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幽閉
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メリーアンは結局、行かないからと準備もしなかったので、とりあえずメイドが服と下着だけを何着か詰め込んで、その鞄と共に馬車に無理矢理に乗せられた。
ツートとシシラも、一緒に領地に行くことになり、トーラスは見送りに出て来たが、カーサスは出て来ることはなかった。
マーガレットもいたが、抱きしめさせると離さない可能性もあるので、見るだけにした。マーガレットは母親とは認識しているが、キャッキャと手を振っていた。
メリーアンはその時に、心から離れたくないと思ったが、既に遅かった。
そして、メリーアンは領地で療養という形で、幽閉という形になった。
メリーアンはマーガレットに会いたいと言ったが、マーガレットは領地に行くのは難しいということで、面会も叶わなかった。まさにトーラスが考えていた面会についてだったが、それはメリーアンが問題を起こす前であった。
「じゃあ、私が行くわ」
「行きたいなら一人で行きなさい」
ツートとシシラも領地に住むようになったが、カーラスの心労を考えて、メリーアンをもう王都に行かせたくなかった。
「どうしてよ…面会は権利でしょう!」
「お前は問題を起こした感覚がないのか?行きたいなら勝手にいけばいい、だが馬車も護衛も出さない」
「どうしてよ…」
メリーアンがいくら言ってもツートが許可を出すことはなかった。自由に出来るお金も持っていなかったために、雇うことも出来ない。
そして、さすがに一人で行くことは怖かった。リリーが言っていたこと、被害者家族に実際に会ったことで、何かあったらと思うようになっていた。
シシラや護衛に頼んだが、出来ないと言われてしまい、諦めるしかなかった。
ただ、ダリアやマーガレットに手紙を書いていたが、ツートによって、送られることはなかった。
マーガレットを養育することになったダリアだったが、ユーフレット侯爵家はメリーアンとは面会はしなくてもいい。もしマーガレットが大きくなって、会いたいと言うことがあれば、会ってやって欲しいと願い出た。
メリーアンにはそのことは、敢えて知らせていない。
領地にやって来て、しばらくするとメリーアンは、王都に戻りたいと訴えるようになった。
「ユーフレット侯爵家はカーラスの者だ、お前は娘はないと言われただろう」
「娘よ!」
「お前が約束を守らず、裏切ったんだろうが!」
「お前が弁えていたら、違っただろう」
「じゃあ、弁えるわ」
「もう遅い、カーラスはお前の顔も見たくないそうだ。もうずっと避けられていたんだろう?」
「…私のお父様はお父様だけよ」
メリーアンもカーラスには会っていないことは、分かっていた。あの時のカーサスの顔は今でも覚えており、顔を見たのはあの日が最後だった。
「カーラスもそう思っていた、踏みにじったのはお前だろう」
「でも、私は正しいことを言っただけで」
自分は間違っていないという姿に、ツートにはこれ以上、迷惑を掛けるようならば、考えがあった。
「それ以上言うなら、教会に行って貰う」
「…っな」
スノーの妹・レピアが今でも出て来る様子のない、オッフェンベル教会のことである。メリーアンも存在を知っている。
「まさか」
「ああ、まさかだよ。それが嫌なら、大人しくしていなさい」
「そんな、私はそんなところに行くような人間ではないわ」
「ローザ公爵家に迷惑を掛けただけで、十分権利あるさ。それとも、命を狙われる可能性があるが、市井で暮らすか?」
「う、そでしょ…」
「どうする?ここか、市井か、教会か」
「ここに、いるわ」
メリーアンは市井も恐ろしく、オッフェンベル教会には行きたくない。ツートも恐ろしいことから、いつかカーラスか、トーラスが迎えに来てくれるだろうと信じて大人しくしているしかなかった。
さすがに歩いて行ける場所ではないので、飛び出して行くこともなかった。
ツートとシシラも、一緒に領地に行くことになり、トーラスは見送りに出て来たが、カーサスは出て来ることはなかった。
マーガレットもいたが、抱きしめさせると離さない可能性もあるので、見るだけにした。マーガレットは母親とは認識しているが、キャッキャと手を振っていた。
メリーアンはその時に、心から離れたくないと思ったが、既に遅かった。
そして、メリーアンは領地で療養という形で、幽閉という形になった。
メリーアンはマーガレットに会いたいと言ったが、マーガレットは領地に行くのは難しいということで、面会も叶わなかった。まさにトーラスが考えていた面会についてだったが、それはメリーアンが問題を起こす前であった。
「じゃあ、私が行くわ」
「行きたいなら一人で行きなさい」
ツートとシシラも領地に住むようになったが、カーラスの心労を考えて、メリーアンをもう王都に行かせたくなかった。
「どうしてよ…面会は権利でしょう!」
「お前は問題を起こした感覚がないのか?行きたいなら勝手にいけばいい、だが馬車も護衛も出さない」
「どうしてよ…」
メリーアンがいくら言ってもツートが許可を出すことはなかった。自由に出来るお金も持っていなかったために、雇うことも出来ない。
そして、さすがに一人で行くことは怖かった。リリーが言っていたこと、被害者家族に実際に会ったことで、何かあったらと思うようになっていた。
シシラや護衛に頼んだが、出来ないと言われてしまい、諦めるしかなかった。
ただ、ダリアやマーガレットに手紙を書いていたが、ツートによって、送られることはなかった。
マーガレットを養育することになったダリアだったが、ユーフレット侯爵家はメリーアンとは面会はしなくてもいい。もしマーガレットが大きくなって、会いたいと言うことがあれば、会ってやって欲しいと願い出た。
メリーアンにはそのことは、敢えて知らせていない。
領地にやって来て、しばらくするとメリーアンは、王都に戻りたいと訴えるようになった。
「ユーフレット侯爵家はカーラスの者だ、お前は娘はないと言われただろう」
「娘よ!」
「お前が約束を守らず、裏切ったんだろうが!」
「お前が弁えていたら、違っただろう」
「じゃあ、弁えるわ」
「もう遅い、カーラスはお前の顔も見たくないそうだ。もうずっと避けられていたんだろう?」
「…私のお父様はお父様だけよ」
メリーアンもカーラスには会っていないことは、分かっていた。あの時のカーサスの顔は今でも覚えており、顔を見たのはあの日が最後だった。
「カーラスもそう思っていた、踏みにじったのはお前だろう」
「でも、私は正しいことを言っただけで」
自分は間違っていないという姿に、ツートにはこれ以上、迷惑を掛けるようならば、考えがあった。
「それ以上言うなら、教会に行って貰う」
「…っな」
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「まさか」
「ああ、まさかだよ。それが嫌なら、大人しくしていなさい」
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「どうする?ここか、市井か、教会か」
「ここに、いるわ」
メリーアンは市井も恐ろしく、オッフェンベル教会には行きたくない。ツートも恐ろしいことから、いつかカーラスか、トーラスが迎えに来てくれるだろうと信じて大人しくしているしかなかった。
さすがに歩いて行ける場所ではないので、飛び出して行くこともなかった。
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