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皇女と王太子2
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「どうしようもないですね、瞳もなんて言い出しそうですね」
「まあ、怖い。抉らるの?」
「幼い頃、殿下の瞳を羨ましい、私もあれが良かったなんて言っていましたよ」
その後で、『でも人形の目みたいで、生きていないみたい』という余計な一言を放っていた。
「あげられるものならすべて差し上げたかったけど、あの子は何も得られなかったでしょうね。だからこれで良かったのよ。で、王太子妃は決まりそう?」
「ちなみにアウラージュ王太子妃殿下に興味は?」
「リオン、あなた私が気付いていないと思っているの?私と揃いのドレスを着たがる可愛い子を」
「っななな!」
リオンは真っ赤になって、壁際に寄って行き、護衛たちが何かあったのかと、あたふたしてしまっている。リオンは胸に秘めただけで、誰にも言ったことはなかった。
ホワイトア公爵家とブラックア公爵家は仲が悪いわけではないが、交流はない。ホワイトアは王家の監視者、ブラックアは国の影、立場が違うからだ。
「ステフならいい妃になると思うけど、あなたをどう思っているかは知らないわ。さすがに色恋に口を出すのは性分じゃないもの」
ステフはブラックア公爵家のステファニーである。アウラージュは立場上、気配を気にしながら生きていた、ゆえに懐いてくれるステファニーが側にいるとリオンの視線に気付く。おそらく、兄・アルバートも気付いているだろう。
「ええ…ブラックア公爵家、怖いんですよ」
「そうかしら?おじ様も優しいじゃない」
「どこが!」
「えっ、皆には厳しいの?アルバートにだけだと思っていたけど」
ブラックア公爵は非常にアルバートに厳しい。後継者である以上、当たり前なのだが、ヒーヒー言っている。
「殿下は執事をように連れていますけどね、物凄く怖いんですよ!あと、騎士団長もですよ?気付いていないと思っていましたけど」
「えっ、騎士団長もなの?」
「そうですよ、威圧感で気絶すると言われています」
「しないわよ!人のいいおじ様じゃない」
「いやいや、殿下は幼い頃から知っているせいもあるでしょうけど、怖いんですよ。あとアルバートも!」
騎士団長は幼き頃のアウラージュ護衛であるため、怖いと思ったことは一度もない。当時の口癖は『もう、殿下~』『ちょっと休憩しましょうよ』であった。アルバートは友人なので、言わずもがな。
「えっ、アルバートも?」
「だからステファニー嬢になかなか近寄れなくて…」
「そうだったの、頑張りなさい!王太子殿下なんだから!ねっ!」
「ちょっと投げやりではありませんか」
「じゃあ、私の部屋、ステフにあげたら喜ぶかもしれないわよ?家具とかそのままにしてあるから、見に来ないかって誘ってみたら?」
「いいんですかぁ!ありがとうございます」
「でも、押し倒したりは駄目よ?」
「そんなことしませんよ」
リオンは涼しげで、卒なくこなすように見え、令嬢の人気も高かった。それが王太子となれば、さらに狙う者も多いだろうが、責任を持てる者でなければならない。その点、ステファニーなら申し分ないだろう。
アウラージュの前でリオンは元から今のような雰囲気だった。監視者としてわざとかと思っていたが、そうではなかったようだ。だが、国王陛下になる重圧を考えれば、その方がいいかもしれない。
きっと、アウラージュが降り、姿を消している間、戻らないと分かった時、ホワイトアとしての覚悟を徐々に決めただろう。角度が違うだけで、生まれ持ったという点ではアウラージュと同じではある。
でもきっといい王になることだろう。アウラージュはそう思っている。
「じゃあ、そろそろ行くわ。あと、アルバートも多分、気付いているわよ」
「えええ!別れ際に言うことですか~ちょっとぉ!」
「まあ、怖い。抉らるの?」
「幼い頃、殿下の瞳を羨ましい、私もあれが良かったなんて言っていましたよ」
その後で、『でも人形の目みたいで、生きていないみたい』という余計な一言を放っていた。
「あげられるものならすべて差し上げたかったけど、あの子は何も得られなかったでしょうね。だからこれで良かったのよ。で、王太子妃は決まりそう?」
「ちなみにアウラージュ王太子妃殿下に興味は?」
「リオン、あなた私が気付いていないと思っているの?私と揃いのドレスを着たがる可愛い子を」
「っななな!」
リオンは真っ赤になって、壁際に寄って行き、護衛たちが何かあったのかと、あたふたしてしまっている。リオンは胸に秘めただけで、誰にも言ったことはなかった。
ホワイトア公爵家とブラックア公爵家は仲が悪いわけではないが、交流はない。ホワイトアは王家の監視者、ブラックアは国の影、立場が違うからだ。
「ステフならいい妃になると思うけど、あなたをどう思っているかは知らないわ。さすがに色恋に口を出すのは性分じゃないもの」
ステフはブラックア公爵家のステファニーである。アウラージュは立場上、気配を気にしながら生きていた、ゆえに懐いてくれるステファニーが側にいるとリオンの視線に気付く。おそらく、兄・アルバートも気付いているだろう。
「ええ…ブラックア公爵家、怖いんですよ」
「そうかしら?おじ様も優しいじゃない」
「どこが!」
「えっ、皆には厳しいの?アルバートにだけだと思っていたけど」
ブラックア公爵は非常にアルバートに厳しい。後継者である以上、当たり前なのだが、ヒーヒー言っている。
「殿下は執事をように連れていますけどね、物凄く怖いんですよ!あと、騎士団長もですよ?気付いていないと思っていましたけど」
「えっ、騎士団長もなの?」
「そうですよ、威圧感で気絶すると言われています」
「しないわよ!人のいいおじ様じゃない」
「いやいや、殿下は幼い頃から知っているせいもあるでしょうけど、怖いんですよ。あとアルバートも!」
騎士団長は幼き頃のアウラージュ護衛であるため、怖いと思ったことは一度もない。当時の口癖は『もう、殿下~』『ちょっと休憩しましょうよ』であった。アルバートは友人なので、言わずもがな。
「えっ、アルバートも?」
「だからステファニー嬢になかなか近寄れなくて…」
「そうだったの、頑張りなさい!王太子殿下なんだから!ねっ!」
「ちょっと投げやりではありませんか」
「じゃあ、私の部屋、ステフにあげたら喜ぶかもしれないわよ?家具とかそのままにしてあるから、見に来ないかって誘ってみたら?」
「いいんですかぁ!ありがとうございます」
「でも、押し倒したりは駄目よ?」
「そんなことしませんよ」
リオンは涼しげで、卒なくこなすように見え、令嬢の人気も高かった。それが王太子となれば、さらに狙う者も多いだろうが、責任を持てる者でなければならない。その点、ステファニーなら申し分ないだろう。
アウラージュの前でリオンは元から今のような雰囲気だった。監視者としてわざとかと思っていたが、そうではなかったようだ。だが、国王陛下になる重圧を考えれば、その方がいいかもしれない。
きっと、アウラージュが降り、姿を消している間、戻らないと分かった時、ホワイトアとしての覚悟を徐々に決めただろう。角度が違うだけで、生まれ持ったという点ではアウラージュと同じではある。
でもきっといい王になることだろう。アウラージュはそう思っている。
「じゃあ、そろそろ行くわ。あと、アルバートも多分、気付いているわよ」
「えええ!別れ際に言うことですか~ちょっとぉ!」
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