13 / 185
返還1
しおりを挟む
オズレ王国から第一王女が、禁止事項に触れたから国に帰すと連絡を貰い、バトワスは驚いた。
問題を起こすなら第二王女だろうと、なんとなく思っていたが、フォンターナ家のことを安易に言い出したように、第一王女は優秀だったというわけでなく、一番年上だからという気持ちだけであった。
「何てことだ…一体何をしたんだ…」
「積極的に令息に声を掛けられたようです。令嬢にも声を掛けられていたので、しばらくは静観されていたようですが、声を掛けられた令息たちが、不愉快だと訴えられたようで、禁止事項に触れたとなったそうです」
「なぜ…」
「二ヶ月も持たないとは思いませんでした」
再び外交担当のトーイ・ジルセムが、信じられないという顔を隠すこともなく言い放った。バトワスも返す言葉なかった。
「慰謝料は…」
「目に余る段階で訴えていただけたので、慰謝料までは請求されなかったようです」
「良かったというべきなんだろうな…」
「ただし、現在既に留学している方はそのまま受け入れるが、王女ですらこのような振る舞いをするなら、今後は考えさせてもらうということです。オズレ王国へは留学は難しくなるでしょう」
「…そうだな」
これでまた留学先が減ったということになる。数日後、不貞腐れた様子の第一王女であるアマリリスが帰国した。
「サインをして行ったんじゃないのか!」
「だって、素晴らしい国なのよ?王女である私が、結婚相手を探して何が悪いのよ!婚約者だっていない方にしか、話し掛けていないわ」
アマリリスはオズレ王国の豊かさに感動し、絶対に嫁ぎ先を見付けるのだと躍起になった。王女なのだから王族か、高位貴族が相手でないといけないとは思ったが、王族には会う機会すらなかった。
だから、公爵家、侯爵家に狙いを絞った。婚約者がいるのかはきちんと聞き、いないという方だけに学園やパーティーで話し掛けた。
「約束して行っただろう…」
「だから、婚約者がいない方なの!」
「一緒にいる方に婚約者がいる方いたのだろう?」
恋愛結婚を持ち込まないとしている上に、相手は必要な質問は答えていたが、必要とは思えない質問は断っていたこと、話し掛けているグループの中には婚約者がいる方もいたが、配慮する様子はなかったそうだ。
「それはたまたまいらしたから、無視するのも可哀想じゃない。お父様は婚約者がいるからって、無視しろって言うの?」
「積極的に話し掛けていたという報告を受けている」
身の回りの世話をさせるのに連れて行った侍女とメイドも、嫁ぐ際に一緒に連れて行くと言われて、止めることもしなかったそうだ。
「だから、その場にいたから話し掛けていただけなの」
「婚約者がどのような方なのか聞く必要があるのか?」
婚約者がいる方が好みだったアマリリスは、言い寄ったわけではないと言いながらも、婚約者について聞き出そうとしていた。
「世間話じゃない!そんなこと言われたら何も話せないわ」
「勉強しに行ったのだろう?」
「友人を作るのも必要な事じゃない!」
「最初は令嬢に話し掛けていたが、結局は令息ばかりに話し掛けていたそうじゃないか。友人というのなら、令嬢だろう」
「令嬢は王女だからと、気後れされたのよ!」
一応、案内をしてくれた令嬢にも話し掛けたが、形式上話しただけで、話も弾まなかったので、その後は話すことはなかった。
「それで、令息に積極的に話し掛ければ、下心があるとみなされて、さらに遠巻きにされるとは思わなかったのか?」
「下心なんて…」
アマリリスは下心と言われることに、酷く恥ずかしく思った。
「下心じゃないか」
「ち、違うわ…そんな下品なことはしていないわ」
「王女です、王女ですと言いながら、令息に相手が断っているのに、話し掛けるのは下品ではないのか?」
「それは…」
問題を起こすなら第二王女だろうと、なんとなく思っていたが、フォンターナ家のことを安易に言い出したように、第一王女は優秀だったというわけでなく、一番年上だからという気持ちだけであった。
「何てことだ…一体何をしたんだ…」
「積極的に令息に声を掛けられたようです。令嬢にも声を掛けられていたので、しばらくは静観されていたようですが、声を掛けられた令息たちが、不愉快だと訴えられたようで、禁止事項に触れたとなったそうです」
「なぜ…」
「二ヶ月も持たないとは思いませんでした」
再び外交担当のトーイ・ジルセムが、信じられないという顔を隠すこともなく言い放った。バトワスも返す言葉なかった。
「慰謝料は…」
「目に余る段階で訴えていただけたので、慰謝料までは請求されなかったようです」
「良かったというべきなんだろうな…」
「ただし、現在既に留学している方はそのまま受け入れるが、王女ですらこのような振る舞いをするなら、今後は考えさせてもらうということです。オズレ王国へは留学は難しくなるでしょう」
「…そうだな」
これでまた留学先が減ったということになる。数日後、不貞腐れた様子の第一王女であるアマリリスが帰国した。
「サインをして行ったんじゃないのか!」
「だって、素晴らしい国なのよ?王女である私が、結婚相手を探して何が悪いのよ!婚約者だっていない方にしか、話し掛けていないわ」
アマリリスはオズレ王国の豊かさに感動し、絶対に嫁ぎ先を見付けるのだと躍起になった。王女なのだから王族か、高位貴族が相手でないといけないとは思ったが、王族には会う機会すらなかった。
だから、公爵家、侯爵家に狙いを絞った。婚約者がいるのかはきちんと聞き、いないという方だけに学園やパーティーで話し掛けた。
「約束して行っただろう…」
「だから、婚約者がいない方なの!」
「一緒にいる方に婚約者がいる方いたのだろう?」
恋愛結婚を持ち込まないとしている上に、相手は必要な質問は答えていたが、必要とは思えない質問は断っていたこと、話し掛けているグループの中には婚約者がいる方もいたが、配慮する様子はなかったそうだ。
「それはたまたまいらしたから、無視するのも可哀想じゃない。お父様は婚約者がいるからって、無視しろって言うの?」
「積極的に話し掛けていたという報告を受けている」
身の回りの世話をさせるのに連れて行った侍女とメイドも、嫁ぐ際に一緒に連れて行くと言われて、止めることもしなかったそうだ。
「だから、その場にいたから話し掛けていただけなの」
「婚約者がどのような方なのか聞く必要があるのか?」
婚約者がいる方が好みだったアマリリスは、言い寄ったわけではないと言いながらも、婚約者について聞き出そうとしていた。
「世間話じゃない!そんなこと言われたら何も話せないわ」
「勉強しに行ったのだろう?」
「友人を作るのも必要な事じゃない!」
「最初は令嬢に話し掛けていたが、結局は令息ばかりに話し掛けていたそうじゃないか。友人というのなら、令嬢だろう」
「令嬢は王女だからと、気後れされたのよ!」
一応、案内をしてくれた令嬢にも話し掛けたが、形式上話しただけで、話も弾まなかったので、その後は話すことはなかった。
「それで、令息に積極的に話し掛ければ、下心があるとみなされて、さらに遠巻きにされるとは思わなかったのか?」
「下心なんて…」
アマリリスは下心と言われることに、酷く恥ずかしく思った。
「下心じゃないか」
「ち、違うわ…そんな下品なことはしていないわ」
「王女です、王女ですと言いながら、令息に相手が断っているのに、話し掛けるのは下品ではないのか?」
「それは…」
4,285
お気に入りに追加
7,811
あなたにおすすめの小説

どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。

欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]
ラララキヲ
恋愛
「お姉様、それ頂戴!!」が口癖で、姉の物を奪う妹とそれを止めない両親。
妹に自分の物を取られた姉は最初こそ悲しんだが……彼女はニッコリと微笑んだ。
「わたくしの物が欲しいのね」
「わたくしの“お古”じゃなきゃ嫌なのね」
「わたくしが一度持った物じゃなきゃ欲しくない“欲しがりマリリン”。貴女はなんて“可愛”そうなのかしら」
姉に憐れまれた妹は怒って姉から奪った物を捨てた。
でも懲りずに今度は姉の婚約者に近付こうとするが…………
色々あったが、それぞれ幸せになる姉妹の話。
((妹の頭がおかしければ姉もそうだろ、みたいな話です))
◇テンプレ屑妹モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい。
◇なろうにも上げる予定です。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。

家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?
しゃーりん
恋愛
婚約者を妹に取られる。
そんな小説みたいなことが本当に起こった。
婚約者が姉から妹に代わるだけ?しかし私はそれを許さず、慰謝料を請求した。
婚約破棄と共に跡継ぎでもなくなったから。
仕事だけをさせようと思っていた父に失望し、伯父のいる辺境に行くことにする。
これからは辺境で仕事に生きよう。そう決めて王都を旅立った。
辺境で新たな出会いがあり、付き合い始めたけど?というお話です。

素直になるのが遅すぎた
gacchi
恋愛
王女はいらだっていた。幼馴染の公爵令息シャルルに。婚約者の子爵令嬢ローズマリーを侮辱し続けておきながら、実は大好きだとぬかす大馬鹿に。いい加減にしないと後悔するわよ、そう何度言っただろう。その忠告を聞かなかったことで、シャルルは後悔し続けることになる。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる