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真相2
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「パーティーのことはご存知でしょうか」
「はい、きちんとバートラ公爵令息様や、婚約者様の関係者がいないことを確認して、念のために知り合いのお子さんに見張って貰うようにお願いして、思い出作りだというので許可しました」
お友達が連れて来たという人も多かったそうなので、見張り役を潜り込ませるのは簡単だっただろう。
「なぜそのような考えになったのかは分かりますか」
「おそらく話し相手と言えば、メイドくらいで、その影響ではないかと思います」
「メイド?」
子どもの頃は知り合いはいたのだが、領地に行き、学園に入るまでは親しい人はいなかった。だからこそ学園に入って自由をばら撒くためにお友達を集めた。
「はい、貴族と平民のメイドです。貴族のメイドは結婚するために仕事を辞めることがよくあり、親が決めた婚約という場合もあります」
「ジルバードもそうだと?」
「はい…いくら否定しても、親に婚約させられたと思っています」
アウラージュはそうではないかと思っていた、確かに爵位が低くても利があれば違うが、ララは侯爵家のご令嬢で、政略結婚だと言われても、納得は出来る。
「ですが、平民のメイドは、平民同士なら礼儀も、マナーも関係なく、皆が平等だと、階級などなく、好きな人と結婚して、家のことは関係ないことだと」
平民でも格差があれば、苦労することは聞かなったのだろう。
「平民のことを知らなかったリラは、貴族もそうすればいいと思うようになり、でも皆がそう思うわけではありませんから、そこから学園の間だけでもと考えるようになったのだと思います」
「おそらく自分がそうだったように、魅力的に感じるだろうと思ったのでしょうね」
「…はい」
両親はリラを理解しようと、きちんと接していたことがよく分かる。閉じ込めて終わりということも出来ただろうが、そうはしなかったのだ。
「夜会は欠席させようと思わなかったのですか」
「それは…最後にバートラ公爵令息様を見たいと、見るだけいい、これが最後だからと言っており、私たちも側にいるから、見るだけならと思ってしまいました。申し訳ございません」
「あの夜に賭けていたんでしょうね」
「殿下、ヘーゼルの瞳は?」
「ヘーゼルの瞳に心当たりはありますか?娘さんはブラウンですよね?」
まさにアウラージュの神秘的なヘーゼルの瞳が、ブライン伯爵のブラックの瞳を射抜いている。
「はい。事実ではないと思いますが、バートラ公爵令息様にヘーゼルの瞳を褒められたと言っておりました。リラの瞳はブラウンだと言ったのですが、私はヘーゼルの瞳だとこだわるようになりまして」
「それであんなにムキになっていたのね」
違うと言い切るシュアリーに、リラは明らかに冷静さをなくしていた。
「これからどうするおつもりですか、怪我をさせる前に拘束しましたので、ジルバードとララに近寄らないという罰となると思います。両家にも承諾を得ています」
「ありがとうございました、本来なら私たちがすべきことでした。リラは前から考えていた、隣国の更生施設に入れるつもりです。脱走しても、こちらまで来ることはすぐには出来ませんから」
「そうですか、婚約するような予定もないのですね?」
「ございません」
「では妄言だったということね」
婚約者がいるようなことを話していたが、婚約した記録は既に調べて、いないことは分かっていた。ただ、約束程度であれば、いるのかもしれないと考えていた。だが、いないとすれば、架空の婚約者の恐怖でしかない。
「…リラが婚約者がいると言っていたのでしょうか」
「婚約の約束をしているだけだから、正確には婚約者ではない。いいお相手だとは思う、いずれしなければならないことは分かっている。だから今だけは自由に生きたいと思っているなどと言っていたそうです」
「そんなことを…全て偽りです」
リラと婚約したい相手などいるはずもない。リラが受け入れないこともだが、相手にも迷惑を掛けるだけだと、探そうともしなかった。
「はい、きちんとバートラ公爵令息様や、婚約者様の関係者がいないことを確認して、念のために知り合いのお子さんに見張って貰うようにお願いして、思い出作りだというので許可しました」
お友達が連れて来たという人も多かったそうなので、見張り役を潜り込ませるのは簡単だっただろう。
「なぜそのような考えになったのかは分かりますか」
「おそらく話し相手と言えば、メイドくらいで、その影響ではないかと思います」
「メイド?」
子どもの頃は知り合いはいたのだが、領地に行き、学園に入るまでは親しい人はいなかった。だからこそ学園に入って自由をばら撒くためにお友達を集めた。
「はい、貴族と平民のメイドです。貴族のメイドは結婚するために仕事を辞めることがよくあり、親が決めた婚約という場合もあります」
「ジルバードもそうだと?」
「はい…いくら否定しても、親に婚約させられたと思っています」
アウラージュはそうではないかと思っていた、確かに爵位が低くても利があれば違うが、ララは侯爵家のご令嬢で、政略結婚だと言われても、納得は出来る。
「ですが、平民のメイドは、平民同士なら礼儀も、マナーも関係なく、皆が平等だと、階級などなく、好きな人と結婚して、家のことは関係ないことだと」
平民でも格差があれば、苦労することは聞かなったのだろう。
「平民のことを知らなかったリラは、貴族もそうすればいいと思うようになり、でも皆がそう思うわけではありませんから、そこから学園の間だけでもと考えるようになったのだと思います」
「おそらく自分がそうだったように、魅力的に感じるだろうと思ったのでしょうね」
「…はい」
両親はリラを理解しようと、きちんと接していたことがよく分かる。閉じ込めて終わりということも出来ただろうが、そうはしなかったのだ。
「夜会は欠席させようと思わなかったのですか」
「それは…最後にバートラ公爵令息様を見たいと、見るだけいい、これが最後だからと言っており、私たちも側にいるから、見るだけならと思ってしまいました。申し訳ございません」
「あの夜に賭けていたんでしょうね」
「殿下、ヘーゼルの瞳は?」
「ヘーゼルの瞳に心当たりはありますか?娘さんはブラウンですよね?」
まさにアウラージュの神秘的なヘーゼルの瞳が、ブライン伯爵のブラックの瞳を射抜いている。
「はい。事実ではないと思いますが、バートラ公爵令息様にヘーゼルの瞳を褒められたと言っておりました。リラの瞳はブラウンだと言ったのですが、私はヘーゼルの瞳だとこだわるようになりまして」
「それであんなにムキになっていたのね」
違うと言い切るシュアリーに、リラは明らかに冷静さをなくしていた。
「これからどうするおつもりですか、怪我をさせる前に拘束しましたので、ジルバードとララに近寄らないという罰となると思います。両家にも承諾を得ています」
「ありがとうございました、本来なら私たちがすべきことでした。リラは前から考えていた、隣国の更生施設に入れるつもりです。脱走しても、こちらまで来ることはすぐには出来ませんから」
「そうですか、婚約するような予定もないのですね?」
「ございません」
「では妄言だったということね」
婚約者がいるようなことを話していたが、婚約した記録は既に調べて、いないことは分かっていた。ただ、約束程度であれば、いるのかもしれないと考えていた。だが、いないとすれば、架空の婚約者の恐怖でしかない。
「…リラが婚約者がいると言っていたのでしょうか」
「婚約の約束をしているだけだから、正確には婚約者ではない。いいお相手だとは思う、いずれしなければならないことは分かっている。だから今だけは自由に生きたいと思っているなどと言っていたそうです」
「そんなことを…全て偽りです」
リラと婚約したい相手などいるはずもない。リラが受け入れないこともだが、相手にも迷惑を掛けるだけだと、探そうともしなかった。
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