123 / 154
結婚準備
しおりを挟む
罰が決まり、皆が刑務所に入ったことで、元通りとはいかないが、関係者ではなかったリアンスとスノーは結婚式の準備が始まっていた。
リリーとジーリスの関係者となったユーフレット侯爵家、ロス伯爵家、リサナの関係者となったビュータ伯爵家、エンザー子爵家、オパールの関係者となったコンガル侯爵家は非難の的となった。
ドット男爵家は領地もなく、既に両親もロビンも亡くなり、オパールしかいなかったので、非難のされようはなかったが、もし、非難されても、ジーリスの被害者には感謝されただろう。
心情的には、こんな時期に結婚式と思ったが、参加者ではないので関係ないと行われることになった。
だが、関わりがなくなって、忘れていたスノーのレピアが、なぜか先触れもなく、ランドマーク侯爵家ではなく、ローザ公爵家を訪れたのである。
丁度、スノーもローザ公爵家にいたが、自邸ではないために追い返して貰って構わないと言ったが、バークスはいなかったが、ヒューナが何の用事かお聞きしましょうと招き入れることにした。
「お姉様っ!」
応接室にドカドカと歩きながら入って来たレピアの品のない姿に、スノーは眉間に皺を寄せた。公爵家を相手であれば、カーテシーをするべきだろうと思った。
座っていいとも言われていないのに、目の前にドカりと座る様に眩暈すらした。両親は一体何をしているのだろうか、勉強もだが、礼儀もなっていない。
「ちょっと、お姉様、結婚するからって髪を染めたの?浮かれちゃって、恥ずかしくないの?」
レリリス伯爵家に行くこともなかったので、レピアとはダークブロンドだった髪色からブロンドに戻して、会うのは初めてであった。
同席しているリアンスとヒューナは家族なのに、どうして知らないのかとレピアを怪訝な目で見ていた。
「元の色に戻したの」
「はあ?そんな色じゃなかったでしょう」
「子どもの頃はこの色だったわ、あなたもずるいずるいって言っていたじゃない」
「色が変わったんじゃないの…」
レピアは色が変わって、結局自分と同じになったと思っていた。
「染めていたのよ、それより何の用事でやって来たの?皆様、暇じゃないのよ?」
「偉そうに…お姉様の邸ではないでしょう?リアンス様は、私に会いたかったのではないですか?」
レピアは両手の指を巻き込んで、顔に添えながらリアンスに向かって話し始めた。
「いいえ」
「照れなくてもいいんですよ、お姉様ではなく、私がランドマーク侯爵家の養子になって、嫁ぐことも可能なんですよ?」
スノーは深い溜息を吐き、話には聞いていたが、本当に思い込みの激しい性格に育ってしまったようだ。
「あなた、何を仰っているの?あり得ないわ」
ヒューナがさすがに口を挟んだ。
「でも、公爵夫人、妻は若くて可愛いがよろしいとは思いませんか?」
「思わないわ」
「いえ、二歳でも若い方がいいんですよ」
伯爵家の令嬢が公爵夫人に、意見するなどあり得ないことすら分かっていない。
「いい加減にしなさい。あなたが卒業も出来ないかもしれないとご存知なのよ?」
「っな、卒業は出来るわ」
「まだ分からないって聞いているわ」
レピアは三年生にはなったが、再試験、補習、課題を提出してやっとであり、今でも卒業が出来るか分からない状態らしい。
「出来るわ!お姉様、そんなことを言って、焦っているんでしょう?」
「エンゲート侯爵令息に迷惑を掛けたのに、どうして同じことを繰り返すの?」
レピアが言い寄ったエンゲート侯爵令息は、婚約者であるクレマス伯爵令嬢と無事に結婚されており、さすがに接触はしていないようだが、公になっていないだけで、この場の者は知っている。
リリーとジーリスの関係者となったユーフレット侯爵家、ロス伯爵家、リサナの関係者となったビュータ伯爵家、エンザー子爵家、オパールの関係者となったコンガル侯爵家は非難の的となった。
ドット男爵家は領地もなく、既に両親もロビンも亡くなり、オパールしかいなかったので、非難のされようはなかったが、もし、非難されても、ジーリスの被害者には感謝されただろう。
心情的には、こんな時期に結婚式と思ったが、参加者ではないので関係ないと行われることになった。
だが、関わりがなくなって、忘れていたスノーのレピアが、なぜか先触れもなく、ランドマーク侯爵家ではなく、ローザ公爵家を訪れたのである。
丁度、スノーもローザ公爵家にいたが、自邸ではないために追い返して貰って構わないと言ったが、バークスはいなかったが、ヒューナが何の用事かお聞きしましょうと招き入れることにした。
「お姉様っ!」
応接室にドカドカと歩きながら入って来たレピアの品のない姿に、スノーは眉間に皺を寄せた。公爵家を相手であれば、カーテシーをするべきだろうと思った。
座っていいとも言われていないのに、目の前にドカりと座る様に眩暈すらした。両親は一体何をしているのだろうか、勉強もだが、礼儀もなっていない。
「ちょっと、お姉様、結婚するからって髪を染めたの?浮かれちゃって、恥ずかしくないの?」
レリリス伯爵家に行くこともなかったので、レピアとはダークブロンドだった髪色からブロンドに戻して、会うのは初めてであった。
同席しているリアンスとヒューナは家族なのに、どうして知らないのかとレピアを怪訝な目で見ていた。
「元の色に戻したの」
「はあ?そんな色じゃなかったでしょう」
「子どもの頃はこの色だったわ、あなたもずるいずるいって言っていたじゃない」
「色が変わったんじゃないの…」
レピアは色が変わって、結局自分と同じになったと思っていた。
「染めていたのよ、それより何の用事でやって来たの?皆様、暇じゃないのよ?」
「偉そうに…お姉様の邸ではないでしょう?リアンス様は、私に会いたかったのではないですか?」
レピアは両手の指を巻き込んで、顔に添えながらリアンスに向かって話し始めた。
「いいえ」
「照れなくてもいいんですよ、お姉様ではなく、私がランドマーク侯爵家の養子になって、嫁ぐことも可能なんですよ?」
スノーは深い溜息を吐き、話には聞いていたが、本当に思い込みの激しい性格に育ってしまったようだ。
「あなた、何を仰っているの?あり得ないわ」
ヒューナがさすがに口を挟んだ。
「でも、公爵夫人、妻は若くて可愛いがよろしいとは思いませんか?」
「思わないわ」
「いえ、二歳でも若い方がいいんですよ」
伯爵家の令嬢が公爵夫人に、意見するなどあり得ないことすら分かっていない。
「いい加減にしなさい。あなたが卒業も出来ないかもしれないとご存知なのよ?」
「っな、卒業は出来るわ」
「まだ分からないって聞いているわ」
レピアは三年生にはなったが、再試験、補習、課題を提出してやっとであり、今でも卒業が出来るか分からない状態らしい。
「出来るわ!お姉様、そんなことを言って、焦っているんでしょう?」
「エンゲート侯爵令息に迷惑を掛けたのに、どうして同じことを繰り返すの?」
レピアが言い寄ったエンゲート侯爵令息は、婚約者であるクレマス伯爵令嬢と無事に結婚されており、さすがに接触はしていないようだが、公になっていないだけで、この場の者は知っている。
1,711
お気に入りに追加
2,837
あなたにおすすめの小説
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
【完結】たとえあなたに選ばれなくても
神宮寺 あおい@受賞&書籍化
恋愛
人を踏みつけた者には相応の報いを。
伯爵令嬢のアリシアは半年後に結婚する予定だった。
公爵家次男の婚約者、ルーカスと両思いで一緒になれるのを楽しみにしていたのに。
ルーカスにとって腹違いの兄、ニコラオスの突然の死が全てを狂わせていく。
義母の願う血筋の継承。
ニコラオスの婚約者、フォティアからの横槍。
公爵家を継ぐ義務に縛られるルーカス。
フォティアのお腹にはニコラオスの子供が宿っており、正統なる後継者を望む義母はルーカスとアリシアの婚約を破棄させ、フォティアと婚約させようとする。
そんな中アリシアのお腹にもまた小さな命が。
アリシアとルーカスの思いとは裏腹に2人は周りの思惑に振り回されていく。
何があってもこの子を守らなければ。
大切なあなたとの未来を夢見たいのに許されない。
ならば私は去りましょう。
たとえあなたに選ばれなくても。
私は私の人生を歩んでいく。
これは普通の伯爵令嬢と訳あり公爵令息の、想いが報われるまでの物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる