4 / 102
子沢山
しおりを挟む
十数年後、過ごし易い気候だと言われ、保養地として人気のあったアジェル王国だったが、今では子沢山のアジェル王国と呼ばれるようになっていた。
他国からそれならばと子沢山を期待されて、嫁いでいった者もいたが、二人産むことが出来たことが最高で、妊娠すらしなかった者もいた。
そのまま結婚を継続して貰えているのはいい方で、離縁された者もいる。
他国に嫁がせた家族は、援助を期待していたが、子沢山ではないではないかと言われ、ゆえに妻として望まれることは次第になくなっていった。
水不足も雨期の時期の雨の日が減り、深刻化していた。
雨が降らなければ高温多湿にならないので、多少暑さは軽減されるが、水不足は解消されない悪循環となった。
徐々に、お風呂は贅沢な時間となっていた。
暑いのに汗を流すことも出来ないことは、大変不快なことになる。僅かな水でタオルで体を拭くようになり、平民は仕方ないと思えても、貴族は耐えられなかったが、優遇されようにも水がない。
そして、貴族の子どもたちの婚約者探しは深刻であった。
後継者争いも悪化して、後継者だと横暴に振舞う者も出始めたり、子どもの数だけ問題が起きた。
ジェフとシャーリンも八人の子どもが生まれていた。子沢山で幸せかと思いきや、日々の生活も優雅とは呼べない状態であった。シャーリンは愛らしく、細い身体が立て続けの妊娠によって、体重は20キロは増えていた。
子どもが多いので、似たような夫人は多いが、体重が増えるということは裕福なのだろうと見られてもいた。
シャーリンの子爵家よりはお金はあったが、裕福とは言えないマクローズ伯爵家も貴族に婿や嫁に行くなら、持参金だけでも足りない。
相手が見付かっても、持参金が払えないのである。
下手に伯爵家であるために、持参金なしということはあり得ない。子爵家も裕福でない上に、子爵家も五人の子どもがいる。そのようなお金は用意が出来ない。
平民であれば働きに出ることも、結婚することも、絶対ではないので、柔軟性がある。だが、貴族は爵位が高ければ高いほど、余程のことがない限り、働きに出来るということはない。
いっそ潔く、働きに出るという決断をする者も出て来るかもしれない状況である。
そもそも、王太子夫妻も九人の子どもがおり、婿入り、嫁入り先が見付かっていない状態である。
王族だから沢山いても簡単に見付かるだろうと思っていた。
水不足はどうにもならないとしても、支援を期待して、婚約を打診するも、恋愛結婚を推奨されるお国柄はちょっとと言われてしまい、恋愛結婚は想い合う夫婦になれると訴えた。
だが、婚約者がいても他の異性にということもあるのだろうと言われ、皆が恋愛結婚なわけではないと言っても、王太子殿下は恋愛結婚を認めてらっしゃるのでしょう、ならばそう言った相手を見付けられた方がいいと言われてしまう。
大国であればあるほど、その理由で断られる。
自国で困っていない国ならば、国内で結婚すればいい、だが支援が欲しい。そもそも、国内の貴族も子どもが多過ぎて、婚約が難航している。
王家はまさか子どもの多さに困ることになるとは思わなかった。
元をたどれば、王太子殿下は大国の王女との婚約が決まりかけていたが、国の様子が変わったことで、話はなかったことになってしまっていた。だが、国内に親しくしていたオリビアがいたために、良かったと言って結婚したのである。
それなのに、何も考えずに九人の子どもがいる。自身が国王になった際に、一人王太子になり、優秀な者を補佐に一人付けてもいい、フォンターナ伯爵家も王家預かりになっているので、一人には与えてもいいが、残り六人を置いておくことは出来ない。国内で六人も縁組は難しい。
「一体、どうすればいいんだ…」
「また駄目だったの?」
「ああ、早く決めないと、見付からないままになってしまう」
他国からそれならばと子沢山を期待されて、嫁いでいった者もいたが、二人産むことが出来たことが最高で、妊娠すらしなかった者もいた。
そのまま結婚を継続して貰えているのはいい方で、離縁された者もいる。
他国に嫁がせた家族は、援助を期待していたが、子沢山ではないではないかと言われ、ゆえに妻として望まれることは次第になくなっていった。
水不足も雨期の時期の雨の日が減り、深刻化していた。
雨が降らなければ高温多湿にならないので、多少暑さは軽減されるが、水不足は解消されない悪循環となった。
徐々に、お風呂は贅沢な時間となっていた。
暑いのに汗を流すことも出来ないことは、大変不快なことになる。僅かな水でタオルで体を拭くようになり、平民は仕方ないと思えても、貴族は耐えられなかったが、優遇されようにも水がない。
そして、貴族の子どもたちの婚約者探しは深刻であった。
後継者争いも悪化して、後継者だと横暴に振舞う者も出始めたり、子どもの数だけ問題が起きた。
ジェフとシャーリンも八人の子どもが生まれていた。子沢山で幸せかと思いきや、日々の生活も優雅とは呼べない状態であった。シャーリンは愛らしく、細い身体が立て続けの妊娠によって、体重は20キロは増えていた。
子どもが多いので、似たような夫人は多いが、体重が増えるということは裕福なのだろうと見られてもいた。
シャーリンの子爵家よりはお金はあったが、裕福とは言えないマクローズ伯爵家も貴族に婿や嫁に行くなら、持参金だけでも足りない。
相手が見付かっても、持参金が払えないのである。
下手に伯爵家であるために、持参金なしということはあり得ない。子爵家も裕福でない上に、子爵家も五人の子どもがいる。そのようなお金は用意が出来ない。
平民であれば働きに出ることも、結婚することも、絶対ではないので、柔軟性がある。だが、貴族は爵位が高ければ高いほど、余程のことがない限り、働きに出来るということはない。
いっそ潔く、働きに出るという決断をする者も出て来るかもしれない状況である。
そもそも、王太子夫妻も九人の子どもがおり、婿入り、嫁入り先が見付かっていない状態である。
王族だから沢山いても簡単に見付かるだろうと思っていた。
水不足はどうにもならないとしても、支援を期待して、婚約を打診するも、恋愛結婚を推奨されるお国柄はちょっとと言われてしまい、恋愛結婚は想い合う夫婦になれると訴えた。
だが、婚約者がいても他の異性にということもあるのだろうと言われ、皆が恋愛結婚なわけではないと言っても、王太子殿下は恋愛結婚を認めてらっしゃるのでしょう、ならばそう言った相手を見付けられた方がいいと言われてしまう。
大国であればあるほど、その理由で断られる。
自国で困っていない国ならば、国内で結婚すればいい、だが支援が欲しい。そもそも、国内の貴族も子どもが多過ぎて、婚約が難航している。
王家はまさか子どもの多さに困ることになるとは思わなかった。
元をたどれば、王太子殿下は大国の王女との婚約が決まりかけていたが、国の様子が変わったことで、話はなかったことになってしまっていた。だが、国内に親しくしていたオリビアがいたために、良かったと言って結婚したのである。
それなのに、何も考えずに九人の子どもがいる。自身が国王になった際に、一人王太子になり、優秀な者を補佐に一人付けてもいい、フォンターナ伯爵家も王家預かりになっているので、一人には与えてもいいが、残り六人を置いておくことは出来ない。国内で六人も縁組は難しい。
「一体、どうすればいいんだ…」
「また駄目だったの?」
「ああ、早く決めないと、見付からないままになってしまう」
3,934
お気に入りに追加
6,788
あなたにおすすめの小説
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?
しゃーりん
恋愛
婚約者を妹に取られる。
そんな小説みたいなことが本当に起こった。
婚約者が姉から妹に代わるだけ?しかし私はそれを許さず、慰謝料を請求した。
婚約破棄と共に跡継ぎでもなくなったから。
仕事だけをさせようと思っていた父に失望し、伯父のいる辺境に行くことにする。
これからは辺境で仕事に生きよう。そう決めて王都を旅立った。
辺境で新たな出会いがあり、付き合い始めたけど?というお話です。
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。
甘やかされすぎた妹には興味ないそうです
もるだ
恋愛
義理の妹スザンネは甘やかされて育ったせいで自分の思い通りにするためなら手段を選ばない。スザンネの婚約者を招いた食事会で、アーリアが大事にしている形見のネックレスをつけているスザンネを見つけた。我慢ならなくて問い詰めるもスザンネは知らない振りをするだけ。だが、婚約者は何か知っているようで──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる