悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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禁止事項2

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「伝手はあるのか?どこから仕入れる?どうやって運ぶ?」
「そ、それは…誰かに手伝って貰って」

 王女として教育は受けているが、商会をどうやって作るのかすら分かっておらず、手伝ってもらうにしてもフォンターナ家のようにとはいくはずもない。

「仕入れ先も、運ぶのも誰かに手伝って貰って、そんなことをしていたら、予算はすぐに足りなくなるだろうな」
「それは…」
「頑張ればいいんじゃない?」

 第二王女が馬鹿にしたように言い、第一王女は目を吊り上げて憤慨した。

 第二王女は同じ方向を向いて、同じ気持ちだったはずの第一王女が、自分だけいい思いをしようと裏切ったことで、腹を立てていた。

「っな!」
「自分が言い出したんじゃない」

 仲違いさせたいわけではないバトワスは、仲裁することにした。

「はあ…落ち着きなさい。元フォンターナ家の領地を、誰かに譲ることは確かに考えていた。だが、いくら頑張っても、フォンターナ家のような裕福な家に戻ることはない。楽をしたいと考えているのなら、考え直しなさい」
「…はい」
「短期留学は、どうする?向こうにも申し入れをしなければならない」

 王女たちはもうしばらく考えたいと言い、部屋を後にした。

 その後、第一王女と第二王女は結局、険悪になってしまい、元フォンターナ家の爵位と領地のことはまだ決めることは出来ないとした。

 順番に考えれば、第二王子だが、現実的に考えればパベルが相応しいのではないかと言われていたが、豊かにすることが出来ないとするならば、誰でもいいのかもしれないと思っていた。

 そして、王女たちは短期留学はやはり行きたいと言い出し、禁止事項にサインをして、問題を絶対に起こさないように伝えて、第一王女はオズレ王国へ、第二王女はトリンス王国へと、別々の国に旅立って行った。

 ちなみにパベルは、アーカス王国へ留学している。

 第一王子と第二王子は、期間をずらして行く予定になっていたが、王女たちは短期留学であるため、二ヶ月で戻って来る。

 王子たちが行くのは、王女二人が戻り次第ということになった。

 オリビアはフォンターナ家を探しているようだったが、見付かっていないようで、苛立っていた。

「どうして見付からないのよ」
「平民になったのだから、なかなか見付からないのも当然だろう」
「でも、商会をやっているのではなくて?」

 実家に頼んで、商会からフォンターナ家、アニバーサリーで探して貰っていたが、見付かっていない。

 どこの国にいるのかも分からないので、規模は大きくなり、父親にも大規模な捜索をする余裕はないと言われてしまい、そんなに遠くには行っていないだろうと、隣国であるアーキュ王国しか捜索は出来ていない。

「商売人は貴族と同じで、なかなか口を割らないだろう…侯爵家に金を使う余裕があるのか?」
「っな!あるわよ」
「それなら、子どもたちの予算を出してやればいいじゃないか」

 そんな余裕があるとは思えないが、あるのならば少しでも予算を増やしてやることが出来ただろう。

「でも、戻ってくれば、また商会が使えるのよ?」
「戻って来るはずないだろう…」
「そんなはずないわ、王太子妃が望んでいると言えば、戻ってくるのが当然でしょう?貴族に戻してあげると言えば食いつくはずよ」

 陛下に爵位を返上したというのに、王太子妃が言ったところで戻るはずがない。

「私も人のことは言えないが、娘を虐げで置いて、夫人が戻ると思うか?」
「虐げてなどいないわ!」
「不貞を先にしたのは、ジェフだ」
「二人は想い合っていたのだから」
「だが、ジェフには婚約者がいたんだ…シャーリンと出会う前からな」

 バトワスも受け売りではあるが、傍から見た現実である。

「それでも、想い合っているのだから、身を引くべきでしょう!」

 オリビアはバトワスに縁談の話が出ていた王女にも、同じように思っていた。だからこそ、王女に言えないことをエルムにぶつけていたのだ。
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