41 / 72
優越感
しおりを挟む
「だから、言ったじゃない、私、男娼を呼んだのよ?」
「ああ」
「ああって、もうそんなに拗ねないで頂戴よ」
「何を拗ねる?」
「だから、男娼のことよ。嫉妬しているんでしょう?別に愛したわけではないから心配しないで」
オリビアは勝ち誇った顔をして、バトワスを流し目で見つめて、口角を上げた。
「はあ…そんな話なら出て行ってくれ」
「もう、そんなに拗ねないでって言っているでしょう?これからの私たちのためのスパイスだと思えばいいのよ」
「許可を得ているのだから、好きにすればいい」
折角、当分公務に集中が出来て、穏やかだったのに、また何を言い出すのか。この部屋にオリビアがいることですら、既に苛立つようになっていた。
「んもう!どうしたら機嫌を直してくれるの?」
「何を言っているんだ?君が邪魔をしているから、機嫌が悪いんだ。男娼を呼びたいなら呼べばいいだろう?出て行ってくれ」
オリビアにもう男娼を呼ぶ予算はない。自分で用意すれば可能かもしれないが、実家もお金に余裕があるわけではないと言われている。
ならばこの疼きを解消する相手はバトワスしかいない。だから、仕方ないから相手にしてあげるという思いであった。
「今日はバトワスが相手をしてくれていいのよ?大丈夫、比べたりしないわ」
オリビアはバトワスの肩に触れようとしたが、払い退けられた。
「気持ち悪い…」
「え?」
「気持ち悪いって言ったんだよ」
「何ですって!」
「自分が同じことを言われたらどう思う?私が若くて美しい娼婦を呼んで、同じこと言ったらどう思う?」
「っ」
オリビアは失言だったと気付いたが、言い方に腹が立っていた。
「だから、気持ち悪いって言ったんだよ!男娼を呼んで、勝った気でもいるのか?君が自分の責任で呼んだんだ、私には関係ない」
「関係ないって、嫉妬したからって、そんな言い方しなくてもいいじゃない」
「嫉妬ね…」
バトワスは自信が許可を求めたのに、オリビアは嫉妬していると思っているとは、なんて都合のいい頭なのだと思った。
「勢いで言ってしまったけど、私が呼ばないと思っていたんでしょう!強がらなくてもいいのよ」
オリビアはバトワスがもし、娼婦と関係を持ったと聞いたら、怒り狂っただろうが、自分は男娼と関係を持ったことで、バトワスに優越感を感じていた。
「いや、ずっと考えていたよ」
「…え、どういう意味?」
「君のその並々ならぬ性欲を、どうにかならないかと思っていたんだ。私だってこんなことは言いたくないが、言わないと改善されないだろう?私にはやらなければならない、優先順位があるんだ」
オリビアはバトワスの言い方に恥ずかしい気持ちもあったが、抱いて欲しいということはそんなに批判されることなのかと、怒りが勝った。
「君が引いてくれれば、私だけの胸に留めて置くつもりだったが、邪魔ばかりして我慢の限界だった。だから男娼の許可を願い出たんだ、満足したのだろう?ならいいじゃないか?何が不満なんだ?」
「不満って…」
オリビアは口にはしないが、バトワスなんかよりも満足はしたが、楽しみ過ぎたせいで、呼ばないと物足りなくなったなんて言えない。
そんなことを言えば、さらにバトワスに性欲のことを馬鹿にされることは、目に見えている。
「不貞行為でもされたら、さらに子どもたちの婚約者も、国にも混乱を招く」
「不貞なんてしないわ」
「そうしてくれ」
だが一方で、バトワスは不貞をすれば、離縁が出来るとも考えたこともあった。
そうなったところで、バトワスが象徴となっているわけではないので、恋愛結婚のイメージが払拭出来るとは思わないが、何か変わるのではないかと思った。だが、まずは邪魔されたくないので、男娼を宛がうことにしたのだ。
「ああ」
「ああって、もうそんなに拗ねないで頂戴よ」
「何を拗ねる?」
「だから、男娼のことよ。嫉妬しているんでしょう?別に愛したわけではないから心配しないで」
オリビアは勝ち誇った顔をして、バトワスを流し目で見つめて、口角を上げた。
「はあ…そんな話なら出て行ってくれ」
「もう、そんなに拗ねないでって言っているでしょう?これからの私たちのためのスパイスだと思えばいいのよ」
「許可を得ているのだから、好きにすればいい」
折角、当分公務に集中が出来て、穏やかだったのに、また何を言い出すのか。この部屋にオリビアがいることですら、既に苛立つようになっていた。
「んもう!どうしたら機嫌を直してくれるの?」
「何を言っているんだ?君が邪魔をしているから、機嫌が悪いんだ。男娼を呼びたいなら呼べばいいだろう?出て行ってくれ」
オリビアにもう男娼を呼ぶ予算はない。自分で用意すれば可能かもしれないが、実家もお金に余裕があるわけではないと言われている。
ならばこの疼きを解消する相手はバトワスしかいない。だから、仕方ないから相手にしてあげるという思いであった。
「今日はバトワスが相手をしてくれていいのよ?大丈夫、比べたりしないわ」
オリビアはバトワスの肩に触れようとしたが、払い退けられた。
「気持ち悪い…」
「え?」
「気持ち悪いって言ったんだよ」
「何ですって!」
「自分が同じことを言われたらどう思う?私が若くて美しい娼婦を呼んで、同じこと言ったらどう思う?」
「っ」
オリビアは失言だったと気付いたが、言い方に腹が立っていた。
「だから、気持ち悪いって言ったんだよ!男娼を呼んで、勝った気でもいるのか?君が自分の責任で呼んだんだ、私には関係ない」
「関係ないって、嫉妬したからって、そんな言い方しなくてもいいじゃない」
「嫉妬ね…」
バトワスは自信が許可を求めたのに、オリビアは嫉妬していると思っているとは、なんて都合のいい頭なのだと思った。
「勢いで言ってしまったけど、私が呼ばないと思っていたんでしょう!強がらなくてもいいのよ」
オリビアはバトワスがもし、娼婦と関係を持ったと聞いたら、怒り狂っただろうが、自分は男娼と関係を持ったことで、バトワスに優越感を感じていた。
「いや、ずっと考えていたよ」
「…え、どういう意味?」
「君のその並々ならぬ性欲を、どうにかならないかと思っていたんだ。私だってこんなことは言いたくないが、言わないと改善されないだろう?私にはやらなければならない、優先順位があるんだ」
オリビアはバトワスの言い方に恥ずかしい気持ちもあったが、抱いて欲しいということはそんなに批判されることなのかと、怒りが勝った。
「君が引いてくれれば、私だけの胸に留めて置くつもりだったが、邪魔ばかりして我慢の限界だった。だから男娼の許可を願い出たんだ、満足したのだろう?ならいいじゃないか?何が不満なんだ?」
「不満って…」
オリビアは口にはしないが、バトワスなんかよりも満足はしたが、楽しみ過ぎたせいで、呼ばないと物足りなくなったなんて言えない。
そんなことを言えば、さらにバトワスに性欲のことを馬鹿にされることは、目に見えている。
「不貞行為でもされたら、さらに子どもたちの婚約者も、国にも混乱を招く」
「不貞なんてしないわ」
「そうしてくれ」
だが一方で、バトワスは不貞をすれば、離縁が出来るとも考えたこともあった。
そうなったところで、バトワスが象徴となっているわけではないので、恋愛結婚のイメージが払拭出来るとは思わないが、何か変わるのではないかと思った。だが、まずは邪魔されたくないので、男娼を宛がうことにしたのだ。
3,197
お気に入りに追加
6,514
あなたにおすすめの小説
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
過去に戻った筈の王
基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。
婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。
しかし、甘い恋人の時間は終わる。
子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。
彼女だったなら、こうはならなかった。
婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。
後悔の日々だった。
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
式前日に浮気現場を目撃してしまったので花嫁を交代したいと思います
おこめ
恋愛
式前日に一目だけでも婚約者に会いたいとやってきた邸で、婚約者のオリオンが浮気している現場を目撃してしまったキャス。
しかも浮気相手は従姉妹で幼馴染のミリーだった。
あんな男と結婚なんて嫌!
よし花嫁を替えてやろう!というお話です。
オリオンはただのクズキモ男です。
ハッピーエンド。
王家の面子のために私を振り回さないで下さい。
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。
愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。
自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。
国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。
実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。
ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる