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話し合い6
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「な、に、よ…お父様まで私を怒るの…おかしいわよ、私だってなりたいなんて思っていなかったわ。それなのに、お姉様がいないくなるから!仕方なく…」
「出来ないなら、降りれば良かったじゃない」
「だって、お父様もルカス様も頑張れって」
「なら頑張れば良かったじゃない。降りもしない、頑張りもせず、何してたの?」
「そ、それは…」
時が過ぎて元通りになればいいと思っていたなどと言えば、どうせまた怒られることになることは分かる。お父様もルカス様も、もう庇ってくれそうにもない。
「私への都合のいい話は何だったの?私を戻して国王の娘で、次期国王の妹になりたかったってところ?ルカス様もその方がシュアリーに価値があるものね」
「っな、でも普通はそうじゃない、お姉様がずっと王太子だったんだから。戻ってよ、お姉様が戻れば元通りじゃない」
「私は戻りません」
「じゃあ、どうなるの…」
ここまで説明してようやくシュアリーは自身の身が、どこに置かれるのか不安になった。どうにかしてくれるが消え始めたのだろう。
「折角、すぐに引きずり降ろさず、1年は様子を見ていたのに。シュアリーはホワイトアが納得出来る王になれると言える?王太子教育だってタダじゃないのよ?」
「…それは、でもお姉様だって、今まで王族として育てて貰ったじゃない!」
「ええ、だから私はすべて清算したの」
「清算?」
「ええ、ブラックア公爵に頼んで、私にこれまで掛かった費用を算出して貰って、私の資産を預けていたサリキュース帝国から、コンクラート王国に返したわ。公務の分は差し引かれたようだけど、それ以外すべてね」
「返した?」
陛下とブラックア公爵は既に知っていたが、ルカスとバートラ公爵はそこまでしていたのかと、驚愕の顔をしている。だがバートラ公爵は、だから婚約解消の際にすべて返されたのだと理解した。
「ええ、そうすれば、税金泥棒とは言えないでしょう?」
「でもずるいわ、帝国に出して貰ったんでしょう」
「そうね、確かに両親の遺産はあるけど、私が研究で稼いだお金でもあるわ」
「は?」
父と母の資産はすべてアウラージュに渡っているが、高額なドレスや宝石はエレンから毎回贈られており、あまり外に出ないので、侍女も護衛も最小限。あとは食費、生活の人件費、消耗品費など、さらにエレンが色を付けて清算している。
「何かが問題があって?王族も皇族も、稼ぐことは禁止ではないわ。むしろ、国税で贅沢するよりいいことではないかしら?」
「そんなことしていたの…」
「そうよ」
「王太子教育をしながら?」
「ええ、寝る間を惜しんでね」
「そんな…」
アウラージュは研究体質だったために、苦にならない。ブラックア公爵家に籠って、ずっと研究開発をしていたのだ。
時折、いや度々、エレン皇帝から眩しいくらいの煌びやかな帝国へお誘いの文が届いたが、忙しいのと返事をされていた。
「立太子式の際に、私は王族を抜けます。その際に清算したことを公に発表をする予定です。私の籍はアウラージュ・フラウ・サリキュース、1つだけになります」
「そんな勝手なこと、自分だけ」
「あなたも返してしまえば?税金泥棒は避けられるわよ?」
「…えっ、でも」
「私はあなたにすべてあげたわ。ドレスや宝石など形のある物は欲しがらなかったけど、私は陛下に親のような愛は求めなかったし、部屋も広い方を、食べ物も大きい方をあげたでしょう?あとは王太子も婚約者もね」
「でもお姉様は皇位を」
シュアリーは言葉にはしなかったが、アウラージュと両親が違うことを知り、親がいなくて可哀想と思いながらも、アウラージュだけが国王と皇女から産まれていると知り、ずるい!私も皇女から産まれるべきだったなどと、思っていたのだ。
「皇位はあなたは持てないもの。あげようがないわ」
「そうだけど、友人だって」
「友人はあげられるものではないわ、いくらすべてと言えど、私の都合であげられるものだけに決まっているでしょう?そんなことも分からないの?」
「…」
「都合のいい選択肢はないのよ。答えは出来るか、出来ないかよ」
「アウラージュ、私が決める。シュアリーもそれでいいな?」
「えっ、でもお父様」
「私が王だ、決めるのは私だ。分かるな?」
「…はい」
「出来ないなら、降りれば良かったじゃない」
「だって、お父様もルカス様も頑張れって」
「なら頑張れば良かったじゃない。降りもしない、頑張りもせず、何してたの?」
「そ、それは…」
時が過ぎて元通りになればいいと思っていたなどと言えば、どうせまた怒られることになることは分かる。お父様もルカス様も、もう庇ってくれそうにもない。
「私への都合のいい話は何だったの?私を戻して国王の娘で、次期国王の妹になりたかったってところ?ルカス様もその方がシュアリーに価値があるものね」
「っな、でも普通はそうじゃない、お姉様がずっと王太子だったんだから。戻ってよ、お姉様が戻れば元通りじゃない」
「私は戻りません」
「じゃあ、どうなるの…」
ここまで説明してようやくシュアリーは自身の身が、どこに置かれるのか不安になった。どうにかしてくれるが消え始めたのだろう。
「折角、すぐに引きずり降ろさず、1年は様子を見ていたのに。シュアリーはホワイトアが納得出来る王になれると言える?王太子教育だってタダじゃないのよ?」
「…それは、でもお姉様だって、今まで王族として育てて貰ったじゃない!」
「ええ、だから私はすべて清算したの」
「清算?」
「ええ、ブラックア公爵に頼んで、私にこれまで掛かった費用を算出して貰って、私の資産を預けていたサリキュース帝国から、コンクラート王国に返したわ。公務の分は差し引かれたようだけど、それ以外すべてね」
「返した?」
陛下とブラックア公爵は既に知っていたが、ルカスとバートラ公爵はそこまでしていたのかと、驚愕の顔をしている。だがバートラ公爵は、だから婚約解消の際にすべて返されたのだと理解した。
「ええ、そうすれば、税金泥棒とは言えないでしょう?」
「でもずるいわ、帝国に出して貰ったんでしょう」
「そうね、確かに両親の遺産はあるけど、私が研究で稼いだお金でもあるわ」
「は?」
父と母の資産はすべてアウラージュに渡っているが、高額なドレスや宝石はエレンから毎回贈られており、あまり外に出ないので、侍女も護衛も最小限。あとは食費、生活の人件費、消耗品費など、さらにエレンが色を付けて清算している。
「何かが問題があって?王族も皇族も、稼ぐことは禁止ではないわ。むしろ、国税で贅沢するよりいいことではないかしら?」
「そんなことしていたの…」
「そうよ」
「王太子教育をしながら?」
「ええ、寝る間を惜しんでね」
「そんな…」
アウラージュは研究体質だったために、苦にならない。ブラックア公爵家に籠って、ずっと研究開発をしていたのだ。
時折、いや度々、エレン皇帝から眩しいくらいの煌びやかな帝国へお誘いの文が届いたが、忙しいのと返事をされていた。
「立太子式の際に、私は王族を抜けます。その際に清算したことを公に発表をする予定です。私の籍はアウラージュ・フラウ・サリキュース、1つだけになります」
「そんな勝手なこと、自分だけ」
「あなたも返してしまえば?税金泥棒は避けられるわよ?」
「…えっ、でも」
「私はあなたにすべてあげたわ。ドレスや宝石など形のある物は欲しがらなかったけど、私は陛下に親のような愛は求めなかったし、部屋も広い方を、食べ物も大きい方をあげたでしょう?あとは王太子も婚約者もね」
「でもお姉様は皇位を」
シュアリーは言葉にはしなかったが、アウラージュと両親が違うことを知り、親がいなくて可哀想と思いながらも、アウラージュだけが国王と皇女から産まれていると知り、ずるい!私も皇女から産まれるべきだったなどと、思っていたのだ。
「皇位はあなたは持てないもの。あげようがないわ」
「そうだけど、友人だって」
「友人はあげられるものではないわ、いくらすべてと言えど、私の都合であげられるものだけに決まっているでしょう?そんなことも分からないの?」
「…」
「都合のいい選択肢はないのよ。答えは出来るか、出来ないかよ」
「アウラージュ、私が決める。シュアリーもそれでいいな?」
「えっ、でもお父様」
「私が王だ、決めるのは私だ。分かるな?」
「…はい」
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