただけると思いますよ」
申請書類を書くことがギリギリくらいで、男娼のランクのサービスについてまで、侍女が知っておく業務ではない。
「あなたが聞いて来てよ」
「業務外でございます」
「っな、一般的にはどうなのか聞きたいのよ!」
「男娼を呼ぶほどの贅沢は出来ませんので、存じ上げません」
「まあ、そうよね。困ったわね」
侍女は別に困るようなことはないと思ったが、オリビアにとっては何よりも大事なことになっていた。
ランクを上げるならともかく、下げて変な男娼が来たら嫌だった。せめて、ルルーリオと同程度でないといけない。
仕方ないので、実家に援助を頼むしかないと考えた。しかも、男娼を呼ぶなどと分かれば、怒られてしまうだろうが、用途は伝えなければいい。
早速、父に手紙を書き、お願いをした。思ったよりは少なかったが、お金は届けられて、これで呼べると胸が高鳴った。
「このお金で、ルルーリオを呼んで頂戴」
「予算内でというお約束ですので、違反になります」
「…え、自分で支払うって言っているのよ!」
「許可が下りているのは、予算内でということですから」
「え?どうしてよ…」
「私は決まりに従うだけです」
ようやくルルーリオに会えると思ったのに、無理だと言われれば、ますます呼びたくなっていた。
「待ってよ…」
「まだ何かあるのか?」
「謝るわ、だから」
今日は引き下がるわけにはいかなかった、バトワスでもいいから抱いて貰わないといけないと、頭の中はそのことでいっぱいであった。
「だから何だ?」
「仲直りしましょうよ」
「喧嘩しているわけではない。部屋に戻りなさい」
「じゃあ、部屋で待ってるわ」
思った展開にならなかったオリビアは、バトワスとオリビアは同じ部屋では寝ていないので、そう言わないと関係は持てない。言い逃げして、もしも来なかったとしても、責めることが出来ると考えた。
今日は無理でも、どうして来てくれなかったのか、来て貰うことが出来る。部屋まで来れば、きっとバトワスも男娼のこと出せば、私を引き留めようとするだろう。
そうなれば、比べないと言いながらも、比べて煽ってもいい。ルルーリオのように満足は出来ないかもしれないが、疼きくらいは収まるだろうと考えた。
「はあ…また誘っているのか?男娼を呼べばいいと言っただろう」
「あなたと話をしたいのよ」
「話?何だ?ここでしなさい」
「部屋でしたいの」
「何のために?何の実りもない話だったら、両陛下にも話させて貰うぞ?それとも、君の父上に相談した方がいいか?」
「っな、私たちは夫婦じゃない!」
オリビアはすぐに両陛下と言われることに、苛立っていた。
「君は自分のことしか考えていないんだな、調査もどうせ忘れていたんだろう?もういいさ、別の者に頼むよ」
「調査はしているわ」
「じゃあ、その結果を持って来てくれ。途中でもいい」
「まだ来ていないのよ」
「そうか、じゃあ、届いたら持って来てくれ」
「わ、分かったわ…」
オリビアはこれ以上言っても、自分が不利になるだけだと、引き下がった。その夜も、体を疼かせながら、一人で眠るしかなかった。
バトワスが駄目ならと、ルルーリオは無理でも、ランク下げれば男娼を呼べるのではないかと、憑りつかれた様に考えるようになっていた。
「ランクを下げれば、男娼を呼べないかしら?」
その言葉に侍女はあからさまに顔を顰めることはしなかったが、心の中では深く眉間に皺を寄せた。
「ランクを下げて、申請されたらいかがですか?」
「ランクを下げたらどうなるのかしら…」
侍女は質問されているとは思わず、何も答えなかった。
「ねえ、ランクを下げたらどうなるの?」
「私は存じ上げません。詳しくお聞きになりたいなら、娼館に問い合わせたらいかがですか?説明に来ていただけると思いますよ」
申請書類を書くことがギリギリくらいで、男娼のランクのサービスについてまで、侍女が知っておく業務ではない。
「あなたが聞いて来てよ」
「業務外でございます」
「っな、一般的にはどうなのか聞きたいのよ!」
「男娼を呼ぶほどの贅沢は出来ませんので、存じ上げません」
「まあ、そうよね。困ったわね」
侍女は別に困るようなことはないと思ったが、オリビアにとっては何よりも大事なことになっていた。
ランクを上げるならともかく、下げて変な男娼が来たら嫌だった。せめて、ルルーリオと同程度でないといけない。
仕方ないので、実家に援助を頼むしかないと考えた。しかも、男娼を呼ぶなどと分かれば、怒られてしまうだろうが、用途は伝えなければいい。
早速、父に手紙を書き、お願いをした。思ったよりは少なかったが、お金は届けられて、これで呼べると胸が高鳴った。
「このお金で、ルルーリオを呼んで頂戴」
「予算内でというお約束ですので、違反になります」
「…え、自分で支払うって言っているのよ!」
「許可が下りているのは、予算内でということですから」
「え?どうしてよ…」
「私は決まりに従うだけです」
ようやくルルーリオに会えると思ったのに、無理だと言われれば、ますます呼びたくなっていた。
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