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結婚準備
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罰が決まり、皆が刑務所に入ったことで、元通りとはいかないが、関係者ではなかったリアンスとスノーは結婚式の準備が始まっていた。
リリーとジーリスの関係者となったユーフレット侯爵家、ロス伯爵家、リサナの関係者となったビュータ伯爵家、エンザー子爵家、オパールの関係者となったコンガル侯爵家は非難の的となった。
ドット男爵家は領地もなく、既に両親もロビンも亡くなり、オパールしかいなかったので、非難のされようはなかったが、もし、非難されても、ジーリスの被害者には感謝されただろう。
心情的には、こんな時期に結婚式と思ったが、参加者ではないので関係ないと行われることになった。
だが、関わりがなくなって、忘れていたスノーのレピアが、なぜか先触れもなく、ランドマーク侯爵家ではなく、ローザ公爵家を訪れたのである。
丁度、スノーもローザ公爵家にいたが、自邸ではないために追い返して貰って構わないと言ったが、バークスはいなかったが、ヒューナが何の用事かお聞きしましょうと招き入れることにした。
「お姉様っ!」
応接室にドカドカと歩きながら入って来たレピアの品のない姿に、スノーは眉間に皺を寄せた。公爵家を相手であれば、カーテシーをするべきだろうと思った。
座っていいとも言われていないのに、目の前にドカりと座る様に眩暈すらした。両親は一体何をしているのだろうか、勉強もだが、礼儀もなっていない。
「ちょっと、お姉様、結婚するからって髪を染めたの?浮かれちゃって、恥ずかしくないの?」
レリリス伯爵家に行くこともなかったので、レピアとはダークブロンドだった髪色からブロンドに戻して、会うのは初めてであった。
同席しているリアンスとヒューナは家族なのに、どうして知らないのかとレピアを怪訝な目で見ていた。
「元の色に戻したの」
「はあ?そんな色じゃなかったでしょう」
「子どもの頃はこの色だったわ、あなたもずるいずるいって言っていたじゃない」
「色が変わったんじゃないの…」
レピアは色が変わって、結局自分と同じになったと思っていた。
「染めていたのよ、それより何の用事でやって来たの?皆様、暇じゃないのよ?」
「偉そうに…お姉様の邸ではないでしょう?リアンス様は、私に会いたかったのではないですか?」
レピアは両手の指を巻き込んで、顔に添えながらリアンスに向かって話し始めた。
「いいえ」
「照れなくてもいいんですよ、お姉様ではなく、私がランドマーク侯爵家の養子になって、嫁ぐことも可能なんですよ?」
スノーは深い溜息を吐き、話には聞いていたが、本当に思い込みの激しい性格に育ってしまったようだ。
「あなた、何を仰っているの?あり得ないわ」
ヒューナがさすがに口を挟んだ。
「でも、公爵夫人、妻は若くて可愛いがよろしいとは思いませんか?」
「思わないわ」
「いえ、二歳でも若い方がいいんですよ」
伯爵家の令嬢が公爵夫人に、意見するなどあり得ないことすら分かっていない。
「いい加減にしなさい。あなたが卒業も出来ないかもしれないとご存知なのよ?」
「っな、卒業は出来るわ」
「まだ分からないって聞いているわ」
レピアは三年生にはなったが、再試験、補習、課題を提出してやっとであり、今でも卒業が出来るか分からない状態らしい。
「出来るわ!お姉様、そんなことを言って、焦っているんでしょう?」
「エンゲート侯爵令息に迷惑を掛けたのに、どうして同じことを繰り返すの?」
レピアが言い寄ったエンゲート侯爵令息は、婚約者であるクレマス伯爵令嬢と無事に結婚されており、さすがに接触はしていないようだが、公になっていないだけで、この場の者は知っている。
リリーとジーリスの関係者となったユーフレット侯爵家、ロス伯爵家、リサナの関係者となったビュータ伯爵家、エンザー子爵家、オパールの関係者となったコンガル侯爵家は非難の的となった。
ドット男爵家は領地もなく、既に両親もロビンも亡くなり、オパールしかいなかったので、非難のされようはなかったが、もし、非難されても、ジーリスの被害者には感謝されただろう。
心情的には、こんな時期に結婚式と思ったが、参加者ではないので関係ないと行われることになった。
だが、関わりがなくなって、忘れていたスノーのレピアが、なぜか先触れもなく、ランドマーク侯爵家ではなく、ローザ公爵家を訪れたのである。
丁度、スノーもローザ公爵家にいたが、自邸ではないために追い返して貰って構わないと言ったが、バークスはいなかったが、ヒューナが何の用事かお聞きしましょうと招き入れることにした。
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座っていいとも言われていないのに、目の前にドカりと座る様に眩暈すらした。両親は一体何をしているのだろうか、勉強もだが、礼儀もなっていない。
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「元の色に戻したの」
「はあ?そんな色じゃなかったでしょう」
「子どもの頃はこの色だったわ、あなたもずるいずるいって言っていたじゃない」
「色が変わったんじゃないの…」
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「偉そうに…お姉様の邸ではないでしょう?リアンス様は、私に会いたかったのではないですか?」
レピアは両手の指を巻き込んで、顔に添えながらリアンスに向かって話し始めた。
「いいえ」
「照れなくてもいいんですよ、お姉様ではなく、私がランドマーク侯爵家の養子になって、嫁ぐことも可能なんですよ?」
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「あなた、何を仰っているの?あり得ないわ」
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「いえ、二歳でも若い方がいいんですよ」
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「エンゲート侯爵令息に迷惑を掛けたのに、どうして同じことを繰り返すの?」
レピアが言い寄ったエンゲート侯爵令息は、婚約者であるクレマス伯爵令嬢と無事に結婚されており、さすがに接触はしていないようだが、公になっていないだけで、この場の者は知っている。
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